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本編
☆私のことを見てください sideケイト/ルシアン②☆
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話は戻るけど、部屋にやってきたルシアンは、俺にこの一週間何をして過ごしていたのか聞いてきた。
この一週間を振り返ると、キャサリンちゃんが2回会いに来てくれた。
それでマリオンが3回だったかな?
マリオンが来た3回のうち2回はキャサリンちゃんがいる時だったな。
キャサリンちゃんはマリオンに「またサボりですか?」って辛辣で面白かった。
俺とゆっくり過ごしたいから邪魔だとも言ってたな。
それ以外は厨房に入り浸って元の世界の料理の再現に挑戦してたかな。
俺がそう言うと、ルシアンは寂しそうな顔で笑っていた。
「ルシアン、何か元気がなさそうに見えるけど、どこか体の調子でも悪いのか? それとも悩み事か?」
ルシアンの顔を覗き込むと、俺の目を真っすぐに見つめてきた。
心なしか潤んでいるような気がする。
――もしかして泣いているのか?
俺からは触れるからルシアンの目尻をそっと指で拭った。
俺の行動に驚いて涙は止まったっみたいだ。
やっぱり泣いていたんだな……。
俺は改めてルシアンにどうしたのか訊ねる。
「私の意思で魔法の誓いを立てたにも関わらず、姫に触れたくて触れたくて……。私は何事にも執着したことがなく、耐えることに苦を感じたことなどありませんでした。それなのに姫に関することだけは我慢するのが辛いのです。そしてそういう思考に至る自分自身が恥ずかしくて情けなくて、このような姿を姫にお見せすべきではないということも理解しているのですが、どうしても姫のお顔を拝見したくなって来てしまいました……。こんな夜に部屋に押しかけてきて非常識だということは重々承知しております。しかし姫が王宮で楽しく過ごされていて嬉しいはずなのに、一緒に過ごすことの出来ない自分とは違いキャサリンやマリオンが姫と共に過ごしていると聞いて嫉妬している私のなんと狭量なことか……。姫、どうか私に姫の手に触れる許可をいただけないでしょうか?」
「手ぐらい好きにしたらいいよ」
「ありがとうございます」
思いつめたような表情のルシアンが俺の手をそっと持ち上げようとした。
ただテーブルを挟んで向かい側に座っているから、若干遠いと思った俺はルシアンの隣に移動した。
それから何か色々言っていたけど、他の人と過ごしてた俺に焼きもちを妬いているのが可愛いななんて思ってしまって、自分でも自分の行動に驚いているけど、無意識にルシアンのことを抱きしめてしまったんだ。
抱きしめられているルシアンは、驚いて固まってしまって、どうしたらいいか分からないみたいだった。
許可なしに俺の背中に腕を回せないのかもしれないな。
両腕が所在なさげにしてるからきっとそうだと思う。
「ルシアン、俺から抱き着いたんだし触っていいよ。でもいやらしいのはなしだぞ?」
俺の行動と言葉に驚いたのか暫く動かなかったけど、ソロソロと背中に手を伸ばしてきた。
最初の頃の強引さはどこに行ったのか?
恐る恐る壊れ物にでも触るように触れてくるルシアンは何か放っておけない。
ただ触れるだけだったルシアンの手が徐々に動き出して、背中を擦ったり、俺の項を触ったりして抱きしめる力に強弱が加わりだした。
何だかくすぐったくて思わず笑ってしまって、俺もルシアンの背中を撫でた。
そしたらルシアンがお礼を言ってきたから、いつも仕事を頑張ってるご褒美だよと言ってみた。
ルシアンはそれに照れたらしくて、俺の首筋に顔を埋めると何度かそのまま深呼吸をして、気持ちが落ち着いたのか部屋に戻ると言って席を立った。
「思いつめる前に息抜きしろよ?」
そう言ってルシアンを見送った。
◇◇◇
姫の部屋から自室に戻った私は昂りを抑えきれないでいた。
すぐに自身のペニスを取り出して扱き始める。
姫に抱きしめていただいたあの柔らかな感触と香り……。
それを思い出すだけで私の汚らわしいペニスは、何度達してもすぐに硬さを取り戻してしまう。
出なくなるまで何度も何度も擦り上げて射精する。
姫の首筋に顔を埋めたとき、姫の柔らかな肌に僅かだけれど唇が当たってしまった。
姫は気にする素振りなどなかったけれど……姫の絹のような滑らかな肌に吸い付きたい衝動を必死に抑えるのが大変だった。
落ち着かせようと深呼吸をすれば逆効果で、愚かな私は久しぶりの姫の香りに体中が歓喜してしまい脳髄までクラクラと痺れて、危うくあの場で暴発してしまうところだった……。
平静を装いつつ、慌てて姫から離れてお礼を言うと足早に部屋に戻った。
まさかそんな状態になっているとは思ってもいない姫は、私が部屋を出る時にも優しい言葉を掛けてくださった。
息抜きをしろなんて言ってもらったことなど、今まで生きてきた中で一度もなく、ましてや仕事をするのは当たり前のことであり、評価こそされても褒められたこともない。
それなのに姫は、いつも仕事を頑張っているご褒美だと抱擁をしてくださり、私に触れる許可までくださった。
私は第一王子として自分のやるべき仕事をこなしているだけだ。
それは当たり前のことであり、褒美などを貰えるような特別なことではないのだ。
自分でも感じていることではあるのだが、私は真面目過ぎるらしく息抜きなどは考えたこともなかった。
やるべきことがあるのにサボってばかりいるマリオンは、息抜きをし過ぎだとは思うけれど、適度に息抜きして楽しそうに生きていると思えて、正直少しだけ羨ましい。
ただ私は不器用で、息抜きの仕方が分からないだけなのだが……。
そんな私のことを頑張っていると評価して褒美として抱擁を下さった姫は、やはり私にとって掛け替えのない存在であると改めて実感する。
姫にはどんな私も見てもらいたい。
私はずっと、誰にも弱いところなど見せてこなかったし、弱味になるからと常に完璧な王子を演じてきた。
本当の私は弱くて愚かな人間だというのに……。
姫の前では弱い自分も許される気がして甘えてしまう自分がいる。
姫は私より4歳も年下であるにも拘らず、大きな心で優しく包み込んでくれるのだ。
精霊王様、姫の存在を私に教えてくださり感謝いたします!
伴侶として姫が私を選んでくれますように……。
――どうか私のことを見てください。
この一週間を振り返ると、キャサリンちゃんが2回会いに来てくれた。
それでマリオンが3回だったかな?
マリオンが来た3回のうち2回はキャサリンちゃんがいる時だったな。
キャサリンちゃんはマリオンに「またサボりですか?」って辛辣で面白かった。
俺とゆっくり過ごしたいから邪魔だとも言ってたな。
それ以外は厨房に入り浸って元の世界の料理の再現に挑戦してたかな。
俺がそう言うと、ルシアンは寂しそうな顔で笑っていた。
「ルシアン、何か元気がなさそうに見えるけど、どこか体の調子でも悪いのか? それとも悩み事か?」
ルシアンの顔を覗き込むと、俺の目を真っすぐに見つめてきた。
心なしか潤んでいるような気がする。
――もしかして泣いているのか?
俺からは触れるからルシアンの目尻をそっと指で拭った。
俺の行動に驚いて涙は止まったっみたいだ。
やっぱり泣いていたんだな……。
俺は改めてルシアンにどうしたのか訊ねる。
「私の意思で魔法の誓いを立てたにも関わらず、姫に触れたくて触れたくて……。私は何事にも執着したことがなく、耐えることに苦を感じたことなどありませんでした。それなのに姫に関することだけは我慢するのが辛いのです。そしてそういう思考に至る自分自身が恥ずかしくて情けなくて、このような姿を姫にお見せすべきではないということも理解しているのですが、どうしても姫のお顔を拝見したくなって来てしまいました……。こんな夜に部屋に押しかけてきて非常識だということは重々承知しております。しかし姫が王宮で楽しく過ごされていて嬉しいはずなのに、一緒に過ごすことの出来ない自分とは違いキャサリンやマリオンが姫と共に過ごしていると聞いて嫉妬している私のなんと狭量なことか……。姫、どうか私に姫の手に触れる許可をいただけないでしょうか?」
「手ぐらい好きにしたらいいよ」
「ありがとうございます」
思いつめたような表情のルシアンが俺の手をそっと持ち上げようとした。
ただテーブルを挟んで向かい側に座っているから、若干遠いと思った俺はルシアンの隣に移動した。
それから何か色々言っていたけど、他の人と過ごしてた俺に焼きもちを妬いているのが可愛いななんて思ってしまって、自分でも自分の行動に驚いているけど、無意識にルシアンのことを抱きしめてしまったんだ。
抱きしめられているルシアンは、驚いて固まってしまって、どうしたらいいか分からないみたいだった。
許可なしに俺の背中に腕を回せないのかもしれないな。
両腕が所在なさげにしてるからきっとそうだと思う。
「ルシアン、俺から抱き着いたんだし触っていいよ。でもいやらしいのはなしだぞ?」
俺の行動と言葉に驚いたのか暫く動かなかったけど、ソロソロと背中に手を伸ばしてきた。
最初の頃の強引さはどこに行ったのか?
恐る恐る壊れ物にでも触るように触れてくるルシアンは何か放っておけない。
ただ触れるだけだったルシアンの手が徐々に動き出して、背中を擦ったり、俺の項を触ったりして抱きしめる力に強弱が加わりだした。
何だかくすぐったくて思わず笑ってしまって、俺もルシアンの背中を撫でた。
そしたらルシアンがお礼を言ってきたから、いつも仕事を頑張ってるご褒美だよと言ってみた。
ルシアンはそれに照れたらしくて、俺の首筋に顔を埋めると何度かそのまま深呼吸をして、気持ちが落ち着いたのか部屋に戻ると言って席を立った。
「思いつめる前に息抜きしろよ?」
そう言ってルシアンを見送った。
◇◇◇
姫の部屋から自室に戻った私は昂りを抑えきれないでいた。
すぐに自身のペニスを取り出して扱き始める。
姫に抱きしめていただいたあの柔らかな感触と香り……。
それを思い出すだけで私の汚らわしいペニスは、何度達してもすぐに硬さを取り戻してしまう。
出なくなるまで何度も何度も擦り上げて射精する。
姫の首筋に顔を埋めたとき、姫の柔らかな肌に僅かだけれど唇が当たってしまった。
姫は気にする素振りなどなかったけれど……姫の絹のような滑らかな肌に吸い付きたい衝動を必死に抑えるのが大変だった。
落ち着かせようと深呼吸をすれば逆効果で、愚かな私は久しぶりの姫の香りに体中が歓喜してしまい脳髄までクラクラと痺れて、危うくあの場で暴発してしまうところだった……。
平静を装いつつ、慌てて姫から離れてお礼を言うと足早に部屋に戻った。
まさかそんな状態になっているとは思ってもいない姫は、私が部屋を出る時にも優しい言葉を掛けてくださった。
息抜きをしろなんて言ってもらったことなど、今まで生きてきた中で一度もなく、ましてや仕事をするのは当たり前のことであり、評価こそされても褒められたこともない。
それなのに姫は、いつも仕事を頑張っているご褒美だと抱擁をしてくださり、私に触れる許可までくださった。
私は第一王子として自分のやるべき仕事をこなしているだけだ。
それは当たり前のことであり、褒美などを貰えるような特別なことではないのだ。
自分でも感じていることではあるのだが、私は真面目過ぎるらしく息抜きなどは考えたこともなかった。
やるべきことがあるのにサボってばかりいるマリオンは、息抜きをし過ぎだとは思うけれど、適度に息抜きして楽しそうに生きていると思えて、正直少しだけ羨ましい。
ただ私は不器用で、息抜きの仕方が分からないだけなのだが……。
そんな私のことを頑張っていると評価して褒美として抱擁を下さった姫は、やはり私にとって掛け替えのない存在であると改めて実感する。
姫にはどんな私も見てもらいたい。
私はずっと、誰にも弱いところなど見せてこなかったし、弱味になるからと常に完璧な王子を演じてきた。
本当の私は弱くて愚かな人間だというのに……。
姫の前では弱い自分も許される気がして甘えてしまう自分がいる。
姫は私より4歳も年下であるにも拘らず、大きな心で優しく包み込んでくれるのだ。
精霊王様、姫の存在を私に教えてくださり感謝いたします!
伴侶として姫が私を選んでくれますように……。
――どうか私のことを見てください。
応援ありがとうございます!
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