召喚されたらしい俺は何故か姫扱いされている【異世界BL】

ネオン

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本編

婚姻の儀(前)②

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 精霊セインはタンポポの様な黄色い髪に、ピンク色の瞳で綿毛の様なフワフワな白いワンピースを着ている、中性的な容姿をした五歳くらいの幼児にしか見えない風貌で、大きさはてのひらサイズだ。
 でも今日は俺に合わせて人間サイズで付き添ってくれることになっている。
 手を繋いで精霊王とルシアンの待つ祭壇まで歩かないといけないから、人間サイズに変化してもらっているんだ。
 それでも五歳児サイズだから本当に可愛くて、弟がいたらこんな感じだったのかなと温かい気持ちにさせられた。

「姫ちゃん今日はいつもより綺麗だね! オイラ、姫ちゃんが幸せそうで嬉しいよ」

 興奮したように俺の周りをグルグル回るセインは、どこからどう見ても五歳児で可愛すぎる。
 いつもは掌サイズで、俺の顔の高さほどで浮いてるから、可愛いとは思うけど精霊の枠を出ないと言うか、そこまで気にしてなかったんだけど、今日は俺に付き添うためにちゃんと地面に足を着けて立ってるし、俺の周りを走ってるしで……可愛すぎか……。
 やぱり俺は動物というか、犬とか可愛い生き物が好きなんだなと改めて思うよ。
 あまりの可愛さに思わず捕まえて抱き上げて頬ずりすると、キャッキャと声を出して笑っていてそれもまた可愛い!
 ポワソン少年が慌てて、衣装や髪が乱れるからやめてくれって言うけど、こんなに可愛い生き物が目の前にいるのに可愛がれないなんて生殺しもいいところじゃんか!
 そんな俺の様子を見ているポプラさんは拝んじゃってるし、ポワソン少年はあわあわしてるしで、この部屋の中は絶賛カオス状態中ww

「ねえ、姫ちゃんの抱っこ嬉しいけど、もうすぐ呼ばれると思うから準備しようよ!」

「やだ! 俺はセインを可愛がる!」

「そんなにオイラの人間姿が気に入ったなら、いつでもこの姿になってやるからさ!」

 人間姿って言うけど、大きさが違うだけで掌サイズでも容貌は変わらないんだけどね。
 でも弟とか欲しかったから、そういう意味で可愛がりたい俺としてはちゃんと人間サイズの方が嬉しい。
 一緒にボール遊びとかしたいし。

「ケイトはオイラの弟みたいなもんだしな! オイラのことを兄ちゃんだと思って甘えて良いんだぞ」

 そう言ってエッヘンと腰に手を当てるセインは悶絶級に可愛いんだけど、俺のこと弟って言ったよな?

「いや、どう見ても弟はセインの方だろ?」

「何言ってんだい‼ オイラはケイトが生まれる前に母ちゃんのお腹の中にる頃から側にいるんだぞ? 立派な兄ちゃんだい‼」

 五歳児の見た目のセインは、確かに俺が母ちゃんの腹の中にいる時からの付き合いらしいし、よく考えたら年上なんだなと思い至る。
 でもこの幼い容姿と言動からとてもじゃないけど兄には見えない。
 でも、お兄ちゃんぶってるセインも可愛いからこのままでいいかとも思う。
 結局のところ可愛いは正義なのだ。

「ところでセインって何歳なんだ?」

「ん? オイラぁ? オイラは一〇〇〇年くらいは生きてるよ‼ はっきりした数字は精霊王お父さんに聞いたら分かると思うけど」

 えっ!? セインってそんなに長生きしてるのにこんなに幼い感じなの? 
 俺の疑問が顔に出ていたのか、セインはふくれっ面で不満そうにしている。

「精霊王なんてもう何億年と生きていると思うし、この姿は生まれた時から変わらないんだから、年齢とは関係ないんだぞ! もし姫ちゃんがもっと大人の姿になって欲しいって言うなら頑張って進化しても良いけど……」

「いやいやいや、是非ともそのままのセインでお願いします! 確かに年は上かもしれないけど、俺のは兄弟がいなかったから、親しみやすい今の姿のセインが側にいてくれたら嬉しいです!」

 俺の兄ちゃん気取りではいるけど、明らかな弟属性のセインには、是が非でもこのままでいてもらいたくて、自分でも必死かって思うほど必死にお願いして、そのままの姿でいてもらえることになった。
 お兄ちゃん扱いすると満更でもなさそうにエッヘンって胸を張るから、本当に可愛いなぁ~。
 語彙力がなさすぎて『可愛い』って言葉しか出てこないけど、お兄ちゃん面な弟ってことでいいだろう。

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