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番外編

エリザベス『バットエンド』(前)② sideエリザベス☆

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 ※この話はBLではなくNLとGLが出てくるので、苦手な方はご注意ください。
 ※暴力的な表現も出てきますので、ご自衛ください。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 連れていかれた先は狭く汚らしい部屋だった。
 わたくしの部屋のクローゼットよりも狭いここが部屋だと言うことにも驚いたけれど、この狭い部屋が四人部屋だと言うことにさらに衝撃を受ける。
 あまりの事実に思わず文句が口を吐いてでたのは仕方のないことだと思うの。
 いくらなんでもこのような処遇は許容出来ないわ‼
 わたくしは王女なのよ? 
 看守長は元王女と言ってきたけれど、それだって宰相が勝手に言っているだけで、お父様がわたくしの身分を剥奪なんてする訳がないじゃない。
 あまり舐めた真似をしない方がこの監獄にとっても良いと思うけれど、それをきちんと理解しているのかしら?

「こんな狭い部屋に四人ですって!? わたくしを誰だと思っていらっしゃるの? 今すぐ貴人用の部屋を用意なさい!」

 王女であるわたくしがこんな扱いをされて良い訳がありませんわ! 
 看守のいる方を振り返りわたくしは王族らしく憮然ぶぜんと抗議する。
 

「お前は18782番であり、それ以外ではない。さっさと部屋に入れ!」

 しかし看守は顔色一つ変えずにわたくしに部屋に入るように言った……。
 身の程を知らない下賤げせんの者には、宰相の言葉が全てであるのね。
 お父様の意図が分からないのだわ。
 お父様はわたくしのことをとても大切にしてくださっているのだもの、この待遇だって一時的なものに違いないのよ。
 だからといってこんな汚く狭い部屋で過ごすなんて、とてもじゃないけれど耐えられない。
 こうなればやはりわたくしのこの美貌で色仕掛けでもして態度を改めさせるしかないと思い至る。
 ――一人でも懐柔出来れば、ここでの暮らしも少しは優遇されるかもしれない。

「あら……あなたよく見たら可愛らしい顔をしているわね? あなただったら、わたくし――」

 わたくしは言葉を最後まで言えなかった。
 なぜならわたくしが喋り終わる前に目の前の男によって壁に背中を押し付けられてしまったからだ。

「18782番。俺に色仕掛けか? 元王女様はあれだけ言われても、まだ自分が特別扱いされるべきだと思っているんだな。呆れるほどの能天気野郎だ。そのご自慢の体もここでは何の意味も持たないんだぞ? 何故なら俺たちは、囚人であるお前らに自由に罰を与えることが出来るんだからな」

 男は嫌な笑顔を浮かべて低い声で囁くようにそう言った。

「罰ですって!? あなたがわたくしに何をすると言うの!?」

 耳元で囁く声が薄気味悪く、思わず鳥肌が立ち身震いをしてしまう。
 嫌な予感がして、男から少しでも離れたようと鎖で繋がれた手で男の胸を押すけれどびくともしない……。

「何をするだって? そうだな――。特別に今から実践して理解させてやろうか」

 男はそう言うとわたくしの部屋だと言う小さな部屋には入らず、わたくしの鎖を引きながら再び廊下を歩きだした。
 わたくしをどこに連れて行くつもりなのか問いただしてもニヤニヤとするばかりで何も応えてはくれない。
 連れていかれた先は倉庫のような場所で、部屋の隅に薄汚いマットが一枚敷かれてだけだった。
 こんなところでわたくしにいったい何をすると言うのかしら?

「元王女様はここで何をされると思う?」

 そんなわたくしの思考を読んだかのように男が問う。
 わたくしに問いかけられても分かる訳がないじゃない。
 答えられずに無言で睨みつけると、男はさも愉快そうに嫌な笑みを浮かべた。
 屈辱だわ……。

「まだそんな態度をとれるんだな? これから自分がどうなるか本当に分からないのなら、随分と目出度い頭の中をしてるんだな?」

「先ほどからあなた、不敬にもほどがありましてよ! 今なら不問にして差し上げますからこの鎖を外しなさい」

 手錠に繋がれた鎖が重くて腕が痛くて堪らない。
 王女であるわたくしはティーカップより重いものは持ったことがないのだ。
 だから一刻も早くこの鎖を外して欲しい。
 そう思って男に要求すると、鎖を強く引かれてマットに倒れ込んでしまった。
 薄汚れたマットは染みだらけで不衛生で、こんなマットの上に倒れ込んでしまったことがどうしても許せず、わたくしは男を睨みつける。

「いいね。強気な女を従順に躾けるの俺、嫌いじゃないよ?」

 ニヤニヤと笑う男は、マットの上に倒れ込んだわたくしが体を起こそうとするのを押さえつけると、わたくしの頬を舐めた――。

「きゃっ! いやぁっ……」

 いきなりのことに驚き、気持ち悪さと恐怖から悲鳴を上げる。

「さっきまでの勢いはどうしたんだ? 俺に色仕掛けしようとするぐらい、元王女様は男慣れしてるんじゃないのか?」

 男はそう言うと、手錠に繋がれている鎖を壁にあったフックにかけた。
 マットの上で仰向けに倒れたまま両手を上げる形になり、男に押さえつけられているせいで体を捩ることも出来ない。
 足で蹴り飛ばそうにも、男は倒れ込んだわたくしの両足の間に入り込んでいるため叶わない。

「だ、誰か! わたくしはアルペン国のエリザベス王女よ! 助けなさい!」

 必死に助けを呼ぶけれど誰も来てくれる様子はない。
 他の看守は一体どこで何をしているのか? 
 女が襲われているというのに、誰も助けに来る気配がないことに絶望する。

「叫んでも誰も来ないぞ? ここでは看守が絶対だし、これも罰の一つなんだからな?」

 今から自分がされることが分かり頭が真っ白になる。
 男はわたくしのドレスの胸元を勢いよく破り取ると、おもむろに胸を鷲掴みにした。

「さ~て元王女様は、ご自慢の巨乳で何人の男をたらし込んだんだ?」

 楽しそうにそう言いながら痛いくらいに揉みしだかれて涙が出る。

「涙が出るくらい嫌な男に好き勝手されるのはどういう気分だ?」

 男の質問に答えるつもりもなく、小さく体を震わせることしか出来なかった。
 わたくしの胸を揉みしだいていた手は、ドレスの裾を捲り上げて太腿を撫で上げた。
 そして胸の頂をぺろりと舐めたり吸ったりして、もう片方の手で反対側の頂も摘まんだり弾いたりした。
 「やめて!」そう叫ぶけれど男の手は止まることなく、叫ぶとより強く吸い付かれて摘ままれて痛みを与えられる。

 男の舌も手も気持ち悪くて、涙が止まらない……。
 どうしてわたくしがこんな目にあわなければならないの? 
 あの精霊姫おとこさえいなければこんなことにはならなかったのに。
 ルシアン様に先に目をつけていたのはわたくしだと言うのに。
 エメラルド国に滞在中だって、ルシアン様はわたくしにとても親切にしてくださっていたのよ?
 それなのに急に怒って強制送還だなんて……。
 ルシアン様はアイツに命令されたから、仕方なくわたくしを手放さなければならなかったに違いないわ。
 ここでこんな目に合っていると知れば、わたくしのことを愛しているルシアン様は平常心ではいられないはず。

「お、さすが元王女様。こんな時に考え事なんて、随分余裕なんだな?」

「ねえ、今なら許して差し上げるから、エメラルド国のルシアン様にわたくしをここから出すように伝えてくださらない?」

 胸を弄っていた男がわたくしの顔を覗き込んだので、今なら不問にすると口にする。
 王女であるわたくしの体に触れるなど、本来であれば極刑は免れないところだけれど、わたくしのために動くなら特別に許して差し上げても良い。

「ハハッ! まだそんなこと思ってるんだな。元王女様は頭の中がお花畑なのか?」

「なっ! 何を無礼な! わたくしを馬鹿にすることは許しませんことよ!」

 そう叫ぶように言うと、太腿を撫でていた男の手がわたくしの下着に触れて体が跳ねた。
 男は止めるつもりはないらしく、そのまま私の下着の上から恥部の割れ目をなぞった。
 ゾワリと背筋が冷たくなり、恐怖で体がすくむ。

「強気な元王女様の体は気持ちいいって言ってるぜ? 天邪鬼なんだな? 体の方が素直じゃないか。下着をこんなに濡らして、元王女様はいやらしいな?」

 男の言葉に羞恥心を煽られ顔がカっと熱くなる。
 こんな男の手で感じるはずはないのに、わたくしのそこは自分でもわかるほどに潤んでしまっている。
 気付きたくなかったのに――。
 そのまま下着を剥ぎ取られて、男の指が無遠慮に挿入され、痛みで思わずうめき声を上げてしまう。

「おや? 色仕掛けする元王女様はさぞかし遊んでると思ったけれど、もしかして処女だったのか? これはツイてるな。この俺が元王女様の処女を奪えるなんてな?」

 機嫌良さそうにそう呟く男が心底恐ろしくて、足をバタバタと動かすけれどビクともしない。
 それが男の気に障ったのか、顔を殴られ大人しくするように言われた。
 痛みと恐怖で抵抗する気力が奪われる。
 抵抗すればまた暴力を振るわれる――。
 泣き叫んでも男を楽しませるだけ――。
 わたくしは抵抗を止めた。

 男は挿入した指を乱暴に動かして中を掻き混ぜた。
 声なんて出したくないのに、両手を上に拘束されていて口を押えることも出来ず、はしたない声が漏れてしまう。
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