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42.~キュアネside~⭐

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キュアネ・オブ・マジェスティ(5歳)
第一王女


誕生パーティーの帰りの馬車の中、目の前でニヤニヤと顔を緩ませる兄のアレスを一瞥し、気付かれないようにため息をはいた。
きっとミュラの事を考えているのじゃろう…。
兄上は解っているのだろうか、ミュラはわれの運命の番でもあるということを。

‘’運命の番‘’は自分にとっての、というだけで矢印は一方通行だ。番という言葉を使っているが、相手にとっても自分が番である保証は無いし、そもそも相手はこちらの存在事体に気付かない。
王家の血にかけられたまじないは『王が最適な伴侶を迎えられるように』とくだらない思惑から始まっている。
番から好意を寄せて貰えるかは解らない。だから振り向かせられる様にあらゆる事に努力する。番が幸せになれるよう、国の安定にも尽力する。もしかしたら、そういった努力をする為にこのまじないがかけられているのかもしれない。

王家に伝わる‘’運命の番‘’の話を聞いた時、母上にこっそり聞いた事がある。『運命の番が同性の場合はあるのか』という事を…。
母上の答えは肯定で、歴代の王子、王女の番が同性である事があり、皆が祝福され結ばれているそうじゃ。

自分の性別に違和感がある訳ではないし、男性に魅力を感じない訳ではない。ただ、惹かれるのは美しい女性だった。それだけじゃ。
だから、運命の番が女性であるかもしれないという事に少しばかり期待をしていたのじゃ。

ミュラが生まれた日、われには‘’運命の番‘’が王都内に現れたと直ぐに解った。流石にロレイル公爵家の末娘とまでは特定できないが、手の届く範囲に求める者がいる事だけは解った。女性だろうか、男性だろうか?年は?今日生まれたのか、それとも王都外からやってきた年上の人だろうか?早く会いたい。せめてその存在だけでも確認したい。

どのように番探しをしようかと考えていると、その日の夜、兄上から『今朝から甘美な魔力の香りがほのかにする。周りの者に聞いても解らないというが、キュアネはわるか?』と聞かれ、予想外の質問に思わず『わかる』と答えてしまったのじゃが…、内心非常に困惑していた。

もしかしたら兄上と同じ人が番なのではないか…?同じタイミングで別々の者とは考えにくいのではないか…?

しばらく兄上の行動を監視していると、兄上がロレイル公爵家の娘ミュラに執着しているという情報が入り、ある日王都中の赤いカーネーションを送った事で、兄上の運命の番がミュラであると確証を得た。

兄上の運命の番が、われの運命の番であったのなら…何としても確かめる必要がある。こうして兄上に無理を言ってミュラの誕生パーティーに同席させてもらったのじゃ。

ミュラはとても美しかった。
1歳とは思えぬ程整った容姿をしており、美しい魔法を使い花びらが舞う中で微笑む様子に目が離せなかった。
あぁ、われの運命の番じゃ…。
番だから、女性だから、嬉しい訳ではない。
初めて会ったにもかかわらずこんなに心を惹かれてしまうのは、ミュラだからじゃ…。

ミュラが欲しい。
ミュラしかいらぬ。
兄上と同じ人が番だとしても譲れないのじゃ。

ふむ、周りを見渡せばライバルは多そうじゃ…。まぁ当然かの。何とか対策を練らなければのう。
われだけのミュラにするために。
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