【R18】101回目の転生~天然無自覚少女は溺愛に気付かない~

しろ

文字の大きさ
52 / 177

48.~ゼノンside~⭐

しおりを挟む
ゼノン・ド・シシリア(7歳)
シシリア公爵家 長男

妹のシャルカを見ていると時々羨ましいなと感じる。好きな事にのめり込めるのは、ある意味才能だと思う。僕には心を大きく揺らすような情熱は持ち合わせていない。

興奮して倒れた妹のシャルカを控え室に連れて行った後パーティー会場に戻れば、既にミュラちゃんは退場してしまっていた。

「……残念。」

思わずこぼれた言葉に自分でも驚いた。
残念?何が?
ミュラちゃんは確かに可愛い子だった。でもまだ1歳の赤ちゃんだ。僕とは6歳も違う。
婚約者としてあり得ない歳の差ではないが…。

そこまで考えて、考えるのを止めた。
シシリア公爵家の長男として、僕にはこの家を継いでいく責任がある。婚約者は父が決めた人になるだろう。恋愛結婚なんて最初から考えてはいない。

足音が近づいて来て、視線を上げればカインがグラスを持ってやってきた。

「ゼノン。シャルカは大丈夫か?」

「カイン、心配してくれてありがとう。ちょっと興奮してしまっただけだから大丈夫だよ。」

「ふん。心配なんかしていない。シャルカにミューの『好き』は『ありがとう』だから深い意味は無いと伝えておけ。」

「へぇ、間違えて覚えちゃった…訳じゃなさそうだね?カインがシスコンかぁ。意外だね。」

「シスコンじゃない。」

「そう?妹って可愛いでしょ?」

「妹だからじゃない。ミューだからだ。」

「…ふぅん、まぁ追及はしないでおくよ。」

「チッ。」

「カインは…そろそろ婚約者を決めないの?」

「…そうだな。うちは父上が好きにさせてくれるからな…。ゼノンはそういう話が来ているのか?」

「いや、まだ無いよ。でも父上の言う通りにすると思う。」

「好きな人はいないのか?」

「好きって何だろうな?僕にはよく解らないや。感情が乏しいのかもな。あはは…。」

「…会いたい…側に居たいと思う事じゃないか?」

カインは『またな』と言って他の者へ挨拶に向かった。


会いたいと、側に居たいと思う人…。
そんな人僕にできるんだろうか。

ふと、ミュラちゃんのブルートパーズの瞳が頭をよぎったけど、僕はまた考えるのをやめた。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...