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141.~ゼノンEND~2
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「ミュラちゃんいらっしゃい!」
「シャルカ様、今日はありがとうございます。突然相談したいだなんて…ごめんなさい。」
「うふふ、ミュラちゃんの為ならいつでも大丈夫よ。さぁ、私のお部屋に行きましょう。」
誰が好きなのか…気持ちを自覚してから約1ヶ月が経った。今まで普通に接してこれたのに、目が合う事も話をするのも緊張してしまい、自分ではどうしようもできなくなってしまった為、シャルカ様に助けを求めてやってきたのだ。
シャルカ様のお屋敷といえば、当然彼のお屋敷でもある訳で…シャルカ様のお部屋に着くまでの廊下で会うんじゃないかと気が気でなかった。
「で、早速なんだけど…相談ってなぁに?」
「あ…あの…。」
私はチラリとお茶を出してくれた侍女の方に目を向ける。
「あぁ、ハルの事は気にしなくて大丈夫よ。私の専属侍女なんだけど、口が堅いし、何よりミュラちゃんの大ファンだから、ミュラちゃんが傷つくような事は絶対にしないわ。」
「ハルと申します。神に誓って他言はいたしません。」
ペコリと美しい姿勢で礼をするハルさんに私も挨拶を返す。
「ミュラ・ド・ロレイルです。何度かお会いした事がありますよね。しっかり挨拶ができておらず申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。」
「ま…まぁっ!わたくしのような者にまでそのようなお言葉…。ミュラ様はわたくしの女神様でございます。一生ついていきますっ!」
「ちょっと…私の専属でしょ?!静かにしなさい、ハル!」
「ふふふ、ハルさんって面白い方なんですね。」
「ごめんね、ミュラちゃん。騒がしくて…。気を取り直して、相談って何かな?」
「はい…実は…私…、す、す…、好きな人が…」
ポッと顔に熱が集まるのがわかる。
彼を思い浮かべるだけでドキドキしてしまう。
「だっ…誰か聞いてもいい?」
シャルカ様は前のめりになって興味津々だ。
「…ゼ…ゼノン様です…」
「キ…キャーッ…うぐっ!!」
「シャルカお嬢様、お静かになさいませ。」
シャルカ様がキャーと叫ぼうとしたら、すかさずハルさんが口を押さえた…。
「ごめんなさい。びっくりされましたよね…。シャルカ様のお兄様なのに…。」
「私こそごめんなさい。ちょっと色んな感情が混ざって…。」
シャルカ様はちょっと困った顔をしていた…。
「やっぱり…私なんかじゃゼノン様には釣り合わないですよね…」
泣きたくないのに、ウルッと涙で景色が歪む。
「ち…違うの!そういう意味じゃなくて…。大好きなミュラちゃんがお兄様のものになったら…寂しいなって…。」
「シャルカお嬢様、ミュラ様がゼノン様とご結婚されたら、ミュラ様は当家にお住まいになりますよ。毎日ミュラ様とご一緒に…。ふふ、それに、ミュラ様とは義理の姉妹になりますね。」
「ハッ!!そうねっ!他家の輩に取られるより、お兄様の方が何倍もお得だわっ!っていうか、最高じゃないかしら?!ミュラちゃんと姉妹に…ふふ、ふふふふふ。」
「わたくしもミュラ様にお仕えする事ができるビッグチャンスです。ふふふふ。」
「あの…シャルカ様?ハル様?」
顔を見合わせて笑う二人の会話についていけない。
「ごめんね、ミュラちゃん。ちょっと色々想像しちゃって…ふふふ。私、ミュラちゃんの恋を応援するわっ!」
「ありがとうございます、シャルカ様。」
「あっ!でも…お兄様…最近お見合いがどうとか言っていたのよね…。」
「え…」
シャルカ様の言葉に一気に血の気が引いていく。
「勿論お兄様もミュラちゃんが好きよ?だって婚約者候補にと釣書をロレイル公爵家に出しているでしょう?でも、お兄様ももう適齢期だから…。まさかミュラちゃんと結ばれるなんて思ってないんじゃないかしら?」
「釣書の事は…お父様から何も聞いていないの…。でも…もう遅かったのかな…」
「そういえば…ゼノン様は今日もご令嬢に誘われてお茶会に行っておりますね…」
「ハ…ハルッ!」
「……っ!」
ポロポロと涙が溢れてくる。
気持ちに気付くのが遅かったんだ…。
「ミュ…ミュラちゃんっ!泣かないで?ごめんね。大丈夫っ!私に任せて!良い方法があるわっ!」
「良い方法…?」
「そう。うふふふふ、これでお兄様を落とすのよ。」
こうして、シャルカ様とハルさんにアドバイスをたっぷり受けて、私は決戦の日に備えたのだった。
「シャルカ様、今日はありがとうございます。突然相談したいだなんて…ごめんなさい。」
「うふふ、ミュラちゃんの為ならいつでも大丈夫よ。さぁ、私のお部屋に行きましょう。」
誰が好きなのか…気持ちを自覚してから約1ヶ月が経った。今まで普通に接してこれたのに、目が合う事も話をするのも緊張してしまい、自分ではどうしようもできなくなってしまった為、シャルカ様に助けを求めてやってきたのだ。
シャルカ様のお屋敷といえば、当然彼のお屋敷でもある訳で…シャルカ様のお部屋に着くまでの廊下で会うんじゃないかと気が気でなかった。
「で、早速なんだけど…相談ってなぁに?」
「あ…あの…。」
私はチラリとお茶を出してくれた侍女の方に目を向ける。
「あぁ、ハルの事は気にしなくて大丈夫よ。私の専属侍女なんだけど、口が堅いし、何よりミュラちゃんの大ファンだから、ミュラちゃんが傷つくような事は絶対にしないわ。」
「ハルと申します。神に誓って他言はいたしません。」
ペコリと美しい姿勢で礼をするハルさんに私も挨拶を返す。
「ミュラ・ド・ロレイルです。何度かお会いした事がありますよね。しっかり挨拶ができておらず申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。」
「ま…まぁっ!わたくしのような者にまでそのようなお言葉…。ミュラ様はわたくしの女神様でございます。一生ついていきますっ!」
「ちょっと…私の専属でしょ?!静かにしなさい、ハル!」
「ふふふ、ハルさんって面白い方なんですね。」
「ごめんね、ミュラちゃん。騒がしくて…。気を取り直して、相談って何かな?」
「はい…実は…私…、す、す…、好きな人が…」
ポッと顔に熱が集まるのがわかる。
彼を思い浮かべるだけでドキドキしてしまう。
「だっ…誰か聞いてもいい?」
シャルカ様は前のめりになって興味津々だ。
「…ゼ…ゼノン様です…」
「キ…キャーッ…うぐっ!!」
「シャルカお嬢様、お静かになさいませ。」
シャルカ様がキャーと叫ぼうとしたら、すかさずハルさんが口を押さえた…。
「ごめんなさい。びっくりされましたよね…。シャルカ様のお兄様なのに…。」
「私こそごめんなさい。ちょっと色んな感情が混ざって…。」
シャルカ様はちょっと困った顔をしていた…。
「やっぱり…私なんかじゃゼノン様には釣り合わないですよね…」
泣きたくないのに、ウルッと涙で景色が歪む。
「ち…違うの!そういう意味じゃなくて…。大好きなミュラちゃんがお兄様のものになったら…寂しいなって…。」
「シャルカお嬢様、ミュラ様がゼノン様とご結婚されたら、ミュラ様は当家にお住まいになりますよ。毎日ミュラ様とご一緒に…。ふふ、それに、ミュラ様とは義理の姉妹になりますね。」
「ハッ!!そうねっ!他家の輩に取られるより、お兄様の方が何倍もお得だわっ!っていうか、最高じゃないかしら?!ミュラちゃんと姉妹に…ふふ、ふふふふふ。」
「わたくしもミュラ様にお仕えする事ができるビッグチャンスです。ふふふふ。」
「あの…シャルカ様?ハル様?」
顔を見合わせて笑う二人の会話についていけない。
「ごめんね、ミュラちゃん。ちょっと色々想像しちゃって…ふふふ。私、ミュラちゃんの恋を応援するわっ!」
「ありがとうございます、シャルカ様。」
「あっ!でも…お兄様…最近お見合いがどうとか言っていたのよね…。」
「え…」
シャルカ様の言葉に一気に血の気が引いていく。
「勿論お兄様もミュラちゃんが好きよ?だって婚約者候補にと釣書をロレイル公爵家に出しているでしょう?でも、お兄様ももう適齢期だから…。まさかミュラちゃんと結ばれるなんて思ってないんじゃないかしら?」
「釣書の事は…お父様から何も聞いていないの…。でも…もう遅かったのかな…」
「そういえば…ゼノン様は今日もご令嬢に誘われてお茶会に行っておりますね…」
「ハ…ハルッ!」
「……っ!」
ポロポロと涙が溢れてくる。
気持ちに気付くのが遅かったんだ…。
「ミュ…ミュラちゃんっ!泣かないで?ごめんね。大丈夫っ!私に任せて!良い方法があるわっ!」
「良い方法…?」
「そう。うふふふふ、これでお兄様を落とすのよ。」
こうして、シャルカ様とハルさんにアドバイスをたっぷり受けて、私は決戦の日に備えたのだった。
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