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本編
カルシウム不足
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街は黄昏時。伊織は私の手を引きズンズンと住宅街を進んでいく。歩幅の大きい伊織に引きずられる様な形になってしまい、私は小走りでついていく。180cmの男子と156cmの女子の歩幅を考えて欲しい。
「伊織…ちょっと待って…」
「…………」
さっきからコレだ。伊織は一切喋ってくれない。
「伊織くーん」
「……」
「もしもーし」
「……」
「聞こえてますかー?」
「……」
「おーい、い・お・りぃ~」
「あぁーっ!!うるさいっ!」
ドンッ!!
「ひゃっ!急に立ち止まらないでよ~、鼻ぶつけたぁ…」
急に立ち止まったから勢いよく伊織の肩にぶつかってしまった。うぅぅ…痛い。
「何度も何度も呼ばなくても聞こえてる」
「イタタ…。だったら返事してくれてもいいのに…」
「口を開いたら暴言を吐きそうだから黙ってんの!それとも今ここでお説教してやろうか?お馬鹿さんな美優に解るように1から100までゆっくり朝まで話してやるよ」
「いえ…結構です…」
お馬鹿さんって…十分暴言吐いてるし。
そういうのって普通1から10までじゃないの?100まであるの?多くない?
ご近所さんにいつ見られるとも解らない道の真ん中で、弟にお説教される姉の図を想像したら恥ずかし過ぎる。
ついムッとした表情をしてしまった様で、ギロリと睨まれた。怖いから睨まないで欲しい。
さっきから掴まれた手首も痛いし…。あーあ、赤くなってそう。
そんな私の視線に気づいたのか、伊織は手首を離し手を繋ぐ形に変えてくれた。
「何で恋人繋ぎ?」
「逃げようとしたら指を折るから」
「ひっ!!」
なんて子!!お姉ちゃんに向かってそんな恐ろしい事を言うなんてっ!!
でも、言葉とは裏腹に優しく繋がれた手は温かい。歩くスピードもさっきより速度を落としてくれている。根はいい子なのよね。あ!カルシウム不足かしら…。成長期だしね。
「伊織君、お姉ちゃんがコンビニで牛乳と小魚のおつまみ買ってあげようか?」
「あぁ?」
睨まれた後、繋いでいない方の手でバシッと叩かれた。うぅ…酷い…。
「ねぇ、今日お母さんとお父さんは?」
「二人とも出かけてる。友達がホテルでパーティー開くんだと。俺も今頃ホテルで美味しいご飯の予定だったのに」
「ぅ…伊織も行けばよかったのに…」
「不良娘を置いて行ける訳ないだろ、バカ」
「すみません…」
本当、口が悪いんだから。
今度カルシウムたっぷりのご飯を作ってあげよう。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
ーーーーーーーーーーー・・・
家に着くと脱衣所に直行される。
「脱いで」
「え?」
「あの男の匂いが付いてる服でウロウロされるとムカつくから、今すぐお風呂入って」
「もう、ちょっとは休憩させてよ…」
「は?何なら俺が脱がしてやろうか?」
「ごめんなさい。すぐお風呂に入ります」
「解ればよろしい」
伊織が脱衣所から出ていった後、一人ため息をつく。
はぁ…。今日はいろいろあったなぁ。
相澤君の事を蓮って呼ぶようになって、一気に近くなった気がする。
それに、あんなこと…。
抱き締められたり首筋を舐められたりした事を急に思い出し、ポッと顔が赤くなる。
わー、わー、わーーっ!!
ダメダメ!お風呂入ろっ。
こうしつて、お風呂の中でも何度もいろんな事を思い出し赤面を繰り返した。
「伊織…ちょっと待って…」
「…………」
さっきからコレだ。伊織は一切喋ってくれない。
「伊織くーん」
「……」
「もしもーし」
「……」
「聞こえてますかー?」
「……」
「おーい、い・お・りぃ~」
「あぁーっ!!うるさいっ!」
ドンッ!!
「ひゃっ!急に立ち止まらないでよ~、鼻ぶつけたぁ…」
急に立ち止まったから勢いよく伊織の肩にぶつかってしまった。うぅぅ…痛い。
「何度も何度も呼ばなくても聞こえてる」
「イタタ…。だったら返事してくれてもいいのに…」
「口を開いたら暴言を吐きそうだから黙ってんの!それとも今ここでお説教してやろうか?お馬鹿さんな美優に解るように1から100までゆっくり朝まで話してやるよ」
「いえ…結構です…」
お馬鹿さんって…十分暴言吐いてるし。
そういうのって普通1から10までじゃないの?100まであるの?多くない?
ご近所さんにいつ見られるとも解らない道の真ん中で、弟にお説教される姉の図を想像したら恥ずかし過ぎる。
ついムッとした表情をしてしまった様で、ギロリと睨まれた。怖いから睨まないで欲しい。
さっきから掴まれた手首も痛いし…。あーあ、赤くなってそう。
そんな私の視線に気づいたのか、伊織は手首を離し手を繋ぐ形に変えてくれた。
「何で恋人繋ぎ?」
「逃げようとしたら指を折るから」
「ひっ!!」
なんて子!!お姉ちゃんに向かってそんな恐ろしい事を言うなんてっ!!
でも、言葉とは裏腹に優しく繋がれた手は温かい。歩くスピードもさっきより速度を落としてくれている。根はいい子なのよね。あ!カルシウム不足かしら…。成長期だしね。
「伊織君、お姉ちゃんがコンビニで牛乳と小魚のおつまみ買ってあげようか?」
「あぁ?」
睨まれた後、繋いでいない方の手でバシッと叩かれた。うぅ…酷い…。
「ねぇ、今日お母さんとお父さんは?」
「二人とも出かけてる。友達がホテルでパーティー開くんだと。俺も今頃ホテルで美味しいご飯の予定だったのに」
「ぅ…伊織も行けばよかったのに…」
「不良娘を置いて行ける訳ないだろ、バカ」
「すみません…」
本当、口が悪いんだから。
今度カルシウムたっぷりのご飯を作ってあげよう。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
ーーーーーーーーーーー・・・
家に着くと脱衣所に直行される。
「脱いで」
「え?」
「あの男の匂いが付いてる服でウロウロされるとムカつくから、今すぐお風呂入って」
「もう、ちょっとは休憩させてよ…」
「は?何なら俺が脱がしてやろうか?」
「ごめんなさい。すぐお風呂に入ります」
「解ればよろしい」
伊織が脱衣所から出ていった後、一人ため息をつく。
はぁ…。今日はいろいろあったなぁ。
相澤君の事を蓮って呼ぶようになって、一気に近くなった気がする。
それに、あんなこと…。
抱き締められたり首筋を舐められたりした事を急に思い出し、ポッと顔が赤くなる。
わー、わー、わーーっ!!
ダメダメ!お風呂入ろっ。
こうしつて、お風呂の中でも何度もいろんな事を思い出し赤面を繰り返した。
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