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本編
逃げるが勝ち?
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「おはよう、美優」
玄関のドアを開けると蓮が爽やかな笑顔で立っていた。この光景も3度目となると‘あぁやっぱり’くらいにしか思わないのは、慣れってすごいなぁと思う。
「まぁたお前か、ストーカー」
「伊織君、おはよう。ストーカーだなんて酷いなぁ。お義兄さんって呼んでもいいんだよ?」
「誰が呼ぶかボケ!」
伊織ってこんなに口が悪かったかな?
反抗期?カルシウム不足?
威嚇する猫のような伊織に対し、蓮はニコニコと笑みを絶やさないのがすごい。
「相澤、先輩の俺には挨拶無しか?」
「久遠先輩、いくら従兄といえど朝から家に上がり込むのは非常識ではないですか?」
おっと、今度は蓮と大ちゃんの笑顔対決。
一見爽やかなのに冷たい風を感じるのはなぜ?
「家の前で待ち伏せしてるお前に言われたくないね。」
「俺は美優の彼氏なんで、当然でしょう?」
『彼氏』という言葉に、一斉に皆がこちらを見る。
蓮 『そうだよね?』ニコッ
伊織『あぁ?マジで?』ギロッ
大智『脅迫されてるの?』ハッ
怖っ!!視線だけなのに…言葉が聞こえる気がする。
「あー…えっと。遅刻しちゃうから行こう!ねっ!!ほら、伊織もバスの時間遅れちゃうよ?じゃあ、行ってきまーす!」
よし、逃げるが勝ちだ!!
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
ーーーーーーーーーーー・・・
「おはよう、美優。大丈夫?」
「由妃ちゃ~ん。あぁ、私の癒し…。」
教室に着くと由妃ちゃんがギュッと抱き締めてくれた。由妃ちゃんいい匂いする…。柑橘系の爽やかな香りが私の心を落ち着かせてくれる。
「美優、俺が抱き締めてあげるよ?」
「結構です…。相澤君はちょっと離れて下さい。」
結局、逃げられる訳もなく…。
蓮と大ちゃんと私の3人で登校したのだけれど…まぁ~目立つ!
1年生の蓮には入学前からファンクラブやら元カノ組合なるものがあるし、2年生の大ちゃんは生徒会長としても知名度抜群。タイプは違うけど二人とも格好いい。
そんな二人に挟まれる一般人A。それが私です。
『誰あれ?』
『なんであの子が?』
『二人とはどういう関係なの?』
そんな視線とヒソヒソ話を全身に受けながらの登校は非常に疲れる。蓮と付き合ったらずっとこんな感じなのかな、と思うと躊躇う気持ちが出てきてしまうのはしょうがない。
だって私は、見た目も中身も至って普通なんだもん。
由妃ちゃんがナデナデと頭を撫でてくれるのに身を任せていると、蓮がムスッとした顔をこちらに向ける。
「ねぇ、なんで『相澤君』?」
どうやら先程、名前呼びじゃなく『相澤君』と呼んだのがお気に召さないらしい。
「…恥ずかしいから。」
私にとって、人前で、しかも学校で『蓮』と呼ぶのはハードルが高過ぎる。それにこの前伊織が反応したように、急に名前呼びをしたら違和感を抱く人が多いと思う。
まだ彼氏(仮)で、正式にお付き合いしていない今、あまり波風を立てたくない。
お付き合いするなら、ゆっくりお互いを知って好きになっていきたいな。
由妃ちゃんのハグを終え、席に着く時に蓮がコソッと耳打ちした。
「じゃあ二人だけの時に『蓮』って呼んで。約束だよ?」
「…っ!!」
うぅ…ドキドキしちゃう。
私は周りにバレないように両手でニヤケる口元を覆うのだった。
玄関のドアを開けると蓮が爽やかな笑顔で立っていた。この光景も3度目となると‘あぁやっぱり’くらいにしか思わないのは、慣れってすごいなぁと思う。
「まぁたお前か、ストーカー」
「伊織君、おはよう。ストーカーだなんて酷いなぁ。お義兄さんって呼んでもいいんだよ?」
「誰が呼ぶかボケ!」
伊織ってこんなに口が悪かったかな?
反抗期?カルシウム不足?
威嚇する猫のような伊織に対し、蓮はニコニコと笑みを絶やさないのがすごい。
「相澤、先輩の俺には挨拶無しか?」
「久遠先輩、いくら従兄といえど朝から家に上がり込むのは非常識ではないですか?」
おっと、今度は蓮と大ちゃんの笑顔対決。
一見爽やかなのに冷たい風を感じるのはなぜ?
「家の前で待ち伏せしてるお前に言われたくないね。」
「俺は美優の彼氏なんで、当然でしょう?」
『彼氏』という言葉に、一斉に皆がこちらを見る。
蓮 『そうだよね?』ニコッ
伊織『あぁ?マジで?』ギロッ
大智『脅迫されてるの?』ハッ
怖っ!!視線だけなのに…言葉が聞こえる気がする。
「あー…えっと。遅刻しちゃうから行こう!ねっ!!ほら、伊織もバスの時間遅れちゃうよ?じゃあ、行ってきまーす!」
よし、逃げるが勝ちだ!!
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
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「おはよう、美優。大丈夫?」
「由妃ちゃ~ん。あぁ、私の癒し…。」
教室に着くと由妃ちゃんがギュッと抱き締めてくれた。由妃ちゃんいい匂いする…。柑橘系の爽やかな香りが私の心を落ち着かせてくれる。
「美優、俺が抱き締めてあげるよ?」
「結構です…。相澤君はちょっと離れて下さい。」
結局、逃げられる訳もなく…。
蓮と大ちゃんと私の3人で登校したのだけれど…まぁ~目立つ!
1年生の蓮には入学前からファンクラブやら元カノ組合なるものがあるし、2年生の大ちゃんは生徒会長としても知名度抜群。タイプは違うけど二人とも格好いい。
そんな二人に挟まれる一般人A。それが私です。
『誰あれ?』
『なんであの子が?』
『二人とはどういう関係なの?』
そんな視線とヒソヒソ話を全身に受けながらの登校は非常に疲れる。蓮と付き合ったらずっとこんな感じなのかな、と思うと躊躇う気持ちが出てきてしまうのはしょうがない。
だって私は、見た目も中身も至って普通なんだもん。
由妃ちゃんがナデナデと頭を撫でてくれるのに身を任せていると、蓮がムスッとした顔をこちらに向ける。
「ねぇ、なんで『相澤君』?」
どうやら先程、名前呼びじゃなく『相澤君』と呼んだのがお気に召さないらしい。
「…恥ずかしいから。」
私にとって、人前で、しかも学校で『蓮』と呼ぶのはハードルが高過ぎる。それにこの前伊織が反応したように、急に名前呼びをしたら違和感を抱く人が多いと思う。
まだ彼氏(仮)で、正式にお付き合いしていない今、あまり波風を立てたくない。
お付き合いするなら、ゆっくりお互いを知って好きになっていきたいな。
由妃ちゃんのハグを終え、席に着く時に蓮がコソッと耳打ちした。
「じゃあ二人だけの時に『蓮』って呼んで。約束だよ?」
「…っ!!」
うぅ…ドキドキしちゃう。
私は周りにバレないように両手でニヤケる口元を覆うのだった。
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