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本編
クラス委員
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「はい、今日はクラス委員決めるぞ~。やりたい奴いるかー?」
担任の先生の問いかけに皆一斉に目をそらす。勿論私も。そもそも私はクラスの代表ってタイプじゃないし、人望もある訳じゃないから関係の無いことだなと思う。
「クラス委員は、生徒会と各クラスを繋ぐ重要な役割だ。ちなみに1年で生徒会に入るのは難しいからな。現生徒会長の久遠は異例だから。2年から生徒会入りを希望している者はクラス委員になる事をお勧めするぞ」
大ちゃんは1年の時に既に生徒会入りをしている。確か、生徒会役員だった先輩方と中学の時から仲良しで推薦されたんだったと思う。大ちゃんは中学の時も生徒会に入っていたから、人望があるんだよね。
「先生、僕やります」
ピシッと真っ直ぐ手を挙げたのは佐藤 傑君。佐藤君とは同じ中学だった。中学時代、佐藤君は生徒会に入っていて大ちゃんとも仲が良かったと思う。大ちゃんが中学を卒業した後、佐藤君が生徒会長を引き継いでたもんね。
そんな真面目で穏やかな佐藤君にクラス委員はピッタリだと思う。
「お~、佐藤ありがとう。他に男子の立候補がいなければ佐藤に決定するぞ~」
他の立候補者はおらず、佐藤君が教壇の横に立つとパチパチと拍手がわいた。
「女子の立候補は居ないか~?」
先生の問いかけに女子は一斉に視線を反らした。
「先生、もしよければ俺から推薦させてもらってもいいですか?」
「おー、まぁ一緒に仕事するからな、やりやすい人が居れば推薦も構わないぞ」
「では…甘音さん、よろしくお願いします」
佐藤君の発言に、皆の視線が私に集まる。
「ひぇっ!?わた…私?!」
思わぬ指名に変な声が出てしまう。
何で私?小、中ともに私は一度もクラス委員や生徒会を務めた事はない。
「甘音さんは生徒会長の久遠さんと親戚ですし、俺も中学から顔見知りなので…。甘音さん、駄目かな?」
「おー、甘音は久遠と親戚だったのかぁ。甘音、どうだ?やれそうか?」
「え、あ、…えっと…」
どうしよう、私にそんな大役無理だよぉ~。大ちゃんと親戚だからって私が有能な訳じゃない。なんならポンコツな自覚さえある。
でも、他に立候補者も居ないし、教室には早く決めてよねって雰囲気まで漂い始めている。
「せんせーい!こんな風に指名されたら断りにくいですよ。推薦とか言って、やましい気持ちがあるんじゃねーの?」
蓮が大きな声で言うから、教室は一気に静まり返る。
「やだなぁ、相澤君。別にやましい気持ちなんてないよ。でも、甘音さん嫌だったら断ってくれて構わないよ。ごめんね」
佐藤君はペコリと頭を下げて、優しく笑ってくれる。
「じゃあ女子はくじ引きにするか?」
先生の発案に女子からは「えぇ~」とブーイングが上がる。
どうしよう…まずい空気になってしまった。
佐藤君がせっかく推薦してくれたのに、断るなんて申し訳ない。それに、くじ引きとかみんな嫌だよね。
「あ、あの!私…やります…」
かなり小さな声になってしまったが、私はおずおずと手を挙げた。
「美優、嫌なら無理しなくていいんだよ?」
蓮が隣で不満げな顔をするけど、この雰囲気の中ではこれが最善だと思う。
「甘音、ありがとう。じゃあ女子は甘音で決定でいいか?他に立候補者はいないかー?」
「先生!美優がやるなら俺がクラス委員やる!」
蓮はガタンと椅子を倒しながら立ち上がる。
「相澤~、お前の方がやましい気持ちでの立候補だろ?却下だ。男子は佐藤、女子は甘音。はい、決定~!」
パチパチと拍手が起こるなか、蓮は「何でだよー!」と一人わめいていた。
私はと言えば、初めてのクラス委員という大役に大丈夫かなと不安でいっぱいで…。そんな私を佐藤君が見つめている事には気付かなかった。
担任の先生の問いかけに皆一斉に目をそらす。勿論私も。そもそも私はクラスの代表ってタイプじゃないし、人望もある訳じゃないから関係の無いことだなと思う。
「クラス委員は、生徒会と各クラスを繋ぐ重要な役割だ。ちなみに1年で生徒会に入るのは難しいからな。現生徒会長の久遠は異例だから。2年から生徒会入りを希望している者はクラス委員になる事をお勧めするぞ」
大ちゃんは1年の時に既に生徒会入りをしている。確か、生徒会役員だった先輩方と中学の時から仲良しで推薦されたんだったと思う。大ちゃんは中学の時も生徒会に入っていたから、人望があるんだよね。
「先生、僕やります」
ピシッと真っ直ぐ手を挙げたのは佐藤 傑君。佐藤君とは同じ中学だった。中学時代、佐藤君は生徒会に入っていて大ちゃんとも仲が良かったと思う。大ちゃんが中学を卒業した後、佐藤君が生徒会長を引き継いでたもんね。
そんな真面目で穏やかな佐藤君にクラス委員はピッタリだと思う。
「お~、佐藤ありがとう。他に男子の立候補がいなければ佐藤に決定するぞ~」
他の立候補者はおらず、佐藤君が教壇の横に立つとパチパチと拍手がわいた。
「女子の立候補は居ないか~?」
先生の問いかけに女子は一斉に視線を反らした。
「先生、もしよければ俺から推薦させてもらってもいいですか?」
「おー、まぁ一緒に仕事するからな、やりやすい人が居れば推薦も構わないぞ」
「では…甘音さん、よろしくお願いします」
佐藤君の発言に、皆の視線が私に集まる。
「ひぇっ!?わた…私?!」
思わぬ指名に変な声が出てしまう。
何で私?小、中ともに私は一度もクラス委員や生徒会を務めた事はない。
「甘音さんは生徒会長の久遠さんと親戚ですし、俺も中学から顔見知りなので…。甘音さん、駄目かな?」
「おー、甘音は久遠と親戚だったのかぁ。甘音、どうだ?やれそうか?」
「え、あ、…えっと…」
どうしよう、私にそんな大役無理だよぉ~。大ちゃんと親戚だからって私が有能な訳じゃない。なんならポンコツな自覚さえある。
でも、他に立候補者も居ないし、教室には早く決めてよねって雰囲気まで漂い始めている。
「せんせーい!こんな風に指名されたら断りにくいですよ。推薦とか言って、やましい気持ちがあるんじゃねーの?」
蓮が大きな声で言うから、教室は一気に静まり返る。
「やだなぁ、相澤君。別にやましい気持ちなんてないよ。でも、甘音さん嫌だったら断ってくれて構わないよ。ごめんね」
佐藤君はペコリと頭を下げて、優しく笑ってくれる。
「じゃあ女子はくじ引きにするか?」
先生の発案に女子からは「えぇ~」とブーイングが上がる。
どうしよう…まずい空気になってしまった。
佐藤君がせっかく推薦してくれたのに、断るなんて申し訳ない。それに、くじ引きとかみんな嫌だよね。
「あ、あの!私…やります…」
かなり小さな声になってしまったが、私はおずおずと手を挙げた。
「美優、嫌なら無理しなくていいんだよ?」
蓮が隣で不満げな顔をするけど、この雰囲気の中ではこれが最善だと思う。
「甘音、ありがとう。じゃあ女子は甘音で決定でいいか?他に立候補者はいないかー?」
「先生!美優がやるなら俺がクラス委員やる!」
蓮はガタンと椅子を倒しながら立ち上がる。
「相澤~、お前の方がやましい気持ちでの立候補だろ?却下だ。男子は佐藤、女子は甘音。はい、決定~!」
パチパチと拍手が起こるなか、蓮は「何でだよー!」と一人わめいていた。
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