48 / 62
本編
取り調べ
しおりを挟む
1限目の後、蓮に「ちょっと来て」と手を引っ張られる。由妃ちゃんが心配そうに声をかけてくれたけど「大丈夫だから」と言って大人しく蓮について行く。
多分、みんなの前でするような話じゃないんだよね…。
連れてこられたのは、自習室として使用したりお昼を食べる時に使用したりと、常に生徒に解放されている空き教室だった。
休み時間のチャイムとともに連れてこられた為、室内には誰も居らず、蓮は教室に入るや否や内側から鍵を締めた。
「こっち」と手を引かれ、蓮は私をカーテンの内側へと閉じこめる。廊下から見えないように配慮してくれたのかな?
ここまで最低限の言葉しか発していない蓮は、ムスッとした顔でかなり機嫌が悪そうだった。
私もどうして良いか解らず無言で蓮を見上げる。
「ねぇ、朝から気になってたんだけどコレなに?」
トンと指で押された所は首筋の絆創膏。
朝会った時に何も言われなかったから大丈夫だと思っていたのに、やはりそうはいかなかったようだ。
「えーっと…姉弟喧嘩しちゃって…」
あははと笑って言ってみたけど蓮の顔は厳しいままで…
ペリッ!と絆創膏を剥がされてしまう。
「…俺のキスマークに上書きするのが姉弟喧嘩?」
「私が相澤君の家に行くの内緒にしてた事に怒ってて…、それに相澤君の事きら……苦手みたいでね、お仕置きっていうか何というか…まぁ、姉弟喧嘩だから気にしないで」
「めちゃくちゃ気になるし、凄く嫌なんだけど。美優はソレ受け入れてるの?」
ソレってどれ?喧嘩を受け入れてるかってこと?それとも伊織が蓮を苦手にしてる事に対してそれでいいの、ってこと?
「できれば喧嘩したくないし、伊織と相澤君が仲良くなればいいなとは思ってるけど…?」
「…………はぁ、少しでも危険を感じたら俺に連絡してって言ったよね?」
今すごく間があったよね。どうやらご希望の回答ではなかったみたい?
「危険って…確かに姉弟喧嘩したけど、伊織が殴ってくるとかそういうのは無いよ?最近反抗期なだけで、相澤君に対しても口が悪いのは本当に申し訳ないと思うけど、根は良い子なの!だから伊織の事誤解しないで欲しいな」
「……はぁ。もういい」
『もういい』の一言がすごく冷たく聞こえて…
「あ…相澤君…ごめん…なさい」
彼氏(仮)なんて曖昧な関係を望んでいるのは自分なのに、嫌われたくなくて…蓮のシャツの裾を無意識に掴んでしまう。
「違う。美優に謝って欲しい訳じゃない。俺が何とかすればいい事だから…美優は何も考えず俺の隣に居て」
ぎゅっと抱き締められてホッとしてしまう自分に、蓮に対して友達以上の感情が芽生え始めていることにやっと気づいた。
「ねぇ、二人きりの時は名前で呼ぶ約束でしょ?」
さっきまでの冷たい雰囲気から一転、拗ねて甘えたような声でねだられて、耳がソワソワしてしまう。
「れ…蓮…」
「美優。大好き。早く俺の事だけしか考えられなくなって」
おでこにチュッとキスを落とされた所で、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴って、慌てて教室へ戻った。
胸がドキドキするのは、走ったからじゃ…ないみたい。
多分、みんなの前でするような話じゃないんだよね…。
連れてこられたのは、自習室として使用したりお昼を食べる時に使用したりと、常に生徒に解放されている空き教室だった。
休み時間のチャイムとともに連れてこられた為、室内には誰も居らず、蓮は教室に入るや否や内側から鍵を締めた。
「こっち」と手を引かれ、蓮は私をカーテンの内側へと閉じこめる。廊下から見えないように配慮してくれたのかな?
ここまで最低限の言葉しか発していない蓮は、ムスッとした顔でかなり機嫌が悪そうだった。
私もどうして良いか解らず無言で蓮を見上げる。
「ねぇ、朝から気になってたんだけどコレなに?」
トンと指で押された所は首筋の絆創膏。
朝会った時に何も言われなかったから大丈夫だと思っていたのに、やはりそうはいかなかったようだ。
「えーっと…姉弟喧嘩しちゃって…」
あははと笑って言ってみたけど蓮の顔は厳しいままで…
ペリッ!と絆創膏を剥がされてしまう。
「…俺のキスマークに上書きするのが姉弟喧嘩?」
「私が相澤君の家に行くの内緒にしてた事に怒ってて…、それに相澤君の事きら……苦手みたいでね、お仕置きっていうか何というか…まぁ、姉弟喧嘩だから気にしないで」
「めちゃくちゃ気になるし、凄く嫌なんだけど。美優はソレ受け入れてるの?」
ソレってどれ?喧嘩を受け入れてるかってこと?それとも伊織が蓮を苦手にしてる事に対してそれでいいの、ってこと?
「できれば喧嘩したくないし、伊織と相澤君が仲良くなればいいなとは思ってるけど…?」
「…………はぁ、少しでも危険を感じたら俺に連絡してって言ったよね?」
今すごく間があったよね。どうやらご希望の回答ではなかったみたい?
「危険って…確かに姉弟喧嘩したけど、伊織が殴ってくるとかそういうのは無いよ?最近反抗期なだけで、相澤君に対しても口が悪いのは本当に申し訳ないと思うけど、根は良い子なの!だから伊織の事誤解しないで欲しいな」
「……はぁ。もういい」
『もういい』の一言がすごく冷たく聞こえて…
「あ…相澤君…ごめん…なさい」
彼氏(仮)なんて曖昧な関係を望んでいるのは自分なのに、嫌われたくなくて…蓮のシャツの裾を無意識に掴んでしまう。
「違う。美優に謝って欲しい訳じゃない。俺が何とかすればいい事だから…美優は何も考えず俺の隣に居て」
ぎゅっと抱き締められてホッとしてしまう自分に、蓮に対して友達以上の感情が芽生え始めていることにやっと気づいた。
「ねぇ、二人きりの時は名前で呼ぶ約束でしょ?」
さっきまでの冷たい雰囲気から一転、拗ねて甘えたような声でねだられて、耳がソワソワしてしまう。
「れ…蓮…」
「美優。大好き。早く俺の事だけしか考えられなくなって」
おでこにチュッとキスを落とされた所で、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴って、慌てて教室へ戻った。
胸がドキドキするのは、走ったからじゃ…ないみたい。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『推しに転生したら、攻略対象が全員ヤンデレ化した件』
春夜夢
ファンタジー
「推しキャラが死ぬバッドエンドなんて認めない──だったら、私が推しになる!」
ゲーム好き女子高生の私が転生したのは、乙女ゲームの中の“推しキャラ”本人だった!
しかも、攻略対象たちがみんなルート無視で私に執着しはじめて……!?
「君が他の男を見るなんて、耐えられない」
「俺だけを見てくれなきゃ、壊れちゃうよ?」
推しキャラ(自分)への愛が暴走する、
ヤンデレ王子・俺様騎士・病み系幼なじみとの、危険すぎる恋愛バトルが今、始まる──!
👧主人公紹介
望月 ひより(もちづき ひより) / 転生後:ヒロイン「シエル=フェリシア」
・現代ではゲームオタクな平凡女子高生
・推しキャラの「シエル」に転生
・記憶保持型の転生で、攻略対象全員のヤンデレ化ルートを熟知している
・ただし、“自分が推される側”になることは想定外で、超戸惑い中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる