49 / 62
本編
親友
しおりを挟む
「美優、その首…まさか相澤に?」
教室に戻ると由妃ちゃんが青い顔で駆け寄ってきた。
蓮に絆創膏を取られてしまい、露になった首筋の印。髪で隠れる場所ではあるけれど、走って戻ってきたせいで髪が乱れて由妃ちゃんにもバレてしまった。
「これはその…」
説明しようとした所で先生が来てしまい「次の休み時間にちゃんと教えて?」と由妃ちゃんに言われ、頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
「…という訳なの」
今日2回目の空き教室。
さっきは蓮で、今は由妃ちゃんによる取り調べを受けていた。
私は土曜日に内緒で蓮の家に行った事。断るつもりで行ったけど、蓮の真剣な想いと涙に押され彼氏(仮)という関係を続ける事。蓮に悪戯で付けられたキスマークが伊織に見つかり、姉弟喧嘩の末に首に鬱血痕ができてしまった事をかいつまんで話した。
「…言いたい事や聞きたい事は沢山あるわ。…でも美優が事前に相談してくれなかった事が一番悲しい。私達親友でしょ?」
「ごめんなさい。由妃ちゃんに心配かけたくなかったの。でも、伊織にはそれが余計に心配かけてるって怒られた。今度からはちゃんと相談する…本当にごめんなさい」
由妃ちゃんにこんな悲しい顔をさせたかった訳じゃないのに…。
廊下から聞こえる生徒の笑い声がまるで別の世界かのように、教室は静まり冷たい空気が漂っていた。
「美優…相澤の事どう思ってるの?」
「まだよくわからないけど、気になってる。好きって言われたり、だ…抱き締められてもっ、嫌じゃ…ないの」
「ごめん、美優。それって浮かれてるだけじゃない?今までそういう経験ないから、迫られてドキドキしてるだけでしょ。相澤が特別なんかじゃない。それは好きとかそういう感情じゃないと思う」
いつもとは違う、由妃ちゃんの強い口調にドキッとする。
「ぁ……うん、そうなの…かな?」
自分とは釣り合わない様な格好いい男の子に言い寄られて舞い上がって、好きだと勘違いしているんじゃない?って…痛い所をつかれて苦しい。
確かに今まで告白された事もなければ、そういう浮わついた話も一度も無い。テレビや小説の恋愛話の様に、突然訪れた好意に自分でもよくわからない状況になっている。
蓮に対してドキドキするこの気持ちは…恋じゃないのかな?
「美優は…押しに弱いもんね?」
「え…?由妃…ちゃん?」
由妃ちゃんの綺麗な顔が近付いて来て…びっくりして動けないでいると、唇のすぐ横にチュッとキスされた。
「こういう事されたら…私の事も好きになってくれるの?」
「…ぇ?!わっ…え?!」
由妃ちゃんはぎゅっう~っと私を抱き締めて、「うぅ~っ、もぅやだぁ…」と泣きそうな声をあげる。
「由妃ちゃん…?ごめん、びっくりしちゃった。私、由妃ちゃんの事大好きだよ?」
「ほんとぉ?美優、私寂しいんだよ…」
「うん、解る。私もね、由妃ちゃんが彼氏作った時、実は寂しかった。由妃ちゃんが私と遊んだり話したりしてくれなくなっちゃうのかな?って…」
「……うぅ…」
「大丈夫。私達ずっと友達だよ?由妃ちゃん大好きだもん」
由妃ちゃんの背中をポンポンと撫でると
「…美優のバカ…」と呟かれて、
私は笑いながら「心配かけてごめんね」と伝えた。
教室に戻ると由妃ちゃんが青い顔で駆け寄ってきた。
蓮に絆創膏を取られてしまい、露になった首筋の印。髪で隠れる場所ではあるけれど、走って戻ってきたせいで髪が乱れて由妃ちゃんにもバレてしまった。
「これはその…」
説明しようとした所で先生が来てしまい「次の休み時間にちゃんと教えて?」と由妃ちゃんに言われ、頷いた。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
「…という訳なの」
今日2回目の空き教室。
さっきは蓮で、今は由妃ちゃんによる取り調べを受けていた。
私は土曜日に内緒で蓮の家に行った事。断るつもりで行ったけど、蓮の真剣な想いと涙に押され彼氏(仮)という関係を続ける事。蓮に悪戯で付けられたキスマークが伊織に見つかり、姉弟喧嘩の末に首に鬱血痕ができてしまった事をかいつまんで話した。
「…言いたい事や聞きたい事は沢山あるわ。…でも美優が事前に相談してくれなかった事が一番悲しい。私達親友でしょ?」
「ごめんなさい。由妃ちゃんに心配かけたくなかったの。でも、伊織にはそれが余計に心配かけてるって怒られた。今度からはちゃんと相談する…本当にごめんなさい」
由妃ちゃんにこんな悲しい顔をさせたかった訳じゃないのに…。
廊下から聞こえる生徒の笑い声がまるで別の世界かのように、教室は静まり冷たい空気が漂っていた。
「美優…相澤の事どう思ってるの?」
「まだよくわからないけど、気になってる。好きって言われたり、だ…抱き締められてもっ、嫌じゃ…ないの」
「ごめん、美優。それって浮かれてるだけじゃない?今までそういう経験ないから、迫られてドキドキしてるだけでしょ。相澤が特別なんかじゃない。それは好きとかそういう感情じゃないと思う」
いつもとは違う、由妃ちゃんの強い口調にドキッとする。
「ぁ……うん、そうなの…かな?」
自分とは釣り合わない様な格好いい男の子に言い寄られて舞い上がって、好きだと勘違いしているんじゃない?って…痛い所をつかれて苦しい。
確かに今まで告白された事もなければ、そういう浮わついた話も一度も無い。テレビや小説の恋愛話の様に、突然訪れた好意に自分でもよくわからない状況になっている。
蓮に対してドキドキするこの気持ちは…恋じゃないのかな?
「美優は…押しに弱いもんね?」
「え…?由妃…ちゃん?」
由妃ちゃんの綺麗な顔が近付いて来て…びっくりして動けないでいると、唇のすぐ横にチュッとキスされた。
「こういう事されたら…私の事も好きになってくれるの?」
「…ぇ?!わっ…え?!」
由妃ちゃんはぎゅっう~っと私を抱き締めて、「うぅ~っ、もぅやだぁ…」と泣きそうな声をあげる。
「由妃ちゃん…?ごめん、びっくりしちゃった。私、由妃ちゃんの事大好きだよ?」
「ほんとぉ?美優、私寂しいんだよ…」
「うん、解る。私もね、由妃ちゃんが彼氏作った時、実は寂しかった。由妃ちゃんが私と遊んだり話したりしてくれなくなっちゃうのかな?って…」
「……うぅ…」
「大丈夫。私達ずっと友達だよ?由妃ちゃん大好きだもん」
由妃ちゃんの背中をポンポンと撫でると
「…美優のバカ…」と呟かれて、
私は笑いながら「心配かけてごめんね」と伝えた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『推しに転生したら、攻略対象が全員ヤンデレ化した件』
春夜夢
ファンタジー
「推しキャラが死ぬバッドエンドなんて認めない──だったら、私が推しになる!」
ゲーム好き女子高生の私が転生したのは、乙女ゲームの中の“推しキャラ”本人だった!
しかも、攻略対象たちがみんなルート無視で私に執着しはじめて……!?
「君が他の男を見るなんて、耐えられない」
「俺だけを見てくれなきゃ、壊れちゃうよ?」
推しキャラ(自分)への愛が暴走する、
ヤンデレ王子・俺様騎士・病み系幼なじみとの、危険すぎる恋愛バトルが今、始まる──!
👧主人公紹介
望月 ひより(もちづき ひより) / 転生後:ヒロイン「シエル=フェリシア」
・現代ではゲームオタクな平凡女子高生
・推しキャラの「シエル」に転生
・記憶保持型の転生で、攻略対象全員のヤンデレ化ルートを熟知している
・ただし、“自分が推される側”になることは想定外で、超戸惑い中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる