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蓮side/so far
過去の過ち/蓮side.10
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いつものように、放課後美優の跡をつけていた。一緒に帰ろうと勇気を出して言ったのに、断られてしまったからしょうがない。
伊村由妃と駅前で別れた美優が服屋でワンピースを見ていた所、派手な女に呼び出され連れて行かれてしまった。
この時点ですぐに止めれば良かったんだけど、女の顔に見覚えのなかった俺は、女が美優の知り合いなのかもしれないと躊躇ってしまった。
「あんたのせいで蓮は私達と一切連絡を取らなくなったのよ!?大人しい顔して、どんな手を使って蓮を誘惑したのよ!」
「し…してませんっ!!私…相澤君とは昨日初めて会ったばかりですし…」
あの女、俺のセフレだった奴か?全く覚えてない。
柱の影から見守っていると、女の金切り声が聞こえる。マジでうざい。
でも、美優が『今は私の彼氏だからほっといて!』なんて言ってくれないかな…とほんの少し期待してしまった。人って、気になるものが誰かに取られそうになると『私の!』って気付く事もあるから。
「はぁ?蓮がおかしくなったのは1年前からなのよ!?昨日初めて会ったとか嘘ついてんじゃないわよ!」
「嘘じゃないですっ…」
「あんた…ふざけてんの?!」
女が手を振り上げた瞬間俺は走り出していた。
間一髪で女の腕を掴み上げる。
「あ…いざわ…くん?」
肩を震わせる美優を見て更に怒りがこみ上げる。
「ねぇ、美優に何してんの?殺すぞ」
「いっ、痛っ!!蓮っ、痛い!」
「気安く名前呼ぶんじゃねーよ。俺の名前は美優が呼ぶ為にあるんだけど」
醜い女の腕をギリギリと捻り上げる。
「なっ…何よ!何回も抱いてくれたじゃない!ねぇ蓮、あんなお子様みたいな子より私の方が蓮を気持ちよくさせてあげられるよ?」
「はぁ?お前なんか覚えてねーよ。俺の美優を貶してんじゃねー。マジでウザイ。消えて」
「…っ!!」
走り去る女には気にも止めず、美優に駆け寄る。
「美優…。ごめん、大丈夫?」
ガクッとバランスを崩し倒れそうになる美優を咄嗟に抱き締めた。
「危なっ!!大丈夫?」
「あ…ありがとう。ごめん、腰が抜けちゃったみたい…」
ガクガクと震える足は力が入らないようで、美優は青ざめた顔をしていた。
「あぁ、クソッ!本当ごめん。もっと早く止めに入れば良かった…。ごめん美優ー」
こんな事になるなら、すぐに止めに入ればよかった。美優を危険な目に合わせてしまった事に自分が許せない。
「あ、あの…苦しいっ…。もう、大丈夫だから離して」
美優の瞳からは綺麗な涙がこぼれ落ちていた。
「美優泣いてるじゃん…」
「え…」
「ヤバイ。ごめん、泣き顔も超可愛い。そんな顔、他の奴に見せらんないから、泣き止むまで俺に抱き締められてて。お願い、そうしないと美優の泣き顔見た奴を片っ端から殺しちゃいそうだから」
「ちょっ…何それ、怖いから…。ぷっ、あはは」
「ふふ、良かった、笑ってくれた。でも俺、本気だからね。だから大人しくこうしてて」
初めて抱き締めた美優は華奢で、柔らかくて、良い香りがした。
俺が守ってあげなくちゃ。
もう二度と美優を危険な目に合わせないと心に誓う。
伊村由妃と駅前で別れた美優が服屋でワンピースを見ていた所、派手な女に呼び出され連れて行かれてしまった。
この時点ですぐに止めれば良かったんだけど、女の顔に見覚えのなかった俺は、女が美優の知り合いなのかもしれないと躊躇ってしまった。
「あんたのせいで蓮は私達と一切連絡を取らなくなったのよ!?大人しい顔して、どんな手を使って蓮を誘惑したのよ!」
「し…してませんっ!!私…相澤君とは昨日初めて会ったばかりですし…」
あの女、俺のセフレだった奴か?全く覚えてない。
柱の影から見守っていると、女の金切り声が聞こえる。マジでうざい。
でも、美優が『今は私の彼氏だからほっといて!』なんて言ってくれないかな…とほんの少し期待してしまった。人って、気になるものが誰かに取られそうになると『私の!』って気付く事もあるから。
「はぁ?蓮がおかしくなったのは1年前からなのよ!?昨日初めて会ったとか嘘ついてんじゃないわよ!」
「嘘じゃないですっ…」
「あんた…ふざけてんの?!」
女が手を振り上げた瞬間俺は走り出していた。
間一髪で女の腕を掴み上げる。
「あ…いざわ…くん?」
肩を震わせる美優を見て更に怒りがこみ上げる。
「ねぇ、美優に何してんの?殺すぞ」
「いっ、痛っ!!蓮っ、痛い!」
「気安く名前呼ぶんじゃねーよ。俺の名前は美優が呼ぶ為にあるんだけど」
醜い女の腕をギリギリと捻り上げる。
「なっ…何よ!何回も抱いてくれたじゃない!ねぇ蓮、あんなお子様みたいな子より私の方が蓮を気持ちよくさせてあげられるよ?」
「はぁ?お前なんか覚えてねーよ。俺の美優を貶してんじゃねー。マジでウザイ。消えて」
「…っ!!」
走り去る女には気にも止めず、美優に駆け寄る。
「美優…。ごめん、大丈夫?」
ガクッとバランスを崩し倒れそうになる美優を咄嗟に抱き締めた。
「危なっ!!大丈夫?」
「あ…ありがとう。ごめん、腰が抜けちゃったみたい…」
ガクガクと震える足は力が入らないようで、美優は青ざめた顔をしていた。
「あぁ、クソッ!本当ごめん。もっと早く止めに入れば良かった…。ごめん美優ー」
こんな事になるなら、すぐに止めに入ればよかった。美優を危険な目に合わせてしまった事に自分が許せない。
「あ、あの…苦しいっ…。もう、大丈夫だから離して」
美優の瞳からは綺麗な涙がこぼれ落ちていた。
「美優泣いてるじゃん…」
「え…」
「ヤバイ。ごめん、泣き顔も超可愛い。そんな顔、他の奴に見せらんないから、泣き止むまで俺に抱き締められてて。お願い、そうしないと美優の泣き顔見た奴を片っ端から殺しちゃいそうだから」
「ちょっ…何それ、怖いから…。ぷっ、あはは」
「ふふ、良かった、笑ってくれた。でも俺、本気だからね。だから大人しくこうしてて」
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俺が守ってあげなくちゃ。
もう二度と美優を危険な目に合わせないと心に誓う。
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