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ある日のこと、俺とフィーナは冒険者ギルドに訪れていた。
「今日はどんな依頼があるかな?」
「そうですね……これなんてどうですか?」
ルシアは掲示板に貼ってある依頼書を指差す。そこには『幽霊屋敷の調査』と書かれていた。
「幽霊屋敷か……面白そうだな」
俺は依頼書を手に取ると受付カウンターへと持っていく。そして手続きを済ませると、俺たちは街外れにある幽霊屋敷へと向かった。
「ここですね」
目の前には古ぼけた一軒の屋敷があった。周囲には雑草が生い茂っており、建物もボロボロになっている。
「随分と古い屋敷だな……」
俺は玄関のドアを開ける。すると、中は真っ暗だった。ルシアは翼を広げると風を巻き起こして明かりを灯した。そして俺たちは屋敷の中へと入っていく。
「暗いですね……」
「ああ、そうだな」
俺たちは手探りで進んでいくことにした。しばらく歩いていると、大きな部屋に出たようだ。そこにはたくさんの家具が置かれていたがどれも壊れているものばかりだった。そして部屋の隅に人影を発見した。
「お前たちも屋敷を荒らしに来たのか?」
人影はこちらに声をかけてきた。よく見るとそれは少女であった。年齢は15歳くらいだろうか? 長い金髪と青い瞳が特徴的な美しい少女だった。
「違う、俺たちは依頼を受けて来たんだ」
俺は事情を説明したが、少女は納得していない様子だった。
「屋敷を荒らすものは誰であろうと許さない!」
少女はそう言うと、家具を浮かばせてこちらに飛ばしてくる。俺は咄嗟に躱すと、ルシアに指示を出した。
「フィーナ、あいつの動きを止めてくれ!」
「分かりました!」
フィーナは錬成魔法で鎖を生成し、少女の動きを封じる。そして俺は一気に間合いを詰めると剣を突き付ける。
「くっ……」
「どうして怪奇現象を起こしていたんだ?」
「それは……屋敷の財産を狙う奴らから守るためだ……」
「財産?」
「私の父は街でも屈指の富豪だった。しかし、数年前に不慮の事故で死んでしまったのだ。屋敷の財産は全て父の親族に奪われてしまった」
「それは酷いな……」
「だから私は幽霊として屋敷を守護していたんだ。そしてこの屋敷に集まった財宝を守る使命がある」
彼女は真剣な眼差しで見つめてくる。その目には強い意志が感じられた。
「お前の気持ちはよく分かるよ。でも、もう大丈夫だ。俺がお前を解放してやる」
「どういうことだ?」
「この屋敷を生まれ変わらせるのさ」
「そんなことが可能なのか?」
「ああ、任せろ」
俺は全能の力で屋敷を修復していく。すると、ボロボロだった家具や壁が新品同然の状態へと変わっていった。
「凄い……」
少女は呆然としながら呟いた。
「これでもう大丈夫だ」
「ありがとう、感謝する」
少女は深々と頭を下げた。
「じゃあ、俺たちはこれで」
「待ってくれ! 名前を教えてくれないか?」
「俺はナオト、こっちはフィーナだ」
「そうか、私はナターシャという。お前たちのおかげで私は救われた。またいつでも来てくれ」
こうして俺たちは屋敷を後にして街へと戻るのだった。
「今日はどんな依頼があるかな?」
「そうですね……これなんてどうですか?」
ルシアは掲示板に貼ってある依頼書を指差す。そこには『幽霊屋敷の調査』と書かれていた。
「幽霊屋敷か……面白そうだな」
俺は依頼書を手に取ると受付カウンターへと持っていく。そして手続きを済ませると、俺たちは街外れにある幽霊屋敷へと向かった。
「ここですね」
目の前には古ぼけた一軒の屋敷があった。周囲には雑草が生い茂っており、建物もボロボロになっている。
「随分と古い屋敷だな……」
俺は玄関のドアを開ける。すると、中は真っ暗だった。ルシアは翼を広げると風を巻き起こして明かりを灯した。そして俺たちは屋敷の中へと入っていく。
「暗いですね……」
「ああ、そうだな」
俺たちは手探りで進んでいくことにした。しばらく歩いていると、大きな部屋に出たようだ。そこにはたくさんの家具が置かれていたがどれも壊れているものばかりだった。そして部屋の隅に人影を発見した。
「お前たちも屋敷を荒らしに来たのか?」
人影はこちらに声をかけてきた。よく見るとそれは少女であった。年齢は15歳くらいだろうか? 長い金髪と青い瞳が特徴的な美しい少女だった。
「違う、俺たちは依頼を受けて来たんだ」
俺は事情を説明したが、少女は納得していない様子だった。
「屋敷を荒らすものは誰であろうと許さない!」
少女はそう言うと、家具を浮かばせてこちらに飛ばしてくる。俺は咄嗟に躱すと、ルシアに指示を出した。
「フィーナ、あいつの動きを止めてくれ!」
「分かりました!」
フィーナは錬成魔法で鎖を生成し、少女の動きを封じる。そして俺は一気に間合いを詰めると剣を突き付ける。
「くっ……」
「どうして怪奇現象を起こしていたんだ?」
「それは……屋敷の財産を狙う奴らから守るためだ……」
「財産?」
「私の父は街でも屈指の富豪だった。しかし、数年前に不慮の事故で死んでしまったのだ。屋敷の財産は全て父の親族に奪われてしまった」
「それは酷いな……」
「だから私は幽霊として屋敷を守護していたんだ。そしてこの屋敷に集まった財宝を守る使命がある」
彼女は真剣な眼差しで見つめてくる。その目には強い意志が感じられた。
「お前の気持ちはよく分かるよ。でも、もう大丈夫だ。俺がお前を解放してやる」
「どういうことだ?」
「この屋敷を生まれ変わらせるのさ」
「そんなことが可能なのか?」
「ああ、任せろ」
俺は全能の力で屋敷を修復していく。すると、ボロボロだった家具や壁が新品同然の状態へと変わっていった。
「凄い……」
少女は呆然としながら呟いた。
「これでもう大丈夫だ」
「ありがとう、感謝する」
少女は深々と頭を下げた。
「じゃあ、俺たちはこれで」
「待ってくれ! 名前を教えてくれないか?」
「俺はナオト、こっちはフィーナだ」
「そうか、私はナターシャという。お前たちのおかげで私は救われた。またいつでも来てくれ」
こうして俺たちは屋敷を後にして街へと戻るのだった。
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