8 / 20
8
しおりを挟む
ある日のこと、俺たちは王都の商業地区で服屋を訪れていた。
この世界に来てから、ずっと同じ服を着ていたので新しい服を買うことにしたのだ。
「いらっしゃいませ」
若い女性店員が笑顔で出迎えてくれた。俺たちは店内に入ると商品を物色し始める。
「何か気に入ったものはありましたか?」
「うーん、どれが良いのかわからないなぁ」
俺が悩んでいると、フィーナが声をかけてきた。
「ナオトさん! これなんてどうでしょう?」
彼女が手に取ったのは黄金のローブだった。
「……フィーナの服選びのセンスの無さは十分理解したよ」
「そ、それなら勝手に探せばいいじゃないですか!」
ふくれるフィーナをよそに、俺は良さそうな服を探す。
そうしていると、黒いローブに目を止めた。地味過ぎず、派手過ぎず、ちょうど良い塩梅だ。
「よし、これに決めた!」
俺が購入する服を決めた後、すぐにフィーナの服も決まったようだ。
「私はこれにします」
フィーナの選んだのは白いローブであった。赤いアクセントがよく似合っている。
「なかなかいいじゃないか」
「ナオトさんのローブもかっこいいです! ナオトさんには黒がぴったりです!」
「じゃあこれで決まりだな」
フィーナの言葉に少し照れながらも俺たちは会計を済ませた。日本のアパレル店に比べればバリエーションは少ないが、それでも十分に満足できる品揃えであった。
◇
服屋を出た後は、飯でも食べようかとレストランを探す。
「あなたがシンジョウ・ナオトね」
突然、背後から声をかけられた。振り向くとそこには白髪の少女が立っていた。年齢は10代半ばといったところだろうか? 青い瞳と白い肌が特徴の美少女だ。
「誰だ?」
「私はシェラ。見ての通り、聖女をやっているわ」
「その聖女とやらが俺に何の用だ?」
「私、ナオトさんに一目惚れしてしまいましたの」
「……は?」
俺は思わず間抜けな声を出してしまった。
「だから私と付き合ってくださらない?」
「いやいや、いきなりそんなこと言われても困るんだが……」
俺は困惑していた。まさか異世界に来て初めて告白されるとは思わなかったからだ。しかも相手は聖女という超レアキャラである。
「ちょっと! ナオトさんは私のものです!」
フィーナが俺を抱き寄せ、シェラを威嚇する。
「あら? あなたみたいな貧相な体つきの女が彼の恋人を名乗るなんて烏滸がましいにも程があるわよ」
「なっ!?」
シェラの言葉にフィーナはショックを受けたようだ。
「まあいいわ、必ずあなたを私のものにしてみせるわ」
そう言ってシェラはその場を去った。
「なんなんですかあの女は! 絶対に許せません!」
フィーナは怒りをあらわにしていた。
「落ち着けって。俺はフィーナ以外のものになるつもりはないよ」
俺は彼女を宥めるように頭を優しく撫でてやった。すると彼女は少し落ち着いたようだ。そして俺たちは近くのレストランで食事をすることにした。
「ナオトさん! あーんしてください!」
「お、おう」
俺は戸惑いながらも差し出されたスプーンを口に含む。すると、濃厚なチーズとクリームの味が広がった。美味いなこれ。次は俺の番だとばかりに今度は俺がフィーナに食べさせてあげることにした。彼女は恥ずかしがりながらも口を開ける。そして料理を入れると幸せそうな表情を浮かべた。
「とっても美味しいです!」
「それは良かった」
その後も俺たちは楽しいひと時を過ごしたのだった。
この世界に来てから、ずっと同じ服を着ていたので新しい服を買うことにしたのだ。
「いらっしゃいませ」
若い女性店員が笑顔で出迎えてくれた。俺たちは店内に入ると商品を物色し始める。
「何か気に入ったものはありましたか?」
「うーん、どれが良いのかわからないなぁ」
俺が悩んでいると、フィーナが声をかけてきた。
「ナオトさん! これなんてどうでしょう?」
彼女が手に取ったのは黄金のローブだった。
「……フィーナの服選びのセンスの無さは十分理解したよ」
「そ、それなら勝手に探せばいいじゃないですか!」
ふくれるフィーナをよそに、俺は良さそうな服を探す。
そうしていると、黒いローブに目を止めた。地味過ぎず、派手過ぎず、ちょうど良い塩梅だ。
「よし、これに決めた!」
俺が購入する服を決めた後、すぐにフィーナの服も決まったようだ。
「私はこれにします」
フィーナの選んだのは白いローブであった。赤いアクセントがよく似合っている。
「なかなかいいじゃないか」
「ナオトさんのローブもかっこいいです! ナオトさんには黒がぴったりです!」
「じゃあこれで決まりだな」
フィーナの言葉に少し照れながらも俺たちは会計を済ませた。日本のアパレル店に比べればバリエーションは少ないが、それでも十分に満足できる品揃えであった。
◇
服屋を出た後は、飯でも食べようかとレストランを探す。
「あなたがシンジョウ・ナオトね」
突然、背後から声をかけられた。振り向くとそこには白髪の少女が立っていた。年齢は10代半ばといったところだろうか? 青い瞳と白い肌が特徴の美少女だ。
「誰だ?」
「私はシェラ。見ての通り、聖女をやっているわ」
「その聖女とやらが俺に何の用だ?」
「私、ナオトさんに一目惚れしてしまいましたの」
「……は?」
俺は思わず間抜けな声を出してしまった。
「だから私と付き合ってくださらない?」
「いやいや、いきなりそんなこと言われても困るんだが……」
俺は困惑していた。まさか異世界に来て初めて告白されるとは思わなかったからだ。しかも相手は聖女という超レアキャラである。
「ちょっと! ナオトさんは私のものです!」
フィーナが俺を抱き寄せ、シェラを威嚇する。
「あら? あなたみたいな貧相な体つきの女が彼の恋人を名乗るなんて烏滸がましいにも程があるわよ」
「なっ!?」
シェラの言葉にフィーナはショックを受けたようだ。
「まあいいわ、必ずあなたを私のものにしてみせるわ」
そう言ってシェラはその場を去った。
「なんなんですかあの女は! 絶対に許せません!」
フィーナは怒りをあらわにしていた。
「落ち着けって。俺はフィーナ以外のものになるつもりはないよ」
俺は彼女を宥めるように頭を優しく撫でてやった。すると彼女は少し落ち着いたようだ。そして俺たちは近くのレストランで食事をすることにした。
「ナオトさん! あーんしてください!」
「お、おう」
俺は戸惑いながらも差し出されたスプーンを口に含む。すると、濃厚なチーズとクリームの味が広がった。美味いなこれ。次は俺の番だとばかりに今度は俺がフィーナに食べさせてあげることにした。彼女は恥ずかしがりながらも口を開ける。そして料理を入れると幸せそうな表情を浮かべた。
「とっても美味しいです!」
「それは良かった」
その後も俺たちは楽しいひと時を過ごしたのだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
248
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる