ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

8

ある日のこと、俺たちは森でワイルドボアを狩っていた。


「グォオオッ！！」


ワイルドボアは突進してくるが、俺はそれを片手で受け止める。そして、そのまま首を切り落とした。


「よし！ これで今日の晩飯は決まりじゃな！」


リザは嬉しそうにしている。するとその時、誰かの叫び声がした。


「た……助けて！」


声のする方に向かうと、一人の少女がワイルドボアに襲われているところだった。少女は足を怪我しているようだ。俺はすぐに少女のもとに駆け寄り、ワイルドボアを蹴り飛ばす。そして剣を一振りして首を切り落とした。


「大丈夫か？」


「あ……ありがとう……」


サラサラとした金髪に、美しい顔立ちをした少女だった。年齢は14歳くらいで、胸は控えめだが、それが逆に少女らしい魅力を引き出している。


「立てるか？」


「うん……」


少女は俺の肩を借りて立ち上がる。俺は彼女を【次元商店】で購入したポーションを使って治療した。すると、少女の足の傷はすぐに完治した。


「助けてくれてありがとう……私はアリアといいます」


少女は深々と頭を下げる。白いワンピースを着ており、髪と瞳は薄い緑色をしていた。


「俺はカイトだ」


「我はリザじゃ！」


互いに自己紹介を終える。


「アリアはどうしてこんな森にいるんだ？」


「私はこの森の近くにある村の出身なんです。それで今日は薬草を採取するために森に入ったんですけど、途中で魔物に襲われてしまって……」


「そうか……なら俺たちが家まで送ろう」


俺は【次元商店】で馬車を購入してアリアを乗せる。そして、村に向けて出発した。しばらく進むと、大きな村が見えてきた。どうやらあそこがアリアの故郷らしい。俺たちは村の門をくぐり、馬車を止める。


「アリア！ 無事じゃったか！」


村長と思われる老人がアリアのもとに駆け寄ってくる。そして、アリアを強く抱きしめた。


「良かった……本当に良かった……」


村長は涙を流して喜んでいた。どうやらよほど心配していたようだ。


「お父さん……苦しいよ……」


アリアも少し照れくさそうにしている。俺たちはその様子を見て微笑んだ。


「あなた方はアリアを救ってくださった冒険者様ですね。なんとお礼を言ったらいいか……」


村長が俺たちに頭を下げる。


「いえ、気になさらないでください」


「アリアももう子供じゃないんだから、一人で森に行くのは控えなさい」


「うん……ごめんなさい……」


村長は俺に向き直る。


「ささやかなお礼として宿を用意させていただきます。今日は是非泊まっていってください」


「ありがとうございます」


俺たちは村長の厚意に甘えることにした。


◇


翌日、俺たちはアーガスに帰ることにした。


「アリア、元気でな」


「また会おうなのじゃ！」


俺たちはアリアに別れを告げる。すると、彼女はある提案をしてくる。


「あの……カイトさん……もしよろしければ私を一緒に連れて行ってくださいませんか？」


「えっ！？」


俺は思わず声を上げる。


「私はこの森から出たことがなくて外の世界のことをあまり知らないんです。だから外の世界のことをたくさん知りたいんです」


アリアは真剣な眼差しで俺を見る。


「私からもお願いします。あなたならアリアを安心して任せられます」


村長も頭を下げてくる。


「俺は構わないが……」


リザに視線を向ける。すると、彼女は微笑みながら答えた。


「別にいいじゃろ、それにカイトがいれば安心じゃしな」


「……わかった。一緒に行こう」


「ありがとうございます！」


こうして俺たちのパーティーに森育ちの少女、アリアが加わったのだった。