ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

9

ある日のこと、俺はアリアに戦闘訓練をつけていた。


「はっ！」


アリアは木の棒を振りかざして俺に襲いかかってくる。しかしその動きはとても素人のもので、簡単に避けることができた。


「うわぁっ！？」


バランスを崩したアリアはそのまま地面に倒れ込む。


「大丈夫か？」


俺は彼女を抱き起こす。すると、彼女の顔が真っ赤に染まっていた。どうやら恥ずかしかったようだ。


「だ、大丈夫です……」


彼女は慌てて俺から距離を取ると、再び構えを取った。そして、俺に向かって突進してくる。だが、動きはやはり素人で、簡単に避けることができた。


「きゃっ！」


アリアは再び転倒する。俺はそんな彼女に手をさしのべた。


「大丈夫か？」


「は、はい……ありがとうございます……」


アリアは俺の手を取り起き上がると、再び訓練に戻った。それから何度も打ち込んでくるが、結局一度も俺に攻撃を当てることはできなかった。


「はぁ……はぁ……やっぱりダメですね私……」


彼女は息を切らしながら落ち込んでいた。


「そんなことはないさ、初めてにしてはよくできている方だと思うよ」


実際最初は構え方すら知らなかったアリアだが、今ではだいぶ様になってきたと思う。


「ほ、本当ですか……？ ありがとうございます……」


彼女は嬉しそうに微笑んでいた。俺はそんな彼女の頭を優しく撫でてやる。すると、彼女の顔はさらに赤くなったのだった。


「あ、あの……私子供じゃないんですよ……？」


「おっと、すまない」


俺は慌てて手を引っ込める。


「いえ……もっと撫でてほしいです……」


アリアは上目遣いで俺を見つめてきた。そんな彼女がとても可愛らしく見えてしまい、思わずドキッとしてしまう。


「そ、それよりもそろそろ昼飯の時間だし休憩にしよう」


俺は話題を変えるようにそう言った。するとアリアも同意してくれる。


「そうですね！ もうお腹がペコペコです！」


俺たちは昼飯を食べることにした。【次元商店】で取り寄せた弁当を広げる。アリアは目を輝かせながら、料理を見つめていた。


「これはなんて言う料理なんですか？」


彼女は興味深そうに聞いてくる。


「これは唐揚げというものらしい」


俺は説明しながら、一つ摘んで口に入れた。鶏肉の旨みが口の中に広がる。とても美味しかった。アリアも俺の真似をして唐揚げを口に運ぶと、驚いた表情を浮かべた。


「お、美味しい……！」


彼女は夢中で食べ進めていく。その様子を見て俺も嬉しくなった。


「ごちそうさまでした！」


アリアは満足そうに手を合わせる。そして俺に微笑みかけてきた。その笑顔はとても可愛らしく見えるのだった。


「さて、午後の訓練も頑張るか」


「はい！」


俺たちは再び訓練に戻るのだった。アリアの剣捌きはかなり上達してきている。これならもうすぐ実戦でも使えるレベルになるだろう。


「今日はここまでにしようか」


日が沈む頃、俺はアリアに訓練の終わりを告げた。彼女は汗だくで息も絶え絶えになっている。


「はい……ありがとうございました……」


アリアは地面に座り込んでいた。そんな彼女を抱き起こすと、そのままお姫様抱っこをする。すると、彼女はさらに顔を赤くした。どうやら恥ずかしかったようだ。


「あ、あの……自分で歩けます……」


「いいから甘えておけ」


俺はそのまま宿屋まで運んでいくことにした。


「カイトさん……私……もっと強くなりたいです……」


帰り道、アリアが突然そんなことを言い出した。


「どうしてだ？」


「私は今までずっと守られてばかりでした……でも、私も誰かを守れるようになりたいんです！」


彼女は真剣な眼差しで俺を見つめる。その目には強い意志が宿っていた。どうやら本気のようだ。ならば俺も本気で応えなければならないだろう。


「わかった。なら明日からは実戦訓練も加えよう」


「ありがとうございます！」


アリアは嬉しそうに笑った。その笑顔はとても眩しかった。