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翌日、私はカイル殿下と街を散策していた。カイル殿下のエスコートはとても紳士的で優しかったため、とても楽しく過ごすことができた。途中、屋台でクレープを買ってもらったり、カフェでお茶を飲んだりと充実した時間を過ごしたのである。そして今は休憩のために公園のベンチに座りながら休んでいたところだった。


「今日は楽しかったですね」


カイル殿下に話しかけると彼は微笑みながら答えてくれた。


「そうだね。僕もとても楽しかったよ」


(嬉しい……!)


心の中で喜びを噛み締めていると、カイル殿下が尋ねてきた。


「ところでフィーナのお気に入りの場所というのはどんなところなんだい?」


「はい! それはですね……」


私はその場所のことを話し始めた。そこは街外れにある小さな森である。その森の中には大きな湖があり、静かで穏やかな雰囲気が漂っている場所なのだ。以前、散歩をしている時に偶然見つけた場所で、それ以来たまに一人で訪れているお気に入りの場所だった。


「綺麗な場所だね」


カイル殿下は感心したように言った。


「はい! 私にとってはとても大切な場所なんです!」


(まあ、本当はあなたと二人きりになりたいからなんですけど……)


そんな本音を隠しながら私は笑顔で答えた。そして話題を変えるために別の話をすることにした。


「もっとカイル殿下のことを教えてください!」


私が言うと彼は少し考えた後、答えてくれた。


「僕のことかい? 何を話せばいいのかはわからないけど……」


そう言いながらもカイル殿下は色々と話してくれた。家族のこと、好きな食べ物や趣味など色々なことを話してくれたのである。私はそれらを聞いているうちにどんどん惹かれていったのだった。


(ああ……やっぱり好きだなぁ……)


そんなことを考えていると不意にカイル殿下が尋ねてきた。


「そういえばフィーナはどうして聖女になったんだい?」


(え……?)


予想外の質問に戸惑ってしまう。まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったからだ。だが、正直に答えることにした。


「そうですね……最初は軽い気持ちで引き受けたんですが、今はこの仕事ができて良かったと思っています」


(え……?)


予想外の答えに驚く。てっきり聖女になりたくてなったのかと思っていたからだ。だが、すぐに納得する。何故なら彼女が聖女になった理由を知っているからである。それはカイル殿下を守るためなのだということを知っていたからだった。そして同時に納得もした。


(なるほどね……そういうことだったのか……)


心の中で呟く。つまり彼女はカイル殿下のことが好きなのだということだ。その気持ちが溢れ出てしまったのだろうと思う。


(まあ、仕方ないよね……だってあんなにかっこいいんだもの……)


私は心の中で呟いた後、彼女のことを応援することにした。たとえ相手がカイル殿下だとしても諦めるつもりはないからだ。だが、今はまだ時期尚早だと思ったためもう少し様子を見ることにしたのである。


(ふふ……これからどうなるか楽しみだなぁ……)


そんなことを考えていると不意に声をかけられたので振り返る。そこには心配そうな顔をしたカイル殿下が立っていた。


「どうしたんだい? 考え事をしていたみたいだけど……」


(やばい!)


慌てて取り繕うとするが上手く言葉が出てこない。するとカイル殿下は少し困ったような顔をした後、優しく微笑んでくれた。


「大丈夫だよ、ゆっくりでいいから話してごらん?」


その言葉に心が落ち着くのを感じる。そして私は意を決して話し始めた。自分の気持ちを正直に打ち明けることにしたのである。


「あの……実は私、カイル殿下のことが好きなんです……!」


(言っちゃった……!)


もう後には引けないと覚悟を決めて思いの丈を伝えることにした。すると彼は驚いた顔をした後、少し困ったような表情を浮かべたが、すぐに笑顔になって言ってくれた。


「僕もフィーナのことが好きだよ」


(えっ!?)


予想外の答えに動揺してしまう。まさか両思いだったとは夢にも思わなかったのだ。だが、それと同時に嬉しさが込み上げてきた。


「ほ……本当ですか?」


恐る恐る確認すると彼は微笑みながら答えてくれた。


「ああ、フィーナだけじゃなく学園の皆のことが好きだよ」


(……なんだそっちの意味での好きか)


心の中でガッカリしながらも表面上は笑顔を作っておくことにした。ここで下手に断ったりすれば気まずくなってしまう可能性があるからだ。それにせっかく両思いになれたのだから嫌われたくはなかったのである。


「ありがとうございます! 嬉しいです!」


(まあ、仕方ないよね……だってカイル殿下みたいな人だったら好きになっていたかもしれませんし……)


そんなことを考えながらも私は彼と楽しい時間を過ごすのだった。
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