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起:始まり
2.まずは、貴族としての日常を…
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翌朝…
カイは実父であるキクルス伯爵に談話を申し込んだ。
当事者であり勘当された元ベモンド男爵の令嬢ミリーと共に。
現在のミリーは見習い執事の服を着てカイの後ろに立っていた。
本人曰く、カイ以外の人間の前では男として生きると決め、長かった髪をショートボブまでに切り、布で巻いてから男みたいな胸板を作るほどの徹底振りであった。
今のミリーの姿はうら若き令嬢から歳の若い少年みたいになっていた。
そんなミリーの変貌を余所に、実父であるキクルス伯爵ことレオンは今回の一件である公爵家の横暴と実の息子の意見との板挟みで頭を痛めていた…
「なるほど…あの公爵家のろくでなしに姦計された挙句に、ブラウン家の娘を略奪するとは…」
「どう致しましょうか?伯爵様」
公務として対応する息子に、レオンは統治者して対応をせざるを得なかった。
いくら格上であるアスモデ公爵とはいえ、姦計を結んだ挙句に口約束で婚約破棄させて新たに婚約を結ばせようとする行為は、いくら勇者という身分特権があったとしても許される事ではない。
ましてや、格下であるブラウン子爵家もまたいくら娘が聖女候補だからって特権で許される物ではない。
妥当な考えとしては、ブラウン家に対して婚約破棄と代償として賠償金を貰い、関係を打ち切る事ぐらいだ…
「私としては、現状としてブラウン家に対する援助打ち切りと賠償金として土地をもらう事での婚約破棄の確約しか出来んな…」
「それでお願い致します。少なくとも、ブラウン家令嬢であるクリスの不貞が始まりですので」
カイの未練のない発言に、レオンは深い溜息をついてからブラウン子爵家への手紙と破棄の書類を書き始めた。
「先に手紙を書くから、向こうの返事が来るまでの間は家に滞在しなさい」
「ええ。そのつもりです。私も色々とコネを使ってアスモデ家に対応します」
「分かった。但し、くれぐれもアスモデ家を直接刺激するような粗相のしない様にしてくれ。流石に庇いきれんからな…」
「分かりました」
カイは父であるレオンに頭を下げて一礼した後、部屋を出ようとした。
そこに、今度はカイの継母でキクルス伯爵夫人であるイライザが入ってきた。
「話を聞かせてもらったわ、カイ。あの愚娘がやらかしてくれたわね」
「…イライザ母上」
「ミリーちゃんも本当に申し訳ないわね」
「いえ、イライザ様には顔向けできませんでした…」
「良いのよ。…それより、女の子の象徴である髪の毛を切っちゃって、男の子みたいになっちゃうとは、こんな事をさせたあの子達を許すわけには行かないわ。そうでしょう?貴方」
「う、うむ…しかし、イライザ。良いのか?実の娘であるレイアを勘当するなどと」
レオンの言葉に、イライザは満を持して答えた。
「ええ。聖女の候補に認定した事で浮かれた挙句、あのアスモデのドラ息子と婚約結んでないにも関わらず婚前交渉するなど、我が娘として相応しくないわ」
「イライザ様、それなら私も…」
「いいえ、貴方の場合は姦計。しかも女として乱暴されたという最大の屈辱を受けたわ。本来なら賠償物だけど、相手は格上の家だから出来ないのも周知してるわ。だから、今回の貴女には非はないという事にしてるの」
「は、はぁ…」
「ついでなら、ベモンド男爵が貴方を勘当したというなら私達が貴方を養子にしても構わないと思ってるわ。良いわよね?あ・な・た?」
「う、うむ…だがしかし、既にミリー嬢は勝手に抜け出したという罪で手配が出回っているからなぁ…」
「そうなのよ。そこを突かれるのは辛いわねぇ。だけど、ミリーちゃんを”平民の男の子”として迎えるなら何の問題はないでしょ?」
「お前、全部聞いていたのか…」
「当たり前でしょ?貴族は常に情報収集する事が命なのよ。ホッホッホッ」
扇子を広げて口に当てながら自慢げに笑うイライザに頭を抱えて悩むレオンを見て、カイとミリーはから笑いをしていた。
「とりあえず、カイ。ミリーちゃんの新しい名前を考えてたかしら?」
「先に考えておきました。”ミハイル”という名に変え、愛称をミーシャに呼ばせます」
「うんうん、悪くはないわね。それではミーシャ、今後ともよろしくね」
「は、はい!よろしくお願いします、えっと…」
「外ではイライザか奥様、家の中ではお義母様と呼んでもいいわ。面倒だったら何時も通りにイライザで通して良いから」
「はっ、分かりました。イライザ…お義母様。あと、レオン…お義父様」
「う、うむ…よろしく頼むぞ。ミハイル」
レオンとイライザに迎えられた事に、ミリーは深く頭を下げた後にカイと共に部屋を後にした。
カイの自室に戻った二人は、簡易的な執務として書類の手続きを行っていた。
実父であるレオンから渡されたのは、領内の事業提案書や領内の流通品リストなどのキクルス領内の公共事業と税収に関するものだ。
元々は長男である兄オイゲンが引き継ぐ業務であったが、その兄は七大公爵家の一つであるベルフェ家に婿養子として嫁いでしまったがゆえに、次男であるカイが引き継ぐ事になっていたからである。
このセントールの上級貴族には七大公爵と呼ばれる七つの公爵家がある。
王家に一番近いルシフェ家。
騎士団や兵団などの軍を携わるセィタン家。
国教である女神教に携わるレヴィア家。
国や地方の政策に携わるベルフェ家。
金融などの財政に携わるマーモ家。
食料事情などの食の関係に携わるベルゼ家。
そして、音楽や芸術などの娯楽に携わるアスモデ家…
基本は王家の直属であるルシフェ家を筆頭公爵に、軍事などの武力に関する事はセィタン家に任され、宗教などの問題はレヴィア家に任され、残りの四公爵家は王家と先の三公爵家を補佐する立場にある。
ただ、ベルフェ家やマーモ家、ベルゼ家はともかく…娯楽事業に関する事しか手が出せないアスモデ家からすれば現状のこの環境には不満を漏らすのは目に見えている…かもしれない。
実際は遊び好きなアスモデ家に政を関わらせたくないというのが六公爵家の本音ではあるが…
今回の次男坊であるセシルが勇者に認定された事に苦虫を噛みながら見てる他ならないだろう。
恐らくは魔王討伐から帰還すればアスモデ家の声がでかくなるどころか、自分達の公爵家が危うくなるかも知れん。
その上、セシル自体が魅了もしくは洗脳系の力を持ってるとすれば…自分達の娘が危ないと感じるだろう。
なんだかんだ言って、セシルは野心家として有名だという噂も聞く。
カイがベルゼ家主催の社交パーティーに参加した時に、色々な令嬢とかに片っ端から話しかけていた記憶がある。
無論、カイの婚約者であったクリスを筆頭にレイアやミリーにも声を掛けられたが、その時は勇者ではなかったのと大した財と土地を持たない下級貴族である三家に、セシルは端から興味をかけていなかった…はずだった。
しかし、例の勇者の選定を受けてからの王家から勇者特権を得た事で王家と同じく側室を持つ事が許されたのを良い事に勇者を補佐する聖女の選定を受けた女達を品定めと言う名で手を出し、手篭めにしていたのだろう。
幸いと言えば、今回のミリーの筆頭にした下級貴族の令嬢と平民の娘達あたりが奴の毒牙の対象になったのみで、上級貴族の令嬢には手を出してない事であった。
カイ達が自室に戻る前に継母であるイライザから聞いた話によれば、七大公爵家の他にその下の七十二侯爵家の令嬢達の何人かにも聖女の選定が出ていたとの事。
ただ、下級貴族達とは違い、侯爵家達は元から素行の悪いセシルに警戒してかレヴィア侯爵家が預かる女神教の教会にて隔離され、そこで聖女の訓練を受けているとの事であった。
王都にある教会とはいえ、辺境の修道院みたいに戒律が厳しく、特に貞操概念が強い女神教の信徒が多い中であるため、侯爵家の令嬢達はより厳格に聖女としての訓練を受けなければならない。
仮に選ばれなくても、女神教の洗礼教育を受けたと言う誉れを持つため、侯爵家当主達は喜んで娘達を教会に預けたとの事。
その事を知ったカイは下級貴族の令嬢達も教会に入れてもらえれば良かったと脳裏によぎったが…所詮下級程度では扱いが違うと言うのを悟っていたので諦めた。
それに、そんな目まぐるしい貞操教育をしても、伝承通りの勇者と同じ行為をセシルが行えば女神教の概念を壊す可能性もある。
かつて、セントーラとは別の王国にて遥か遠くの世界からやって来た一人の勇者が、その国の法や宗教などの体制と自分好みに変え、保守的な国民との長い闘争の末敗れて処刑されたという痛ましい歴史があった…
それゆえ、セントーラでは女神から選定された勇者のみを選び、異世界から呼ぶ勇者召喚を固く禁じていた。
中にはこの世界で生まれ育った者が異世界からの転生者という事例も他の国であったが…セントーラでは生まれた時に魂の鑑別を行い、転生者と判別した場合は厳格な女神教の教育の元で生かされ、終始独身のまま生涯を終えさせるという手法を取っている。
それだけに、その外界から来た者や魂への警戒を持っていたのである。
だが、今回のセシルのような転移者ではなく況してや転生者でもない、純粋な人間として生まれてきた人間で女神から勇者と選定されているため、今回のような件には王家や女神教ですら口を出す事が出来なかった。
ゆえに、現在のカイやミリーみたいに口を咥えて我慢するのが現状としか言えなかった。
直接対抗するとすれば、アスモデ家に近い他の七大公爵家か王家に嘆願をするしか他ならないが…
「オイゲン兄上からの返事が来るまではどうしようもないからなぁ…」
「オイゲン様の夫人であるベルトーラ様にも面会をお願いしたい所です」
「そうだな。とりあえず、父上に許可を頂いてから兄上に手紙を送ろう」
カイは即行で決断をして手紙を書き、その後に実父のレオンに相談する事にした。
一方のミリーは他の事業提案の計画を閲覧しながら、予算計上していた…
カイは実父であるキクルス伯爵に談話を申し込んだ。
当事者であり勘当された元ベモンド男爵の令嬢ミリーと共に。
現在のミリーは見習い執事の服を着てカイの後ろに立っていた。
本人曰く、カイ以外の人間の前では男として生きると決め、長かった髪をショートボブまでに切り、布で巻いてから男みたいな胸板を作るほどの徹底振りであった。
今のミリーの姿はうら若き令嬢から歳の若い少年みたいになっていた。
そんなミリーの変貌を余所に、実父であるキクルス伯爵ことレオンは今回の一件である公爵家の横暴と実の息子の意見との板挟みで頭を痛めていた…
「なるほど…あの公爵家のろくでなしに姦計された挙句に、ブラウン家の娘を略奪するとは…」
「どう致しましょうか?伯爵様」
公務として対応する息子に、レオンは統治者して対応をせざるを得なかった。
いくら格上であるアスモデ公爵とはいえ、姦計を結んだ挙句に口約束で婚約破棄させて新たに婚約を結ばせようとする行為は、いくら勇者という身分特権があったとしても許される事ではない。
ましてや、格下であるブラウン子爵家もまたいくら娘が聖女候補だからって特権で許される物ではない。
妥当な考えとしては、ブラウン家に対して婚約破棄と代償として賠償金を貰い、関係を打ち切る事ぐらいだ…
「私としては、現状としてブラウン家に対する援助打ち切りと賠償金として土地をもらう事での婚約破棄の確約しか出来んな…」
「それでお願い致します。少なくとも、ブラウン家令嬢であるクリスの不貞が始まりですので」
カイの未練のない発言に、レオンは深い溜息をついてからブラウン子爵家への手紙と破棄の書類を書き始めた。
「先に手紙を書くから、向こうの返事が来るまでの間は家に滞在しなさい」
「ええ。そのつもりです。私も色々とコネを使ってアスモデ家に対応します」
「分かった。但し、くれぐれもアスモデ家を直接刺激するような粗相のしない様にしてくれ。流石に庇いきれんからな…」
「分かりました」
カイは父であるレオンに頭を下げて一礼した後、部屋を出ようとした。
そこに、今度はカイの継母でキクルス伯爵夫人であるイライザが入ってきた。
「話を聞かせてもらったわ、カイ。あの愚娘がやらかしてくれたわね」
「…イライザ母上」
「ミリーちゃんも本当に申し訳ないわね」
「いえ、イライザ様には顔向けできませんでした…」
「良いのよ。…それより、女の子の象徴である髪の毛を切っちゃって、男の子みたいになっちゃうとは、こんな事をさせたあの子達を許すわけには行かないわ。そうでしょう?貴方」
「う、うむ…しかし、イライザ。良いのか?実の娘であるレイアを勘当するなどと」
レオンの言葉に、イライザは満を持して答えた。
「ええ。聖女の候補に認定した事で浮かれた挙句、あのアスモデのドラ息子と婚約結んでないにも関わらず婚前交渉するなど、我が娘として相応しくないわ」
「イライザ様、それなら私も…」
「いいえ、貴方の場合は姦計。しかも女として乱暴されたという最大の屈辱を受けたわ。本来なら賠償物だけど、相手は格上の家だから出来ないのも周知してるわ。だから、今回の貴女には非はないという事にしてるの」
「は、はぁ…」
「ついでなら、ベモンド男爵が貴方を勘当したというなら私達が貴方を養子にしても構わないと思ってるわ。良いわよね?あ・な・た?」
「う、うむ…だがしかし、既にミリー嬢は勝手に抜け出したという罪で手配が出回っているからなぁ…」
「そうなのよ。そこを突かれるのは辛いわねぇ。だけど、ミリーちゃんを”平民の男の子”として迎えるなら何の問題はないでしょ?」
「お前、全部聞いていたのか…」
「当たり前でしょ?貴族は常に情報収集する事が命なのよ。ホッホッホッ」
扇子を広げて口に当てながら自慢げに笑うイライザに頭を抱えて悩むレオンを見て、カイとミリーはから笑いをしていた。
「とりあえず、カイ。ミリーちゃんの新しい名前を考えてたかしら?」
「先に考えておきました。”ミハイル”という名に変え、愛称をミーシャに呼ばせます」
「うんうん、悪くはないわね。それではミーシャ、今後ともよろしくね」
「は、はい!よろしくお願いします、えっと…」
「外ではイライザか奥様、家の中ではお義母様と呼んでもいいわ。面倒だったら何時も通りにイライザで通して良いから」
「はっ、分かりました。イライザ…お義母様。あと、レオン…お義父様」
「う、うむ…よろしく頼むぞ。ミハイル」
レオンとイライザに迎えられた事に、ミリーは深く頭を下げた後にカイと共に部屋を後にした。
カイの自室に戻った二人は、簡易的な執務として書類の手続きを行っていた。
実父であるレオンから渡されたのは、領内の事業提案書や領内の流通品リストなどのキクルス領内の公共事業と税収に関するものだ。
元々は長男である兄オイゲンが引き継ぐ業務であったが、その兄は七大公爵家の一つであるベルフェ家に婿養子として嫁いでしまったがゆえに、次男であるカイが引き継ぐ事になっていたからである。
このセントールの上級貴族には七大公爵と呼ばれる七つの公爵家がある。
王家に一番近いルシフェ家。
騎士団や兵団などの軍を携わるセィタン家。
国教である女神教に携わるレヴィア家。
国や地方の政策に携わるベルフェ家。
金融などの財政に携わるマーモ家。
食料事情などの食の関係に携わるベルゼ家。
そして、音楽や芸術などの娯楽に携わるアスモデ家…
基本は王家の直属であるルシフェ家を筆頭公爵に、軍事などの武力に関する事はセィタン家に任され、宗教などの問題はレヴィア家に任され、残りの四公爵家は王家と先の三公爵家を補佐する立場にある。
ただ、ベルフェ家やマーモ家、ベルゼ家はともかく…娯楽事業に関する事しか手が出せないアスモデ家からすれば現状のこの環境には不満を漏らすのは目に見えている…かもしれない。
実際は遊び好きなアスモデ家に政を関わらせたくないというのが六公爵家の本音ではあるが…
今回の次男坊であるセシルが勇者に認定された事に苦虫を噛みながら見てる他ならないだろう。
恐らくは魔王討伐から帰還すればアスモデ家の声がでかくなるどころか、自分達の公爵家が危うくなるかも知れん。
その上、セシル自体が魅了もしくは洗脳系の力を持ってるとすれば…自分達の娘が危ないと感じるだろう。
なんだかんだ言って、セシルは野心家として有名だという噂も聞く。
カイがベルゼ家主催の社交パーティーに参加した時に、色々な令嬢とかに片っ端から話しかけていた記憶がある。
無論、カイの婚約者であったクリスを筆頭にレイアやミリーにも声を掛けられたが、その時は勇者ではなかったのと大した財と土地を持たない下級貴族である三家に、セシルは端から興味をかけていなかった…はずだった。
しかし、例の勇者の選定を受けてからの王家から勇者特権を得た事で王家と同じく側室を持つ事が許されたのを良い事に勇者を補佐する聖女の選定を受けた女達を品定めと言う名で手を出し、手篭めにしていたのだろう。
幸いと言えば、今回のミリーの筆頭にした下級貴族の令嬢と平民の娘達あたりが奴の毒牙の対象になったのみで、上級貴族の令嬢には手を出してない事であった。
カイ達が自室に戻る前に継母であるイライザから聞いた話によれば、七大公爵家の他にその下の七十二侯爵家の令嬢達の何人かにも聖女の選定が出ていたとの事。
ただ、下級貴族達とは違い、侯爵家達は元から素行の悪いセシルに警戒してかレヴィア侯爵家が預かる女神教の教会にて隔離され、そこで聖女の訓練を受けているとの事であった。
王都にある教会とはいえ、辺境の修道院みたいに戒律が厳しく、特に貞操概念が強い女神教の信徒が多い中であるため、侯爵家の令嬢達はより厳格に聖女としての訓練を受けなければならない。
仮に選ばれなくても、女神教の洗礼教育を受けたと言う誉れを持つため、侯爵家当主達は喜んで娘達を教会に預けたとの事。
その事を知ったカイは下級貴族の令嬢達も教会に入れてもらえれば良かったと脳裏によぎったが…所詮下級程度では扱いが違うと言うのを悟っていたので諦めた。
それに、そんな目まぐるしい貞操教育をしても、伝承通りの勇者と同じ行為をセシルが行えば女神教の概念を壊す可能性もある。
かつて、セントーラとは別の王国にて遥か遠くの世界からやって来た一人の勇者が、その国の法や宗教などの体制と自分好みに変え、保守的な国民との長い闘争の末敗れて処刑されたという痛ましい歴史があった…
それゆえ、セントーラでは女神から選定された勇者のみを選び、異世界から呼ぶ勇者召喚を固く禁じていた。
中にはこの世界で生まれ育った者が異世界からの転生者という事例も他の国であったが…セントーラでは生まれた時に魂の鑑別を行い、転生者と判別した場合は厳格な女神教の教育の元で生かされ、終始独身のまま生涯を終えさせるという手法を取っている。
それだけに、その外界から来た者や魂への警戒を持っていたのである。
だが、今回のセシルのような転移者ではなく況してや転生者でもない、純粋な人間として生まれてきた人間で女神から勇者と選定されているため、今回のような件には王家や女神教ですら口を出す事が出来なかった。
ゆえに、現在のカイやミリーみたいに口を咥えて我慢するのが現状としか言えなかった。
直接対抗するとすれば、アスモデ家に近い他の七大公爵家か王家に嘆願をするしか他ならないが…
「オイゲン兄上からの返事が来るまではどうしようもないからなぁ…」
「オイゲン様の夫人であるベルトーラ様にも面会をお願いしたい所です」
「そうだな。とりあえず、父上に許可を頂いてから兄上に手紙を送ろう」
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