聖女候補に認定された幼馴染が泣きながら帰ってきたので戦争します。

名無シング

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8.兄とベルフェ家の姫様の訪問

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セィタン家の使いであるブエル伯爵家の令嬢ティファが来訪してから数日後…
ベルフェ家の家紋が付いた馬車がキクルス家の前で止まった。

「ようこそいらっしゃいました。オイゲン兄上、ベルトーラ公爵令嬢様」
「久しぶりだな。カイ」


カイは、兄であるオイゲンとその妻であるベルフェ家三女のベルトーラ公爵令嬢に対して紳士らしくお辞儀をしていた。
二人とも二十歳になったばかりであるが、その若々しさはカイと同じ十代後半の青年淑女そのものの美しさがあり、カイは勿論の事、カイの後ろに控えていたミリーもベルトーラの美しさには同じ女として見惚れる物であった。

そんなミリーに対し、ベルトーラは少し悲しげな顔をしてミリーの傍に近寄り、ミリーの手を握った。

「ミリー様…此度の件はこのベルトーラは自分に対して怒りに満ちております」
「そんな、ベルトーラ様が気負う必要はございません…」
「いいえ。あのアスモデ家の愚息であるセシルの蛮行を王家に提言しなかった事に、わたくしは悔いております。それに、ミリー様だけではありません。私の領民である平民の子女や配下である下級貴族の令嬢達にも被害が出ております。ですので、貴方のその痛ましさを私が受け止め、あの女の敵であるセシルへの怒りの糧と致します…」
「ベルトーラ様…このミリー、貴方様に深く感謝を致します」

ミリーは深く謝意を示し、ベルトーラの前で跪いて手の甲にキスをした。
一方のカイはオイゲンに対して今回の件の事を話していた。

「そうか…レイアは勘当の末にブラウン家に入れたと」
「はい。これで我が家はアスモデ家とは関わらないという意思を見せ付けました。これも父上とイライザ母上のおかげです」
「ふむ。なら…次は我々の動きという訳だな」
「ですね。詳細は屋敷の中で話しましょう」

カイの提言にオイゲン夫妻は頷き、カイとミリーの案内の下で伯爵家の屋敷へと入っていった。



応接室にて、カイ達は先日のセシルの件とキクルス領内の動きと事業計画の経過報告を資料を交えて話していた。

カイのキクルス伯爵家とクリスのブラウン子爵家における婚約破棄の賠償と援助打ち切りの補償は全てアスモデ家に廻す形になった他、ベルフェ家とセィタン家への技術革新を行ってる事の報告にオイゲンとベルトーラは感心していた。

「ほぅ…蒸気産業の発達と新型の兵器開発…とな」
「はい。最も、蒸気産業に到っては技術を更に発展させれば、蒸気の代わりに燃える水の気化ガスを使った動力機関も作る事も可能です」
「なんと!1000年以上前に異界からやって来た偉人達が言っていた未来の技術が作れるとな!」
「ええ。何人かの優秀な技巧士達は試験的に動力機関の試作を作り、稼動実験を行っております」
「そうか。それなら、いずれはセィタン家に武器の代わりとして兵器を送る事が出来るな」
「ですね。元々、セィタン家は勇者という力の一強に疑問を感じ、セントーラ建国の時から『魔王が滅んだ後も戦が起きる。勇者亡き後も国を守る為に我々は力をつけなければならない』という信条の上で国を支えてきてましたからね」

カイの言葉通り、セィタン公爵家は今回の勇者選定に対して七大公爵家の中で一番異を唱えてきた。
建国時の言葉通り、魔王軍と戦ってきた彼等の家系において、特別な力を持たずに集団を統率して魔物と互角に争っていた者達からすれば、特別な力を持った勇者など力の強い一兵卒に過ぎない。

特にその勇者の力は兵の統率バランスを崩すものだと主張し、魔王討伐後も勇者に媚びる王家に反を翻す勢いであった。
その確執は建国後の勇者が没後も100年以上も続き、ベルフェ家とルシフェ家による二家の仲介によって和解するほど関係を拗らせていた。
今回の勇者到来、しかも娯楽事業のアスモデ家で女遊び好きな次男のセシルが勇者になったと聞いた時は、真っ先にアスモデ家との関係の断絶を宣言するほどの憤りっぷりだった。

これに対し、王家側はセィタン家に同家出身の騎士団長解任と騎士団の指揮権返上を要求し、セィタン家も了承して私兵である兵団を自分の領地へと引き返すほどであった。

今回のカイの領地であるキクルス伯爵領でのベルフェ家主導の事業は、王家に見かねたベルフェ家がセィタン家の支援を行う為の準備の一環であった。

曰く、勇者よりも兵を強くする為の武器を…

曰く、聖女よりも兵を治療する事が出来る薬品を…

曰く、魔導士よりも兵が簡単に扱える火砲の乗り物を…

兵団を強化するためのあらゆる技術革新に受け入れるセィタン家に、これ以上の儲け話はない。
そんな要望に乗っかる形で、兄オイゲンはベルトーラと共に真っ先に交渉役として動いて、今日に至っていた

「して、現状はどのくらいまで発展したのだ?」
「燃える石こと石炭による蒸気機関の動力はほぼ完成で、これに習う形でベルフェ家領土とセィタン領土を跨ぐ鉄道計画も立っています。しかし、問題があるとするなら…鉄鉱問題ですね」
「そうか。キクルス領内には鉄鉱山もあるが、亜種族のドワーフ達がいるからなぁ」

比較的にベルフェ家とセィタン家の領土内では亜種族こと亜人族の差別は少なかった。
ガチガチの思想の塊な騎士団であったセィタン家も、古来からの亜種族を友人としており、魔物を操るものという偏見の下で迫害されてきた魔族ですらも、近年はセィタン家とベルフェ家による関係改善の交流をして以来、良き隣人良き隣国人として扱ってきた。
一方で女神教の長であるレヴィア家を筆頭に、王家側では亜種族のことを神から断罪され穢れた種族として扱い、迫害をしてきた歴史もある。
この亜種族に対する長年の価値観の違いは、今まで形を保っていた七大公爵家の絆は亀裂が生じ、今回のセシルの件で崩壊寸前にまで来たのには言うまでもなかった。

そんな七大公爵家内の伏魔殿みたいなドロドロの政治劇とは別に、カイとオイゲンがいう亜種族の一つであるドワーフ族の話となれば別であった。
特に金銭面的にである。


「一応、彼等のお蔭で鉄鉱以外の貴金属や宝石、そして新しい石炭と石油の場所を当ててくれるのは助かりますが…」
「毎度ながらのボッタクリ請求の事だな…ドワーフ族は金銭に貪欲だから困る」

カイ達を最大に悩ませていたのは、ドワーフ族の金銭面へのがめついさであった。
鉄鉱品と引き換えにお金と生活用品への要求が半端なく、たまに交渉が拗れるほどのエスカレートっぷりを見せる事もある。
ただ、中には人間達の技術に興味を示し、集落から抜け出してから技巧士になるドワーフの若い男女がいる事もある。
現に、キクルス領内にも少数ながらドワーフ族が村や町で住んで鍛冶屋など技術専門店を営んでいた。

「まぁ、あんまり請求が酷い時は友人のマシューとピアシェに頼もうかと思います」
「そういえば、キクルスの領土内にもドワーフ族がいたな。なら、彼らと共にカイに任せよう」
「お任せください」

カイは兄への返答と共に書類を纏めてから、兄との硬い握手を結んだ。
一方のミリーは、ベルトーラに新たな魔法加工された貴金属事業を立ち上げていた。
特に、魅了洗脳への対策事業として、精神耐性の付与された貴金属生産量を上げるための企画が急ピッチで急がれてる事に、二人は真剣な眼差しで話していた。

「精神耐性の付与された加護石は、南方にあります魔族領の宝石で供給が賄える事が判明しました」
「そうなのね。これならベルフェ家領内とセィタン家領内での社交場の貴婦人達に配布する事が出来ますね」
「はい。ただ…こちらから輸出する際には野盗に化けた女神教一派らしき集団に襲われる事件が起きてますね」

ミリーの言葉にベルトーラは溜め息をしながら、自身が持参した幾つかの書類を幾つかピックアップしてからミリーに渡してきた。

「こちらに冒険者達の情報が記載されたリストがあります。彼等の何人かに護衛を頼みましては如何かしら?」
「冒険者ですか…彼らに任せても宜しいのですか?」
「こちらの紹介した人物は口の堅い者達です。中には亜種族の冒険者達もいますので、外交面にもお気になさらずに」
「なるほど。ありがとうございます、ベルトーラ様」

亜種族ならば手堅く仕事が出来る。
特に同じ亜種族同士ならば仲介役としても便利である。
反面、相手国との内通を通じてしまうリスクもあるが、兵の育成に忙しいセィタン家に負担をかけさせず、確執のある国から出る騎士などの国へと内通する者達から比べれば遥かに信用できる。
その事を踏まえて、ミリーはベルトーラの提案に乗る事にした。


兄達が来訪してから数時間…
日も暮れて夜になって、カイ達四人の会議は終わった。

「もうこんな時間か…」
「今晩はお泊りになられますか?部屋は既にバトラ達使用人全員がご用意いたしました」
「元よりベルフェ公爵様には一泊二日ほど里帰りすると報告しているからな。ありがたく使わせて貰おう」
「はい。ミリー、僕は兄上の奉仕を行うからミリーはベルトーラ様の」
「使用人の件は大丈夫ですわ、カイ様。むしろ、ミリー様と一緒に湯浴みをしたいですので…少しお借りしても宜しいかしら?」

ベルトーラの問いにカイはミリーに顔を合わせ、ミリーも静かに頷いてから口を開いた。

「畏まりました。では…」
「一応、女として来て下さいまして。たまには、可愛い”義妹”分を見ておきたいですの」

ベルトーラの言葉にミリーは一瞬ビクンと反応したが、カイが優しく手を握って囁いた事で落ち着いた。

(大丈夫…あの人なら警戒しなくても良い)
(カイ…分かったわ)

と、二人がやり取りをしていた時に応接室の扉からノック音が鳴り、その後にメイド姿のティファが入ってきた。

「失礼致します。あっ、ベルフェ公爵家のベルトーラ様が居られましたか…大変失礼致しました」
「あら?メイドに若い子が居たのですね…って、貴方はたしか」
「はい。セィタン家直属のブエル伯爵の三女、ティファ・ブエルと申します」

眼帯を付けながらもティファは淑女の笑みを作りながら貴族令嬢の挨拶をこなしていた。
そんなティファの姿にベルトーラはスッと立ち上がり、ティファの所までやってきて右目を覆う眼帯にソッと手で触れた。

「貴方も、苦労されたのですね…」
「火傷の件は既にご存知かと思われますが、もう慣れました。それに…このキクルス家に従者として住まうようになってからは何処か心がスッキリとしております」

ティファの答えに、ベルトーラは優しく微笑みながらティファを抱きしめ、黙って背中を擦っていた。
ティファもまた、ベルトーラが何故擦り始めたのかを直ぐに察し、無言で受け止めていた。
しかし…その直ぐ後に、ベルトーラはさり気無くティファのお尻を軽く触った。

「あの…ベルトーラ様?」
「このお尻に形に侍女服であるロングワンピースにも関わらずこの胸の強調……うん、実にいいスタイルだわ。貴方もミリー様と同じく湯浴みに来なさい…ね♪」

ベルトーラのその言葉に、ティファはおろかミリーまでも固まり、その一方でカイとオイゲンは二人で耳打ちしていた。

「兄上…ベルトーラ様のあの趣味は…?」
「悪化している…無論、私と愛して夜伽を行ってくれるのはありがたいが、その度に日替わりで気に入った女性も一緒に連れ込もうとするのだ…勿論、私は婿養子だから彼女達は手を出し取らんぞ?」
「存じてます。しかし…ミリーはともかく、ティファは…」

そんなカイの心配を余所に、ティファは身体を触るベルトーラに牽制をした。

「先にベルトーラ様に報告します」
「何かしら?」
「私もミリー様と同じくあの男に処女取られましたが、異性が好きなノーマルですのでそこはお間違いなく」

ティファの発言にベルトーラは一瞬だけ固まった後、ガックシと力を抜いていた。

「それと、一応ではありますが…カイ様とはセィタン家のご厚意によるブエル家との政略結婚による婚約も結んでおりますので、悪しからず…」
「えっ…?ちょっと!カイ様!!どういうことですか!?ミリー様という女性が居ながら他の女性と婚約を…!!」
「お、落ち着いてください!ベルトーラ様!!首!首が絞まります!!」
「ベルトーラ様!これには訳がありますので…!ミリー様!!ベルトーラ様をお止めください!」
「わ、分かった!ベルトーラ様!!まずはカイを離して下さい!!それ以上は首を絞めてしまいます!!」
「私も止めるのを手伝おう。ベル、少し落ち着こうか」

カイがベルトーラに〆られてる様子をオイゲンは呆れながらも妻であるベルトーラの宥める一方、止めに入ってる弟の伴侶と侍女を眺めていた。
かつて、弟を従ってくれた元婚約者《クリス》と義妹《レイア》の事も思い出して…

(私も、今みたいにあの子達が弟に対する事でフォローをしていたら、あの男の所へ向かう事は無かっただろうけど…これも皮肉な運命なのだろうか)


先程のカイとティファとの伯爵家同士による婚約は、ティファからすればミリーの事を考えてカイとは婚約したまま結婚しないか、仮に結婚してもカイとの肉体関係を結ばずにカイとミリーを見守りながら一生を終えるだろう。

理由としては、クリス・ブラウンとの婚約破棄によってキクルス家の次期当主であるカイが婚約なしの状態では、石炭と石油による資源事業などで財産を持ってるキクルス家を狙う他の貴族を牽制するためであった。
ベルフェ家直属とセィタン家直属の貴族ならともかく、他の公爵家…特にアスモデ家の息が掛かった貴族との婚約をされてしまえば計画に支障を来たす事になる。
ならばとセィタン家が考えた答えは、セィタン家に忠実なブエル家で短い期間ながらもミリーとの絆を作ったティファが最適であり、ティファ自体もまたカイとミリーの事を気に入っており、セィタン家の厚意を込めた婚約をベルフェとセィタンに潜む他の公爵家の密偵達に流す事で牽制を図る計略に了承した。

その上、ティファ自体が今のカイとミリーの二人が相思相愛なのは既に知っているが、今のセントーラ王国の法では貴族との養子縁組を行ってないもしくは爵位を貰っていない平民とは結婚できない上、男爵令嬢程度が公爵家であるアスモデ家への不敬を行った罪を持つミリーを、流石のベルフェ家とセィタン家ですらベモンド男爵から罪人として勘当されて平民に落とされたミリーを養子にする事が出来なかった。
他の伯爵以下の下級貴族や公爵よりも下である上級貴族の侯爵も同じく、男爵程度の家の娘が公爵家に不敬を働いた者を向かい入れるのは公爵家と王家に反逆するようなもので受け入れがたい。
ゆえにキクルス家が彼女を密かに守る為、書類上の籍では”ミリー・ベモンド”は死亡扱いにし、平民の男”ミハイル”がキクルス伯爵の養子として迎え入れる形で国に誤魔化した。
無論、このやり方だと二人は血族扱いとなっている上に、同性という扱いの為に結婚する事は出来ない…

カイとティファとの書類上の婚約はミリーの為に席を開ける為の防衛策で、いつか国が変わりミリーが”ミハイル”の名を使わずに外に出れる時が来るまでは、この三人の関係は続くだろう…

最も、ティファ嬢は二人の事を気に入ってる様子である為、二人が本当に結婚した後も色々有りそうだ…


オイゲンはそう考えながら、漸く興奮が収まった妻を支えながら弟達を心配していた…





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