聖女候補に認定された幼馴染が泣きながら帰ってきたので戦争します。

名無シング

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承:不穏

15.新たに来た令嬢達

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セィタン公爵家から封書を受け取ってから半月後。
曇りが掛かった空の下にて、寒い北風が大地で駆け巡っていた。
一つの大型の馬車がキクルス伯爵家の屋敷前に止まり、中から五人の令嬢が出てきた。

「では、皆様方。後はお願いいたします」

御者である男が彼女達の荷物を降ろした後、馬車を動かして早々に立ち去っていった。
それと同時に、屋敷からカイが彼女達を出迎える為に現れ、その後ろを男装したミリーとメイド服を着たティファが従者として付き添っていた。

「ようこそ、このような地においでくださいました。私がキクルス伯爵の子息のカイと申します」

カイは挨拶をした後に一礼をし、彼女達を出迎えたのだが…
彼女達五人の内一人が不満そうな顔をしてカイ達を見ていた。

「貴方がカイ・キクルスですね。見たところ冴えない男性ですわね」

その侯爵令嬢がカイに対する酷評を述べた時、ミリーとティファが前に出ようとした所をカイは手を上げて止めた。
見下した発言であるが相手は侯爵家、一つ下の伯爵家とは身分が違う。
その事を踏まえてから、カイは彼女に切り出した。

「失礼。冴えない男性で真に申し訳御座いません。ユリアーナ・パイモン侯爵令嬢様」
「…なんか、釈然としない言い方ね。まぁいいわ。改めまして…パイモン侯爵の次女、ユリアーナ・パイモンです。以後、お見知りおきを」
「宜しくお願いします、ユリアーナ嬢」

ユリアーナは家名を名乗った後、淑女の挨拶であるスカートの裾を摘んでお辞儀をした。
それに続いて、腰に剣を携えた女聖騎士の制服を着こなす令嬢が剣を引き抜いて掲げ、名乗りを上げた。

「私はベリト侯爵の三女、ジュディ・ベリトと申します。選定前はセィタン公爵家直属の騎士見習いとして勤めてました。お見知りおきを」
「こちらこそ宜しくお願いします、ジュディ嬢。あちらの団とは既に話されましたか?」
「はい。…愚父からの進言とはいえ、セィタン公爵様の命とあれば配置換えなど」
「貴女が気を病む必要はないですよ、ジュディ嬢。現在の私はティファ嬢との仮婚約を結んでいるとはいえ、今は誰とも結婚する気はありませんので」
『…はっ?』

カイの言葉に、ユリアーナとジュディは間抜けな声を上げながらカイを見つめていた。
それにつられてか、三人目の学者服を着こなす眼鏡をかけた令嬢が手を上げて質問してきた。

「あの…カイ様?此度の私達の言付はご存知ですよね…?あっ、私はビフロンス侯爵の四女、ルルナ・ビフロンスです」
「はい。セィタン公爵様からの手紙は拝見し、貴方達を向かい入れろという言付は承りましたよ。ルルナ嬢」
「で、でしたら…」
「ですが、今の私の状態では貴方達を側室に迎え入れる事など、到底は無理で御座います。私は婚約者と側室候補だった女性達を持っておきながら、覚悟を決めずにあの日を向かえ、婚約者と義理の妹をあの男に奪われました。ゆえに、私はあの男との決着を付けるまでは結婚しないと心に決めております。ですので、政略結婚としての縁談を受けられたと思われますが、何卒…」

カイの答弁に、ルルナは驚きの顔をしながら、ジュディとユリアーナは少し訝しげな顔をしながらカイを見ていた。
次にカイに質問し始めたのは三人よりも小柄な令嬢であった。

「じゃあ、私達はそのまま帰れってこと!?」
「いえ、帰る必要も御座いませんよ。えっと…」
「ミシェル・バルバトスよ!まぁ、バルバトス侯爵の五女だけど…って、帰る必要は無いってどういうことよ!私達、傷物女はあんたの所に嫁ぐ政略道具として来たのに、結婚もせずに何をすればいいのよ!!」

あまりにも粗暴な言葉使いにカイは一瞬だけミリーの方に目をやると、気付いたミリーはコホンと咳をしてから再び不動の姿勢に戻した。
どうにも、このお転婆姫は聖女選定以前に問題児扱いされていたみたいだ。
カイはそんな感想を持った所で、最後に残った虚ろな目をした幽霊みたいな令嬢に目を向けた。

「うふふ…どうして空はこんなに蒼いのかしら…?」
「ジュディ嬢、あちらのご令嬢は?」
「ああ…シャックス侯爵の六女、コレット・シャックス嬢です。見ての通り、あの男の所為で壊れてしまって…」
「そうでしたか…ティファ。彼女を先に部屋へご案内を」
「承知しました。さぁ、コレット様。こちらへどうぞ…」

未だに灰色の空・・・・を見上げるコレットをティファは彼女の手をソッと繋いで、ゆっくりと屋敷の中へと連れて行った。

「さて、詳しい話は中でお話しましょう。この寒空の中で身体も冷え切っておられると思いますし、一度身体を温められてから談話室にて会いましょう。”ミハイル”、バトラと共に彼女達を案内を」
「はっ、承知致しました。では、皆様方。屋敷の中へとどうぞ…」

ミリーは返事をした後に彼女達の荷物を受け取り、中で待機していたバトラを含む執事と侍女達に手配をお願いすると共に侯爵令嬢達を部屋へと案内していった。





二時間後、外着の服装から屋敷内の服装に着替えたコレットを除く四人の令嬢は談話室にて待機していた。

「…で、結局私達をどうしたいわけ?」

ミシェルはカイを半目で睨みながら、簡素なワンピースドレスの姿にも関わらず右足を膝の上に乗せて腕を組んでいた。
余りのはしたなさに、同席している令嬢…特に元女騎士であったジュディはミシェルに対し咳を払ったが、効果がないと分かって直ぐにやめた。

「ミシェル様に続きますが、私達と結婚をせずに何をさせようと思ってるのですか?」

ユリアーナがミシェルに続いてカイに質問した事に、カイは冷静に答えていった。

「実直に申し上げますなら、貴方達を文官…秘書として傍に置きたいのです。無論、婚約成立した状態で…です」
「文官?私達を執事達がやってるような仕事をしろと?」
「厳密に言えば、我がキクルス家の事業処理の手伝いをして貰いたいのです。ティファ、例のを」
「畏まりました」

カイがティファに指示すると、ティファは同席していたミリーと共に木製のワゴンケースをカイの所まで動かし、ケースに収められいた書類の山をカイの目の前に置いていき、既に採決済みの書類写しを侯爵令嬢達に渡していった。

「あの…これは…?」
「キクルス領内における事業及び計画書です。予算計上から事業内容を審査した上で認可した物の写しですね」
「そ、それがその量ですか…ところで、これは年間の分なのですか?」
「いえ、本日の分です」
『…はい!?』

四人の侯爵令嬢達が一斉に大きな声を上げて目を見開き、カイの目の前にある10以上の書類の山を見ていた。
どう考えても、財務大臣と文官10人分合わせての仕事量が当たり前のように置かれてる事に、令嬢達は驚くばかりであった。
しかも…

「失礼、カイ様…手が勝手に動かれているが…?」
「ああ、気にしなくて結構です、ジュディ嬢。日課みたいな物ですので。”ミハイル”、差し戻し書類はそっちにやって」
「はい、畏まりました」

淡々と書類業務をこなしながら尋常じゃない速度で済ませるカイの姿に、令嬢達は身体を震わせるほかなかった。
特に、元々武官向けなジュディからすれば報告書一件を仕上げるのに苦労していた経験がある上で、印刷機械のように狂い無くこなすカイの姿に、経理の魔王と呼ぼうかと真剣に考えるほどであった。

そんな彼女達の姿にカイは一息入れてから話を続けた。

「とりあえず、本日は馬車の長旅による疲れもありますので、見学でも構いません。ゆっくりされてください」
「え、ええ…そうさせて貰うわ」
「あと…ジュディ嬢。もし無理そうでしたなら別の仕事も御座いますので、ご心配なさらずに」
「すまない…すまない…」

あまりの事務的作業に、ユリアーナは青ざめた顔を扇子で覆い隠し、ジュディは薄っすらと涙目を作って俯いていた。
一方のミシェルはハハッ…と小さく笑った後に未決算の書類の一枚を取って処理しようとした。

「や、やってやろうじゃない!見てなさいよ!!」

と書類の数字とにらめっこをし、計算しながら悩んだ結果…頭から湯気を出して降参した。

「ごめん…無理。私、魔法研究以外やった事が無い」
「えっと…ミシェル様。その書類を貸して貰えないでしょうか?」

ルルナはミシェルがギブアップした書類を受け取ったあと、ゆっくりと計算した後に書類に書き、カイに手渡した。

「…ふむ。計算は合っていますが、もうちょっと予算を突き詰められるかも知れないですね」
「うっ…そ、そうですか…」
「キクルス領内の予算報告書が収めれている本があるので、後日書庫にて閲覧されてください」
「…はい」

自信すら砕かれたルルナは意気消沈しながら、カイ達の書類業務を見届けていた。
一方のカイは書類業務を引き続きしながら話しを続けた。

「続いて、コレット嬢についてですが…身柄を守るという形でキクルス家が引き取る事にします」
「やはり、婚約が不成立だった場合は勘当される予定も知って居たのですね」
「ええ。選定された下級令嬢の大半が、未婚もしくは婚約のみだった次女以降の後継者序列が低い者ほど勘当もしくは蟄居の処分を下してる事例がありましたので。ついでに、ここに来られた貴方がたもまた、婚約不成立もしくは婚約成立後の破棄した場合は…」
「…ええ、そうよ。しかも、勘当どころか収容所みたいな修道院に入れられるわ」
「私の場合は、最前線送りにされて死ぬまで魔物と戦わされるでしょう」

勘当され、ジュディ以外の四人は修道院、ジュディの場合は最前線送りされ、二度と貴族社会には戻れない。
だからこそ、ここにいないコレットも含めた侯爵令嬢達は必死になっている。
カイはその事を踏まえた上で、彼女達との婚約縁談は仮引き受けをし、文官もしくは武官の真似事をさせて自立させようと考えていた。
しかし、ジュディとコレットを除いた三人の能力は、文官向けとは言えない極普通の令嬢その物だったのは予想外であった…

「…とりあえずは、私の父であるキクルス伯爵ことレオン・キクルスとは一度皆様とお話したいですので、本日はご自由にされてください」
「…分かったわ。それにしても、一体どんな再拝すればこんな仕事量が来るのよ」

ユリアーナがキクルス家の仕事量を見てげんなりしている所を、カイは苦虫を咬んだ顔を作りながら新しく来た彼女達に今後起きる事を話し始めた。

「…これはまだ公表されておりませんが、半月後に行われる勇者セシル・アスモデの魔王討伐出陣式典に合わせて、我々の主であるベルフェ家とセィタン家はセントーラ王国及びセントーラ王家に対して独立宣言されます」
「なっ…!?」
「それに伴い、我がキクルス領土はセントーラとの最前線にもなり、一番の武力を持つセィタン家を支える為の一番の物資産出領土となる程の極めて重要な場所となります。それゆえに、その下準備としての事業計画書及び公共事業の手配をし続けなければなりません」
「な、なるほど…となると、私のような騎士経験の持つ女性とかも?」
「はい。騎士団経験者はおろか、冒険者達を交えた兵団設立も視野に入れております。その上、武装面も従来の騎士団のような剣やマスケット銃ではなく、連発銃や移動式巨砲などの新式の兵器訓練も受ける形となります。ジュディ嬢、明日はその訓練の視察もありますのでご同行をお願いいたします」
「わ、分かりました…」
「ねぇ…それって魔術学科を受けていた私も行った方が良いかしら?」
「無論、軍事関係にご興味がおありでしたら貴方もご同行しても構いませんよ?ミシェル嬢」
「分かった…ユリアーナとルルナもそれでいい?」

ミシェルの声掛けに、ユリアーナとルルナも頭を縦に振って頷いた。
独立となれば、戦争は避けられない。
彼女達も二家が王家に対する不満や他の亜種族国家などの小国が戦争を持ちかけているのも知っている上で、セントーラとの衝突は避けられないと考えていた。
そうなれば、事業などの財務処理を行う文官や私兵団とはいえ軍を指揮する武官の数が足りない。
カイはその事を踏まえて、侯爵むこう側の思惑とは裏を斯く形で彼女達を迎え入れたのだ。

ただ、コレット・シャックスに関しては予想とは別の結果になってしまったが、体裁を護るためにも彼女を引き入れたのである。

「というわけで、本日はここまで致します。私は引き続き仕事に戻りますので」
「わ、分かりました…皆さん。いきますよ」
「あ、ああ…では、カイ殿。失礼します」

ユリアーナが部屋を出た後、ジュディとミシェルも続く形で退出した。
しかし、ルルナだけは残り、カイの所まで歩いてきた。

「どうか致しましたか?ルルナ嬢」
「あの…カイ様…厚かましいお願いで御座いますが、今からでも良いですので私を見習いとして従わせてください…!」

ルルナは頭を下げながらカイにお願いをした。
カイは彼女たち五人の経歴を事前に入手しており、ルルナは学者に関する能力を持っていた。
それを踏まえて、カイはルルナを文官として迎える事は確定事項で考えていた。

「これから更に厳しくなると思いますが、よろしいですか?」
「はい…私、あの選定を受けた後は聖女候補として訓練を受けてましたが…切り捨てられた上にあの男に犯されてからは聖女の能力を失ってしまいました…ですが、それでも私は…!」
「分かっております。それを踏まえて貴方を向かい入れたのです。ただ、今日はもう遅いですので、明日からお願いします」
「は、はい…分かりました…それと、私はもう侯爵家の娘では御座いませんので、気を使わなくても大丈夫…です」
「…分かった。では、今後とも宜しく頼む。ルルナ」

カイは席を立ってから、ルルナと”手袋越し”で握手を交わした。




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