迷子の僕の異世界生活

クローナ

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迷子になりました

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朝です。

「……見慣れない天井だ。」

ラノベのテンプレを呟いてみた。
俺としては夢オチの見慣れた天井でよかったんだけどな。

「夢の中にも神様とか出てこなかったなぁ」

どっかで聞いてたりしないかな?

窓辺から差し込む朝の柔らかな光にベットから降りればこちらも見慣れない下着1枚の自分に違和感を覚える。
元々裸で寝たりしない。手持ちの寂しい着替えがシワになると困るから脱いだのだ。

「パジャマ欲しいなぁ」

昨日もらった大き目のシャツとウェストはピッタリだけど七歩丈のチグハグな服を手早く身につける。ベットのシーツもさっさと外して椅子に置いておく。

ぐるぐると袖口を何度か折り返しながら食堂に降りるとすでにマートが朝食の準備をしていた。

「おはようございます。マートさん」

「おはようトーヤ。よく眠れたか?」

「はい」

そりゃもうぐっすりで自分の図太さに感心している。

「シャツは少し大きいか?まあクラウスに頼んだからな。サイズに不満があるかもしれんが後で顔見たら礼はいってやれよ」

何度も折ってある袖口を見てマートがニヤニヤ笑う。その顔、ビートそっくりですね!

口を尖らせてる俺をみて「そんなに拗ねるなよ」といいながら小さな木の札を並べてみせてくれた。全部で9枚だ。

「これが朝、食事を取る合図の札だ。俺達が寝てるうちに帰ってくる客もいるから札で確認するのさ。夕飯はこっちな。」

朝食は赤い箱、夕飯は青い箱に入れるのだと教えてくれた。

木札にはそれぞれ文字が書いてあった。

「マートさん僕文字が読めないんです。仕事に影響ないでしょうか」

駄目なら今日にでもギルドに行ってこよう。

「ん~字が読めなくて困ることはウチじゃ特にないかな?今は思い付かないからわからない事があったら遠慮なく聞いてれ。」

「お願いします。昨日言わなくてすみませんでした」

「なに、いいってことよ。そろそろ起きてくる客もいるから準備頼むな。」

「はい」

テーブルを拭き始めるとマートが札を確認しながら

「朝飯が要るのは奥から4人、2人、2人、それからカウンターに1人頼む」

と指示をくれたので奥の席から言われた人数分ランチョンマットを敷いて木製のスプーンとフォークとコップを置いていく。

飲み物は珈琲と紅茶とホットミルクと果実水だ。
朝食の時はカウンターの端に置いておけばお客さんが勝手に持っていくらしい。ファミレスのドリンクサービスみたいだ。

食材や飲み物が同じ名前なのは自動翻訳みたいなのかな?
言葉が通じるのに文字が読めないのは俺が日本語を話してるつもりだけど実は違うのか、もしくはお互いにそれぞれの言葉を話していて勝手に日本語に聞こえてるのか。
それなら文字も読めるようにしてくれたら良かったのに。

マートに教わりながら珈琲と紅茶をポットに作っていると厨房の方の扉を叩く音がしてすぐに外から開けられた。

「おはよ~ございま~~す!」

茶色のコックコートに白いパンツ姿の元気な若い男が顔を出した。明るい黄緑色のふわふわのくせ毛に緑色の瞳がなんだか眩しい。

「パン持ってきました~~いつもと同じ量でいいですか~~?」

人懐っこい感じのする笑顔が爽やかだ。

「お~、いつもと同じで大丈夫だ、ご苦労さん。トーヤ、悪いが受け取ってくれ」

並べたお皿に副菜料理を盛り付けながらマートが返事をする。
中には入ってこないみたいだ。

「おはようございます。配達ご苦労さまです。」

近づけば一抱えもある大きな紙袋を渡してくれた。

「うわぁいい香り」

紙袋は暖かくて香ばしい焼き立てパンの匂いがしてたまらずいっぱいに香りを吸い込んだ。

「わ~~おじさん、誰?この可愛い子~~」

ひょろリと細いながら俺より少し背の高い彼に言われ子供っぽい事をしたかと反省した。だってすごく美味しそうな匂いだ。

「トーヤだ。ヘレナの代わりにしばらく働いてもらう。トーヤ、そいつはパン屋の倅のアレクだ」

マートが紹介してくれた。

「はじめまして。冬夜といいます。少しの間ここで働くのでよろしくお願いします。」

ペコリと頭を下げると黄緑色のふわふわの彼は急に背筋を正すと

「は、はじめまして!僕はパン屋のアレクです!よろしくお願いします!」

と凄く緊張した顔をしながら大きな声で自己紹介すると「じゃあまたね!」とバタンと扉を閉めて行ってしまった。
配達まだあるのかな?

調理台にパンを運べばマートが食べやすい大きさに切ってカゴに盛っていく。

出来上がった珈琲と紅茶をカウンターに並べていると最初のお客さんが降りてきた。
金髪イケメンのクラウスだ。

「おはようございます」

「ああ」

俺をちらりとみるとカウンターに腰掛けた。
……長い足が余ってますよ。

「……飲み物はどうしますか?」

しまったセルフじゃないか。

「……珈琲を頼む」

クラウスも戸惑った感じでコップを差し出した。
珈琲をついで運ぶ頃には焼きたてのベーコンとオムレツが乗せられたお皿と籠に盛られたパンがクラウスの前に置かれていた。

「あの……服ありがとうございます。しばらくは無理ですがお金を稼げるようになったら少しずつ返しますね。」

コップを置いてそう告げれば

「勝手に用意したサイズの合わない服に金なんて払わなくていい。」

と言われてしまった。

「ウェストはぴったりだからサイズあってますよ?」

と返したとたん飲んでた珈琲にむせた。

「丈が短いだろう」と言われ、勝手に七歩丈だと思ってたからがっかりした。

こうゆう丈だと思ってたのに~~と口を尖らせてる俺に「そのうち店に連れてってやる」と言うとあっという間に朝ご飯を平らげて部屋へ戻って行った。




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