貴方は僕の運命のひと

まつぼっくり

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番外編

アラン視点 髪を切りたいミナト

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「ねぇ、アラン。髪の毛切ろうと思うんだけど床屋さんとかあるかな?」


前髪を少しつまんでこちらを見上げてくるミナトは文句なしに可愛い。
前々から目に入りそうな前髪は目に悪いと思っていた。
それでも他の奴等にミナトの顔を拝ませたくないという幼稚な考えが邪魔をしたのだ。
ミナト本人も、知らない人が怖くて前髪で視界を遮っていると言うから長くなりすぎて瞳を完全に隠している前髪や疎らに肩につくほど伸びている後ろ髪の事も何も言わなかった。

そんなミナトが散髪したいと言うのは喜ばしい事だ。
3ヶ月ほど働いて「常連さんが多いし、最近ちょっと慣れてきたよ。」と、はにかむ姿は何度も言うが文句なしに可愛い。


ミナトを人に見せたくない気持ちとミナトの意見を尊重したい気持ちがぶつかる。
答えは決まっているのだ。
悪あがきで「次の休みに一緒に行こう。」なんて言ってしまうのは許して欲しい。

俺が直ぐに連れて行けば良かったと遠い目をするのはそれから数時間後の昼休みだ。


今日も引っ付いてくるエリヤと共に食堂へ向かう。
仕事が立て込んでいないときはなるべくミナトに会いがてら食堂で昼食を取る。

自分が行けないときも信頼のおける部下の誰かは食堂へ行かせている事はミナトには言っていない。

さらに言えば最近マオからの提案でシフト調整をして少しだけ俺と出勤時間をずらして一人の時間も作らせるようにしているが護衛の依頼を出して面談した奴に見張らせている。
やりすぎだとギルド内では言われているのだが用心に用心を重ねることは悪い事ではない。




ミナトを見て驚いた。
普段隠れている瞳や眉、額までもが丸見えだ。
前髪をサイドの髪と一緒に編み込み、逆サイドも編み込んで全ての髪が右耳の下に綺麗に纏められている。

つるりとしたなだらかな額
形の良い緩い弧を描く眉
大きな丸い瞳

普段は若干のたれ目に加えて二重幅が広すぎて眠そうにさえ見えるその目を今はキョロキョロと世話しなさそうに動かしてちょこちょこと客に呼ばれるままに動き回っている。


ピタ、と動きを止めて振り向くミナトは目が合うとにっこり満面の笑みを見せ、此方へ足早に歩いてくる。

あぁくそ、何見ているんだ。何鼻の下伸ばしているんだ。ミナトは俺のものだ。
そう言えたらどんなに良いだろうか。だが此処はミナトの職場であり、自分の醜い嫉妬だけでミナトの邪魔はできない。
無言で見渡せばスッと反らされる視線。
ギルドの職員もいたな。
後でそいつで憂さ晴らししよう。

そこまで考えて目の前に来たミナトと向き合う。

「この匂いはアランかな?って振り向いたらアランだったよ!」

本当に、文句なしに可愛い。

ミナトの肩越しに栗鼠族の小柄な男がニヤニヤしている。
床屋に行きたいと言われたときに前髪だけでも切ってやれば良かったと心から後悔した。
そうしていたら眉と額は守られていたのだ。

仕事帰り、そのまま床屋に連れていこうと考えていたが何故だか額全開のミナトに劣情を刺激されて直ぐに自宅へ向かった。




「んンッ、あっ、んあッ、!」

小刻みに腰を動かすとそれに伴い、ミナトの小さな体も上下に揺れる。

1度中に出しているのでぐちゅぐちゅと鳴る卑猥な音に顔を赤らめながらも感じているミナト。

あえて胸の先端を無視し乳輪部分を摘まんでぐりぐりと少し強めに引っ張ると高くなる喘ぎ声。
軽くイッたのか痙攣するような締め付けに搾り取られそうになる。

はぁはぁと呼吸と整えるミナトの顔にかかった髪をかきあげる。

額に滲む汗と生理的に溢れる涙で顔にペタリと張り付く髪を手櫛でといてやるのが好きだ。

髪に隠れている可愛い顔が、細かく言えば目尻が赤く染まり涙に濡れている瞳が、髪の下から出てくるのが堪らない。


仰向けになっているミナトの背中に両手を差し込めば自然と首に回される腕に笑みを浮かべてそのまま引き寄せ、所謂対面座位の形になる。

ミナトは衝撃を予想してか腰を僅かに浮かせ、その為に抜けそうになったところを肩に手を置き下に押しやると仔犬のような鼻にかかった声を出し、跨ぐ足はぷるぷると震えている。

ちらりと目線を下げれば俺の腹にかかる僅かな白濁。
元々持久力のある方ではないからもうでなくなりそうだと考えていると首筋に顔を埋めてグスグスと泣き言を言う愛しい人。


「もっ、無理ぃ。もうできないッ。アランのばか。」

「悪い。もう少し頑張って欲しい。このままじゃ治まらん。」

笑って軽く腰を揺すればジトリと睨まれるが煽っているとしか思えない。

そのままズンズンと下から突き上げれば途端に上がる喘ぎ声。
先ほどの幼い表情とは違い、丸い瞳を細めハァハァと息を吐きながら快感に耐えようとする姿は色っぽくて更に啼かせたくなってしまう。






結局その後2度達し、ミナトはうとうととしながらも抱きついてくる。
風呂で手早く体を流し寝巻き用の大きめのシャツだけ着せて眠りについた。

翌日起きるとミナトがハサミを持って鏡に向かっていた。
慌てて取り上げるとキョトンとした顔をされる。

「アランおはよう。昨日寝ちゃってお風呂とかやらせちゃってごめんなさい。」

ペコリと頭を下げたその顔は羞恥に染まっていて本当に本当に文句なしに可愛いのだがそれには触れずにおはようと挨拶を返す。

「あぁ、気にするな。…それよりハサミで何を?」

「?、髪を切ろうと思って。」

「いや、床屋へ行こうな。今思い切りざく切りにしようとしてただろう?」

「普通に切ろうとしただけだよ?」

外見を気にしなさすぎるのは良い事なのか悪い事なのか。

「今から髪を切りに行って帰りにブランチにしよう。」

ぱぁっと笑顔になるミナトに此方も自然に笑顔になってしまう。
自分でやると言うミナトの言葉を聞こえないふりをして着替えさせ髪をといて家を出る。


宣伝用に記録させてくれと言う店の申し出を丁寧に断って歩き出すミナトを見る。
うんうんと悩んで「長すぎず短すぎずでお願いします!」と大雑把に頼んだにも関わらず担当者は望み通りに長めのショートカットにしてくれた。

全体的に丸みのあるフォルムのそれはミナトに良く似合っていて、眉は見えないが瞳は完全に出てしまっているのでこれから群がるであろう虫共が容易に想像出来てしまう。


その虫共を追い払うのが自分であって良かったと心の底から信じてもいない神に感謝しながらミナトの好きそうなカフェまでを歩いたのだった。
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