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「マイセン、失礼な事を言うな!」
後ろから応接室で父と対談していた伯爵様から声を掛けられる。決して大声では無いし、どちらかと言えば高めな声色なのに逆らえない、と本能的に思わせる落ち着きある伯爵様。眉間には僅かに皺が寄っていた
マイセン様を注意して下さる間に軽くカーテシーで挨拶をして私はキッチンへ向かった
父が伯爵の背後から余計な事を、と言った表情をしていたが無視である
…さて、何故私が前世の知識を活かして生活しないか、には理由がある
してはいけないなんて思わない。何故なら何年か前に馬車が改良され、その馬車を作ったのがまだ幼児とも言えるある侯爵の令嬢だったからだ。
私は彼女も同じく前世持ちだと確信した
その開発により、侯爵家の収入は他の侯爵家より一つ飛び抜けたらしい
だからこそ私もしたって良いとは思う。
これが普通に仲良い家族だったなら何かしら試していただろう
けれど、我が家は私に無関心な父と私を嫌う義母、義妹の構成だ。油断も隙も出来ない
私が先ずしたのは自分のものを手放す事。物も私を大切にしてくれた使用人も全部だ
一応まがりなりにも貴族令嬢が家を出て生活するにはまだ早いし、領民は守りたい
うちが潰れないギリギリの生活を保つ為にメイド服を来て食費を浮かせてシャーロットのドレス代に充てて、私は私が成長するのを待っていた
だってただでさえ若くて、物理的に身も軽いし、とりあえずでも令嬢の身分も有るのよ?
謳歌しないのは勿体無いわ
前世、歳を重ねる度に何度と無く若返ったら、を妄想した事か!
幼少期、余り裕福じゃなかったし、周りは田んぼばっかで娯楽も少ない家だった。
何十年かして、平凡ながら子どもも持てたけれど代わりに若さが無くなり歳ごとに体重は増えていったのよ?
子どもが巣立った後は不倫で出て行った旦那と完全に縁が切れスッキリしたらすっかりおばさんになってたわ
だから若返ったら細身の身体をキープしてオシャレしたい、と前世の私が強く願って居たのだもの
家計管理も職業婦人もこう言ってはなんだけれど長年働き、家計簿をつけていたのでお手の物だ。
編み物で小物を作っていた記憶は今の世界でも役立つだろう
この家がどうなっても良い訳では無いけれど、あの人たちに好き放題されるぐらいなら、と私は一瞬だけ目を伏せた
前世で子どもは可愛いかった
自分の命よりも大切で愛しかった
けれど、それは遠い過去
今の私はまだ10歳の少女でしかないのだから。
「まぁ。さすがはリアラ、今日も綺麗ね。何を着ても上品だこと、それに料理もとても美味しいわ」
伯爵家の皆様が居る間はマリア義母様は優しく接してくれる。本当に少女なら普段、どんな扱いをされていても絆されてしまいそうな程に…私はギャップで風邪を引きそうだけれどね
そして伯爵様さえ居たら常に優しいのならばと、縋ってでもジョージ様かマイセン様と婚約し、どんな扱いでも今よりはマシだからと我慢してしまうかも知れない
後ろから応接室で父と対談していた伯爵様から声を掛けられる。決して大声では無いし、どちらかと言えば高めな声色なのに逆らえない、と本能的に思わせる落ち着きある伯爵様。眉間には僅かに皺が寄っていた
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