モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき

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貴族の、特に当主に取って何より大切なのは領民の生活を護る事に尽きる。
家族は勿論、大切だけれど時に家族よりも有事の際は優先すべし

うちの様な吹けば飛ぶような弱小貴族でもそうなのだ

広い敷地、多くの領民を抱える高位貴族ともなればその責務の重さは比では無い

「…確かに、貴族の義務を放棄した、と言われたらそれまでだ。だからこそ、父上も跡継ぎの座だけで無く、貴族の立場まで捨てるように言われたのだろう」

「懸命な判断です。跡継ぎを譲るくらいでは家を、引いては領民の暮らしに影響しかねませんもの。他家の貴族との取引に優位なはずのアマール伯爵家ならではの英断です」

「学園を卒業した一貴族が他家の貴族からどう見られるか、あの時に考えもしなかったのは確かだ。しかし、領民にまで影響するなんて今の今まで考えもしなかった…君、本当に学園前?」

言葉遣いは未だ伯爵子息の地位が有り、それを利用させて貰う為に使用人でも改めないで貰っているのは私都合で。

更に目を丸くして尋ねられると少し気まずい。何故なら私は本来の私+何十歳だから

単純に人生経験の差です

「さて。我が家も膿が漸く出たのでこれから黒字にしなければ、サジナール様の事を言えません。先ず、大量に買ったシャーロットのドレスや宝飾品を、生地は悪く無いので古いのもリメイクして…もうボロボロで直しようも無いのは拭き掃除に使うとして、とにかく片付けましょう」

父達の部屋も家具から何から商者に引き取って貰い、先ずはシャーロットのツケを精算した

次にボロボロの生地を何枚かに重ね縫い合わせ、雑巾を作ったり比較的マシな物はハンカチ等に姿を変えて使用人へ贈ったりもする。

ドレスとしてはボロボロだけど一応、この世界で平民が買える服の生地より質が良いそれは皆に喜ばれた

実母の物は義母を迎えるまでに全て売り払われたか捨てられた私に昔から居た使用人が小さな手作りの栞を代わりに、と差し出してくれた時には涙が溢れた。

父を油断させる為に敵意を見せず、優越感を抱かせて生活していたのは殺されてこの男爵家を奪われないようにする為だった。
その為に物にも人にも執着しないように心を閉ざし、従順に従って来たのだ。

婚約話が有ってものらりくらりと躱していたのは父で。私に後ろ盾が出来ないように、あわよくばシャーロットと婚約させてこの家を乗っ取るつもりだったのだろう

婚約者の居ない男爵令嬢など価値は無い。簡単に殺されても誰にも咎められない世界なのだから

しかし、幸か不幸か料理の腕が10歳にしては有った私に父は価値観を見い出し、使用人として扱う事で私は生き延び、更に父の苦手な書類や、計算も私が苦も無く行う事で父は楽が出来る方を選んだ

貧乏な一代男爵の実家では王都の学園で学ぶ事が出来なかったのだろう

計算が出来ないと言うのが致命的で高値で売りつけられても父は何も考えずにサインをしていた。それが私に代わり、改善されたものの10歳の令嬢では売らないと脅す業者も多かったが、5年の歳月で解消して今、正式に男爵の地位を得て、かつての脅す行為をした業者、商者は我が領での商いを禁じた。

謝罪やら言い訳やら手紙は来たけれど自分でした行いが自分に返って来ただけだわ、と破り捨てる
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