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第五章
影の中で 7
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サターン・リングと呼ばれた、刃物のように磨かれたリングが空中で回転する。大きさは元のサイズに戻っているが、放たれる呪力の濃さはさらに増している。
「はあっ!」
静星がサターン・リングを振るう。まるで静星の掌に吸いついているかのような、絶妙な隙間を空けて手の動きに追従している。ヨーヨーでも飛ばすかのような動きで、静星が腕を振り上げると、リングは急激に伸びて、煌津の首筋を狙ってくる。
「うわっ!?」
間一髪、剣でリングの先端を弾く。体勢を僅かに崩した静星に、すかさず那美の撃った銃弾が襲い掛かる。
「はっ!」
嘲笑とともに静星は黒い靄に姿を変える。銃弾が黒い靄を貫いて彼方に消えた瞬間、再び実体を
現し、黒い紐を出現させる。
「こうるさいガンスリンガーは動きを封じてしまいましょうか、ねえっ!」
ヒルのような黒い紐が、うねうねと動きながら次々と那美に向かっていく。煌津は一瞬、那美の助けに入ろうとした。が、無用だ。黒い紐は那美の体に触れる事なく、その手前で次々と弾け飛ぶ。
「九宇時の巫女装束。その程度の呪力は無効化するってわけね」
「私を素人だと思わないほうがいい」
「はっ。玄人でもないでしょ。お義兄ちゃんが恋しいんじゃないの?」
すぅっと。那美が浅く息を吸った。
目にも止まらぬ早業で、リボルバーが火を吹いた。静星はこまめに体を黒い靄と実体に切り替えつつ、リングを伸ばして那美を攻撃する。反射的に、煌津は静星を斬りつけた。だが、まるで如意棒のように反対側にも伸ばされたリングが、煌津の剣撃を弾く。瞬間、リロードを終えた那美のリボルバーが銃弾を吐き出す。黒い靄に姿を変えた静星に、煌津は吸い取る包帯を突き立てる。静星が苦々しげに呻く。煌津が射線から逃れると同時に、吸い取る包帯によって実体に戻された静星の体に銃弾がすぐそこまで接近していた。捉えた。煌津はそう確信したが、その瞬間、地面から湧いて出た無数の小さなくねくねモドキの群れが銃弾をあらぬ方向へと弾き飛ばしていく。
「まだまだ!」
手から吸い取った黒い靄を捨て、煌津は低い体勢で斬りかかる。リングの刃筋が剣の刀身を噛み
合う。黒い紐が煌津の首元に出現し、締め付ける。意識が飛びそうになった瞬間、那美が刀印で黒い紐を切る。徒手空拳に切り替えた那美の足払いが静星の体勢を崩す。崩れた体勢を黒い靄に変じてすぐ実体化する事で素早く立ち上がり、後ろ蹴りを放つ静星。那美の打撃と煌津の剣撃を素早く、そして確実に静星は捌き続ける。
「ふん!」
静星が両側に黒い衝撃波を繰り出し、那美と煌津は同時に吹っ飛ばされる。
「はあ、はあ……」
煌津は息が切れている事を実感する。対して、静星はまだまだ余裕そうだった。とんでもない戦闘能力だ。隙に攻め入っているはずなのに、あっという間に劣勢に追い込まれる。
「久しぶりの戦いは楽しませてもらったよ、先輩方」
リングを指でくるくると回しながら、静星は言った。
「はあっ!」
静星がサターン・リングを振るう。まるで静星の掌に吸いついているかのような、絶妙な隙間を空けて手の動きに追従している。ヨーヨーでも飛ばすかのような動きで、静星が腕を振り上げると、リングは急激に伸びて、煌津の首筋を狙ってくる。
「うわっ!?」
間一髪、剣でリングの先端を弾く。体勢を僅かに崩した静星に、すかさず那美の撃った銃弾が襲い掛かる。
「はっ!」
嘲笑とともに静星は黒い靄に姿を変える。銃弾が黒い靄を貫いて彼方に消えた瞬間、再び実体を
現し、黒い紐を出現させる。
「こうるさいガンスリンガーは動きを封じてしまいましょうか、ねえっ!」
ヒルのような黒い紐が、うねうねと動きながら次々と那美に向かっていく。煌津は一瞬、那美の助けに入ろうとした。が、無用だ。黒い紐は那美の体に触れる事なく、その手前で次々と弾け飛ぶ。
「九宇時の巫女装束。その程度の呪力は無効化するってわけね」
「私を素人だと思わないほうがいい」
「はっ。玄人でもないでしょ。お義兄ちゃんが恋しいんじゃないの?」
すぅっと。那美が浅く息を吸った。
目にも止まらぬ早業で、リボルバーが火を吹いた。静星はこまめに体を黒い靄と実体に切り替えつつ、リングを伸ばして那美を攻撃する。反射的に、煌津は静星を斬りつけた。だが、まるで如意棒のように反対側にも伸ばされたリングが、煌津の剣撃を弾く。瞬間、リロードを終えた那美のリボルバーが銃弾を吐き出す。黒い靄に姿を変えた静星に、煌津は吸い取る包帯を突き立てる。静星が苦々しげに呻く。煌津が射線から逃れると同時に、吸い取る包帯によって実体に戻された静星の体に銃弾がすぐそこまで接近していた。捉えた。煌津はそう確信したが、その瞬間、地面から湧いて出た無数の小さなくねくねモドキの群れが銃弾をあらぬ方向へと弾き飛ばしていく。
「まだまだ!」
手から吸い取った黒い靄を捨て、煌津は低い体勢で斬りかかる。リングの刃筋が剣の刀身を噛み
合う。黒い紐が煌津の首元に出現し、締め付ける。意識が飛びそうになった瞬間、那美が刀印で黒い紐を切る。徒手空拳に切り替えた那美の足払いが静星の体勢を崩す。崩れた体勢を黒い靄に変じてすぐ実体化する事で素早く立ち上がり、後ろ蹴りを放つ静星。那美の打撃と煌津の剣撃を素早く、そして確実に静星は捌き続ける。
「ふん!」
静星が両側に黒い衝撃波を繰り出し、那美と煌津は同時に吹っ飛ばされる。
「はあ、はあ……」
煌津は息が切れている事を実感する。対して、静星はまだまだ余裕そうだった。とんでもない戦闘能力だ。隙に攻め入っているはずなのに、あっという間に劣勢に追い込まれる。
「久しぶりの戦いは楽しませてもらったよ、先輩方」
リングを指でくるくると回しながら、静星は言った。
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