【R18】悪役令嬢フェリーチェの、××回めの転生日記 ~一度きりの関係のはずのサブキャラが、フラグをもってやってくる!~

藤原いつか

文字の大きさ
18 / 28
第2章 眠れない騎士アランの憂鬱

12.最後まで_②

しおりを挟む



 一瞬だけ目を丸くしたあと、アランは応えるように触れるだけのキスをして、そしてゆっくりとでも確実に腰を押し進めた。フェリーチェの一番奥に行き当たるまで惑いなく。
 その重たい質量と圧迫感が、フェリーチェの内側なかを押し広げて満たしていく。

「……ッ、あ、んん……!」
「……っは、はぁ……」

 痛みに呻くフェリーチェとは真逆の、どこか恍惚とした吐息がアランの口から漏れる。
 その様はまるで正反対なのに、おそらく考えていることはふたり同じだった。

「――最後まで、はいった」
「い、言わなくていい、です、そんな、こと……」
「だって、したかったんでしょう?」

 そうだけど。確かにそう言ったけれど。
 何より安堵する自分が居るとは思いもよらなかった。

 まさか転生した先で初体験をするなんて思ってもいなかった。
 むしろフェリーチェの初体験を、自分が奪ってしまったのではないのだろうか。

 もはやだんだんややこしくなってくる。自分はいったいダレなのだろう。

「リーチェ」

 あぁ。そうだ。少なくとも今は。
 そう呼んでくれるひとがいる。
 ここに居る自分を、アランは受け容れてくれている。

「ごめんね、そんなもたないや」

 言葉のわりに悪びれる様子もなく笑ったアランは、今までで一番飾らない笑みを浮かべていた気がした。
 それから両手がぐっと、フェリーチェの腰を掴む。更に腰が押し付けられて、思わず声が漏れた。

「っ、あ……!」
「はぁ、やば……気持ち過ぎて、オレの方がぜんぶ、持ってかれそ」

 小さく呟いて、引き抜かれた腰がぎりぎりのところで止まり、また同じ場所を辿りながら押し付けられる。
 ゆっくりと繰り返される行為にベッドが軋み、肌のぶつかる音がやけに響いた。
 
「ぁ、や……っ」
「あーー……声、かわってきたね。かわいい声。気持ち良い?」

 アランはそれしか言わない。かわいいって、そればかり。
 それが彼なりの流儀なのだろうか。きっと他の女の子にも言っている。
 わかっているのに。

 体が先に喜んで、彼のものを締め付ける。
 その反応にまたアランは目を細める。
 こっちは笑う余裕もないというのに、その笑みが途端に憎らしくなる。

 そんなフェリーチェの気持ちが見透かされているのか、アランがそっと顔を寄せてきた。

「オレ、嘘は言わないよ? リーチェの体、気持ち良いし、オレに乱されるリーチェは」

 腰の動きは止まらない。額に汗を滲ませて、なのにアランは心底楽しそうにささやいた。

「堪らなくかわいい」

 言葉と同時に最奥を抉るように突かれた。悲鳴ににも似た嬌声を、アランの唇が受け止める。
 絶対、わざと。ゆるやかに動きがはやくなってくる。

 舌が触れるともう反射的に、自分も応えるようになってしまった。
 知らず両腕がアランの首元にまわる。この後の予感に体が勝手に動いていた。
 また自分が締め付けたのか、彼のものが大きくなったのかは分からない。互いの口元で小さく喘ぐだけ。

 それからあとは、彼の為の時間だった。

 沈む下半身を更に強く押し付けながら、吐息の熱さと心臓のはやさだけが、見えない欲情を伝えている。
 痛みに慣れると次に感じるのは快楽の波だけ。もうひとりでは堪えることができないところまで、いつの間にか来てしまっていた。

 熱くて大きな手が頬に触れ、半ばむりやり顔を合わせられる。
 その瞬間の顔を見られたくないフェリーチェの気持ちを分かっていて、わざと鼻先を掠める距離の先でアランの瞳が細められた。
 ずっと、笑っている。なのに腰は止まらない。

 無意識に、反射的に、動いていた。
 初めて自分から、それが欲しくなってしまった。

「あぁ、やっと、キスしてくれた」

 そう言ってどこか嬉しそうに笑う彼を、いつかどこかで見たような気がするけれど、やっぱり思い出せない記憶のなか。
 なのに胸の奥が知らず疼く。
 掻き消すようにせりあがってくる目の前の欲望にすべてを委ねた。
 アランがちゃんと連れていってくれるって言ったから。大丈夫だと思えた。

「……っ、は、リーチェ……」
「……ッ、あっ、イ、く……! アラン、さま……!」

 どくんと大きく心臓が鳴る。
 自分のだろうか、それとも。

 きつく閉じた瞼の裏側に、白く弾ける衝動に、フェリーチェの意識も体も全部もっていかれてしまう。
 抱きしめられる腕の強さと、自分の抱き締める感触だけがやけに鮮明だった。

 その瞬間、ようやくアランの顔から笑みが消える。
 最初で最後ならもっとちゃんと、その顔を見ておけば良かった。
 その頃にはフェリーチェの意識はもうここには無かったのだけれど。



 こうしてひとりめのイベントが、なんとか終わりを迎えたのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。 なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。 超ご都合主義のハッピーエンド。 誰も不幸にならない大団円です。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...