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扉をくぐってほしい理由がある(フルフラの視点から)
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「フルフラ、後のことは頼んだよ」
それがシンクの私に残した言葉だった。
シンクは精霊の私を召喚した張本人である。
といっても、アルテールは精霊と人間が共存している。なので、召喚したのは主従関係を結ぶのではなく共存する意味になる。
一緒に魔王と戦った仲である。
種族が違うので恋愛感情もなかった。だけど、私から見るとシンクは手のかかる弟みたいな存在だった。
1000年に一度、現るかどうかの天才魔導士のくせに初心者でも間違えない魔法を派手に失敗するからだ。
本人としては力の加減が分からないと言い訳をしていたが。
そのたび、後始末をして回るのが私の役目だった。
彼が向こうに行った時には大変だった。
何しろ、王国の跡継ぎがいなくなったら大騒ぎになる。しかも、扉を一つ残して。
「フルフラ殿、王子はどこに」
真っ青になっている導師たち。
導師たちの気持ちは良くわかる。
やっと、魔王からの脅威が去って国の復興を始めた矢先、跡継ぎの王子がいなくなったんだから。
「扉から出ていきました」
「この扉が、」
何もない空間に扉だけがある。
後ろを回ってもただの扉。
ノブに手をかけてもぴくりともしない扉。
「あいつ、逃げたわね。どうせ、国が安定したらシンクに王位を譲るつもりだったんでしょ」
そういえば、王様なんて真っ平だ。自分はずっと魔道を極めていたいと常々、言っていたっけ。
魔道の研究には王様の仕事は面倒でしかない。
「そうじゃ。陛下にどう報告したらいいのだ」
陛下もシンクがいなくなったからといって、導師たちに罰を与えることはない。だけど、対面というものがあるから、導師にとってこれから針のむしろだろう。
王にしたってまさか、息子がこんな豪快な家出をするとは思ってもみないはずだ。
いや、この場合は世界まで捨てたのだから。
王には現在、妃がいない。シンクの母親は彼が子供のころに亡くなったのだと聞いている。
なので、シンクがいなくなった今、王は妃を迎えるところから始めなくてはいけない。
数年後、アイドリアに王子が誕生した。
やっと、私も一息つくことができた。
王に良縁が舞い込むように私もそれなり努力したのだ。
私はフルフラ、風の精霊。
だから、風に関することならなんでもできるけど、王の婚活を取り持つのはなかなか大変だった。
恋を取り持つ精霊は私ではないのだ。
知り合いには何人かいたけどね。
それに子供も出産を取り持つ女神に掛け合った。
「大変ねぇ、フルフラ。アイドリア王の婚活にそれから生まれる子のために、」
「だって、シンクのせいなんだもの」
シンクは大切な仲間なんだから。
彼の後始末は仲間である自分の仕事。
「そうねぇ。このままだとアイドリアの跡継ぎ問題が勃発するし」
愛の女神、ステラフィード様。
ちなみに土の女神でもある。彼女は人の出産を管理している。跡継ぎ問題を解決するなら彼女に頼むのが一番だ。
「シンクのおかげでアルテールに平和が訪れたわけだし」
「あのまま、魔王の暴走が続けばこちらの仕事が増えたでしょうし、」
すっ。
ステラフィード様の手に一冊の書物が現れる。
「大丈夫、王は妃をめとり、妃は王子を二人産む」
これでいいでしょ。
ステラフィード様はにっこり微笑んで言ってくれたので私はほっと一息つくこどかできた。
その後、ステラフィード様のお言葉通り、王は後妻を迎えることができた。
お相手は隣国の姫君。
かなり年齢に差があるものの、それなりに仲睦まじく過ごしているようだ。
これなら、子供もすぐ生まれるだろう。
なのに、なんだろう。
時々、違和感を感じる。
精霊の私にとって人間の時間は早く感じる。あんなにシンクを求めていた導師たちも前を向いて行動するようになった。
復興したアイドリアには魔道の教育機関ができる。
「シンク王子のように精霊を呼び出せる魔導士はこのあと、誕生しないでしょうねぇ」
導師たちの中で一番の長老がため息をついていた。
それがシンクの私に残した言葉だった。
シンクは精霊の私を召喚した張本人である。
といっても、アルテールは精霊と人間が共存している。なので、召喚したのは主従関係を結ぶのではなく共存する意味になる。
一緒に魔王と戦った仲である。
種族が違うので恋愛感情もなかった。だけど、私から見るとシンクは手のかかる弟みたいな存在だった。
1000年に一度、現るかどうかの天才魔導士のくせに初心者でも間違えない魔法を派手に失敗するからだ。
本人としては力の加減が分からないと言い訳をしていたが。
そのたび、後始末をして回るのが私の役目だった。
彼が向こうに行った時には大変だった。
何しろ、王国の跡継ぎがいなくなったら大騒ぎになる。しかも、扉を一つ残して。
「フルフラ殿、王子はどこに」
真っ青になっている導師たち。
導師たちの気持ちは良くわかる。
やっと、魔王からの脅威が去って国の復興を始めた矢先、跡継ぎの王子がいなくなったんだから。
「扉から出ていきました」
「この扉が、」
何もない空間に扉だけがある。
後ろを回ってもただの扉。
ノブに手をかけてもぴくりともしない扉。
「あいつ、逃げたわね。どうせ、国が安定したらシンクに王位を譲るつもりだったんでしょ」
そういえば、王様なんて真っ平だ。自分はずっと魔道を極めていたいと常々、言っていたっけ。
魔道の研究には王様の仕事は面倒でしかない。
「そうじゃ。陛下にどう報告したらいいのだ」
陛下もシンクがいなくなったからといって、導師たちに罰を与えることはない。だけど、対面というものがあるから、導師にとってこれから針のむしろだろう。
王にしたってまさか、息子がこんな豪快な家出をするとは思ってもみないはずだ。
いや、この場合は世界まで捨てたのだから。
王には現在、妃がいない。シンクの母親は彼が子供のころに亡くなったのだと聞いている。
なので、シンクがいなくなった今、王は妃を迎えるところから始めなくてはいけない。
数年後、アイドリアに王子が誕生した。
やっと、私も一息つくことができた。
王に良縁が舞い込むように私もそれなり努力したのだ。
私はフルフラ、風の精霊。
だから、風に関することならなんでもできるけど、王の婚活を取り持つのはなかなか大変だった。
恋を取り持つ精霊は私ではないのだ。
知り合いには何人かいたけどね。
それに子供も出産を取り持つ女神に掛け合った。
「大変ねぇ、フルフラ。アイドリア王の婚活にそれから生まれる子のために、」
「だって、シンクのせいなんだもの」
シンクは大切な仲間なんだから。
彼の後始末は仲間である自分の仕事。
「そうねぇ。このままだとアイドリアの跡継ぎ問題が勃発するし」
愛の女神、ステラフィード様。
ちなみに土の女神でもある。彼女は人の出産を管理している。跡継ぎ問題を解決するなら彼女に頼むのが一番だ。
「シンクのおかげでアルテールに平和が訪れたわけだし」
「あのまま、魔王の暴走が続けばこちらの仕事が増えたでしょうし、」
すっ。
ステラフィード様の手に一冊の書物が現れる。
「大丈夫、王は妃をめとり、妃は王子を二人産む」
これでいいでしょ。
ステラフィード様はにっこり微笑んで言ってくれたので私はほっと一息つくこどかできた。
その後、ステラフィード様のお言葉通り、王は後妻を迎えることができた。
お相手は隣国の姫君。
かなり年齢に差があるものの、それなりに仲睦まじく過ごしているようだ。
これなら、子供もすぐ生まれるだろう。
なのに、なんだろう。
時々、違和感を感じる。
精霊の私にとって人間の時間は早く感じる。あんなにシンクを求めていた導師たちも前を向いて行動するようになった。
復興したアイドリアには魔道の教育機関ができる。
「シンク王子のように精霊を呼び出せる魔導士はこのあと、誕生しないでしょうねぇ」
導師たちの中で一番の長老がため息をついていた。
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