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弟は悩む
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「王子、学校に入学する前にお伝えすることがあります」
小学校に入学する時、爺やに起こされた俺は身支度をしながら彼の話を聞いた。
俺はアルファード・デル・ファン・アイドリア。
俺は一国の王子だが、一人で着替えもできる。あと、朝起きて洗顔など一人でできる。
侍女たちや侍従たちにとっては手のかからない王子らしい。
他国では一人で何もできない王子は沢山いるという。
ただし、俺が一人で身支度や他にもいろいろと出来るのは姉のお蔭だ。
アリス・デニー・ファン・アイドリア、俺の二つ上の姉。彼女は俺にとって最愛の女性だ。
俺は覚えていないが、姉は俺のオムツを替えてくれたばかりか、離乳食の面倒を見てくれたそうだ。
「あの時も私たちも驚きました。もうじき3歳になるとはいえ、2歳のアリス様が殿下のオムツを替えていたのです」
さらに俺の離乳食は姉上のお手製だったという。王族でしかも、まだ3歳の子供が離乳食を作ったということはすでに王宮の伝説となっている。
なんでもそのせいで俺の乳母は暇をとってしまったほどだ。
それはともかく、姉も小学校に入った頃からそんなに俺の面倒を見てくれなくなった。
母上の考えで俺たちは一般人に交じって学校に上がることになったのだ。
母上の話だとコミュニケーション能力を育てるためなんだそうだ。
「姉上と同じ学校に行くことになるのか」
学校に入学するのにあたって、俺が一番気にしていることはそれだけだった。別に勉強することは嫌いではない。
というか、俺はこの国の王子なのだ。いずれは父上の跡を継いで王となる。そのためにはある程度の知識が必要だと姉上もおっしゃっていた。
だけど、どうせ行くなら姉上が通っている学校に行きたい。
「殿下、何か期待していらっしゃるようですが。残念ながら、アリス様と同じ学校ではありません」
「えっ、」
俺、今、声を出したっけ。
「言葉にお出しにならなくても大体、判ります。殿下は姉君を一番大事にしていらっしゃいますから」
「そうかな」
俺は父上も母上も尊敬している。妹のアイリアも可愛い妹だと思っている。
だけど、他の三人に比べてアリス姉上が大切に思っていることは誰も見ても判るんだろう。
「僕一人で学校に行くの」
なんだか、不安だ。
「向こうの屋敷についたら、この爺は殿下の祖父となります。殿下は両親を亡くして祖父に引き取られた少年となります」
「えっ、爺と二人っきりなの」
俺の世話は大抵、爺がやってくれる。以前は乳母がいたが、姉との事情で暇を取ってしまったのだ。
といってもそんなに不自由は感じなかった。確かに自分でやれなかった頃は姉が積極的に俺の世話をしてくれた。
自分である程度、できるようになった頃に爺やがきたが、そんなに負担にはなっていないはずだ。
「学校の近くに屋敷を借りますが、ゲートを使うので問題はありません」
つまり、学校が終わればゲートを使って城に帰るから心配するなってことか。
確かにそれならそんなに爺と一緒でも大丈夫だな。
姉上と違う学校だったが、俺は学校生活を楽しむことができた。
商人の孫息子という設定も案外、新鮮だった。それに城と違っていちいち、マナーにこだわることがなくて
それに俺のことを王子とは気づかず、自分たちと同じ子供として見てくれることが嬉しかった。城では貴族たちやその子弟たちにこびた態度を取られていい加減うざかった。
ちなみにゲートを使っているので王都より遠い町だから、よかったんだろう。
王族と平民は滅多に顔をあわせることはない。だけど、王族の顔は写真とかいうもので平民なら知っている。
でも、王都から遠く離れた街で王子そっくりな、俺を見ても他人の空似と思うだろう。
何しろ、ゲートの魔法は王家しか使うことができない。母上が開発した魔法だからだ。
ゲートの魔法の仕組みは母上と母の配下の魔導師しか知らない。
とても、便利な魔法だがあまり周囲に広まると何かと問題があるらしい。
そんな俺ももうすぐ、大学を卒業する。
「アルファード、お前、卒業したらどうするんだ」
と、声をかけてきたのは小学校から一緒のケインズだ。
「別に爺ちゃんの後を継ぐだけだよ」
大学を卒業すれば、俺はこの町を出ていく。
という建前で王都に戻るだけなんだが。
「アンが寂しがるな。いや、俺としてはさ、お前だったら妹を任せてもいいと思っていたんだ」
「あいにくだけど、俺の好みじゃないな」
「そこまで言うか」
自慢じゃないが、どうやら俺はモテるタイプらしい。王子という身分は周囲にはばれていない。それでもモテるのは何故なんだろうか。
そういえば、父上は母上と結婚する前までとてもモテていた。ただし、父上の場合は王子という身分を隠していなかった。
だから、自然と周囲に女の子が集まっていたという話だ。
「それは違うんじゃないの」
家に帰るとアイリアが遊びに来ていた。
どうやら、俺の入れ替わりにここから大学に行くらしい。
なので、ゲートを使ってよく家に来るようになった。一応、何かあった時の場合を考えてゲートは家の地下室にある。
近所に住んでいる人たちに疑いをもたれないようにゲートを使った場合はアイリアは外に出ない。
だけど、大学への手続きは馬車を使ってこの町にまで来ているらしい。
「兄上はアルファード王子とそっくりだからね。王子の彼女は無理でもソックリさんなら彼女になれるとでも思っているんじゃないの」
アイリアはくすくす笑いながら俺に言った。
うーん、そういわれてみればそうかもしれないと納得してしまう俺であった。
小学校に入学する時、爺やに起こされた俺は身支度をしながら彼の話を聞いた。
俺はアルファード・デル・ファン・アイドリア。
俺は一国の王子だが、一人で着替えもできる。あと、朝起きて洗顔など一人でできる。
侍女たちや侍従たちにとっては手のかからない王子らしい。
他国では一人で何もできない王子は沢山いるという。
ただし、俺が一人で身支度や他にもいろいろと出来るのは姉のお蔭だ。
アリス・デニー・ファン・アイドリア、俺の二つ上の姉。彼女は俺にとって最愛の女性だ。
俺は覚えていないが、姉は俺のオムツを替えてくれたばかりか、離乳食の面倒を見てくれたそうだ。
「あの時も私たちも驚きました。もうじき3歳になるとはいえ、2歳のアリス様が殿下のオムツを替えていたのです」
さらに俺の離乳食は姉上のお手製だったという。王族でしかも、まだ3歳の子供が離乳食を作ったということはすでに王宮の伝説となっている。
なんでもそのせいで俺の乳母は暇をとってしまったほどだ。
それはともかく、姉も小学校に入った頃からそんなに俺の面倒を見てくれなくなった。
母上の考えで俺たちは一般人に交じって学校に上がることになったのだ。
母上の話だとコミュニケーション能力を育てるためなんだそうだ。
「姉上と同じ学校に行くことになるのか」
学校に入学するのにあたって、俺が一番気にしていることはそれだけだった。別に勉強することは嫌いではない。
というか、俺はこの国の王子なのだ。いずれは父上の跡を継いで王となる。そのためにはある程度の知識が必要だと姉上もおっしゃっていた。
だけど、どうせ行くなら姉上が通っている学校に行きたい。
「殿下、何か期待していらっしゃるようですが。残念ながら、アリス様と同じ学校ではありません」
「えっ、」
俺、今、声を出したっけ。
「言葉にお出しにならなくても大体、判ります。殿下は姉君を一番大事にしていらっしゃいますから」
「そうかな」
俺は父上も母上も尊敬している。妹のアイリアも可愛い妹だと思っている。
だけど、他の三人に比べてアリス姉上が大切に思っていることは誰も見ても判るんだろう。
「僕一人で学校に行くの」
なんだか、不安だ。
「向こうの屋敷についたら、この爺は殿下の祖父となります。殿下は両親を亡くして祖父に引き取られた少年となります」
「えっ、爺と二人っきりなの」
俺の世話は大抵、爺がやってくれる。以前は乳母がいたが、姉との事情で暇を取ってしまったのだ。
といってもそんなに不自由は感じなかった。確かに自分でやれなかった頃は姉が積極的に俺の世話をしてくれた。
自分である程度、できるようになった頃に爺やがきたが、そんなに負担にはなっていないはずだ。
「学校の近くに屋敷を借りますが、ゲートを使うので問題はありません」
つまり、学校が終わればゲートを使って城に帰るから心配するなってことか。
確かにそれならそんなに爺と一緒でも大丈夫だな。
姉上と違う学校だったが、俺は学校生活を楽しむことができた。
商人の孫息子という設定も案外、新鮮だった。それに城と違っていちいち、マナーにこだわることがなくて
それに俺のことを王子とは気づかず、自分たちと同じ子供として見てくれることが嬉しかった。城では貴族たちやその子弟たちにこびた態度を取られていい加減うざかった。
ちなみにゲートを使っているので王都より遠い町だから、よかったんだろう。
王族と平民は滅多に顔をあわせることはない。だけど、王族の顔は写真とかいうもので平民なら知っている。
でも、王都から遠く離れた街で王子そっくりな、俺を見ても他人の空似と思うだろう。
何しろ、ゲートの魔法は王家しか使うことができない。母上が開発した魔法だからだ。
ゲートの魔法の仕組みは母上と母の配下の魔導師しか知らない。
とても、便利な魔法だがあまり周囲に広まると何かと問題があるらしい。
そんな俺ももうすぐ、大学を卒業する。
「アルファード、お前、卒業したらどうするんだ」
と、声をかけてきたのは小学校から一緒のケインズだ。
「別に爺ちゃんの後を継ぐだけだよ」
大学を卒業すれば、俺はこの町を出ていく。
という建前で王都に戻るだけなんだが。
「アンが寂しがるな。いや、俺としてはさ、お前だったら妹を任せてもいいと思っていたんだ」
「あいにくだけど、俺の好みじゃないな」
「そこまで言うか」
自慢じゃないが、どうやら俺はモテるタイプらしい。王子という身分は周囲にはばれていない。それでもモテるのは何故なんだろうか。
そういえば、父上は母上と結婚する前までとてもモテていた。ただし、父上の場合は王子という身分を隠していなかった。
だから、自然と周囲に女の子が集まっていたという話だ。
「それは違うんじゃないの」
家に帰るとアイリアが遊びに来ていた。
どうやら、俺の入れ替わりにここから大学に行くらしい。
なので、ゲートを使ってよく家に来るようになった。一応、何かあった時の場合を考えてゲートは家の地下室にある。
近所に住んでいる人たちに疑いをもたれないようにゲートを使った場合はアイリアは外に出ない。
だけど、大学への手続きは馬車を使ってこの町にまで来ているらしい。
「兄上はアルファード王子とそっくりだからね。王子の彼女は無理でもソックリさんなら彼女になれるとでも思っているんじゃないの」
アイリアはくすくす笑いながら俺に言った。
うーん、そういわれてみればそうかもしれないと納得してしまう俺であった。
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