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カルイセン1
カルイセン1
初めてアンジェラを見かけたのはお茶会だった。
まるで雪の妖精のような見た目に、僕は惚けたようにアンジェラの顔を見ていた。
アンジェラを見ていると、もう一人の存在にすぐに気がついた。
「あの方が、スレード様ね。愛人の子供なのに跡取りになるらしいですよ」
誰かの話し声が聞こえてきた。
愛人の子供に居場所を取られるなんて可哀想だな。
この国では女は爵位を継ぐことができない。そのため遠縁の婿養子をもらい婿が爵位を継ぐ事が多い。
愛人の子供に爵位を継がせるのは、あまり褒められた事でない。
それくらいだった。
その数ヶ月後に、アンジェラとの婚約が決まった。
「初めまして」
アンジェラは、僕のことを覚えていなかった。
まともに挨拶なんてしていなかったから仕方ないのかもしれないが、少しショックだった。
僕は浮かれていた。
綺麗な人と婚約できることが嬉しかったのだ。
でも、その喜びはすぐに消えた。
アンジェラは、いつも無表情で人形のようだった。
僕が何かをしても、感謝の言葉は出ても笑顔は見せない。
怒ることも、泣くことも、笑うこともなかった。
いつも、人形のようにうっすらと微笑みを浮かべているだけだった。
そんな彼女でも唯一表情が柔らかくなる時があった。
それは、スレードがそばにいる時だけだった。
彼女は、婚約者の僕ではなくて穢らわしい愛人の子供のスレードにだけ心を開いていた。
僕にとってとても屈辱的だった。
婚約者なのに、なぜ彼女は僕に笑顔すら見せてくれないのか。不満だけが募っていった。
アリスとの出会いは、王立学園の入園を数ヶ月後に控えていたある日のお茶会でだった。
アリスは、アイネス公爵の令嬢で元平民だ。
正妻と嫡男が馬車の事故で亡くなり。愛人が正妻となった。
彼女が引き取られた時、社交界ではかなりの話題になったので僕も顔を知っていた。
天真爛漫でとても可愛らしい性格をしているらしい。
「貴方が、アンジェラ様の婚約者なんですか?」
初めて声をかけられた時、なんて馴れ馴れしい女なんだと僕は思った。
正直不快ですらあったのだ。
「そうだが」
不愉快さを隠さずに、僕は返事だけはした。
「ねえ、お互いに協力しませんか?」
アリスの提案に、僕は内心でほくそ笑んで頷いた。
僕たちは、アンジェラとスレードを引き離すために手を組んだのだ。
アリスは、どうしようもない女で承認欲求の塊だった。
自分が誰よりも一番に扱われたくて、アンジェラのことを嫌っていた。
自分を持ち上げるためには、誰かを貶める。
それが一番の近道だとアリスは心得ていた。
だから、アリスはいつも被害者の仮面をつけてアンジェラに接していた。
周囲は、最初こそアンジェラがそんなことをするはずがない。と疑っていたが、次第にアリスのことを信じるようになっていった。
アリスは、苦労を経験しても天真爛漫で心美しい「聖女」であると、演技をしていた影響もある。
アンジェラは、いつも無表情で冷たい印象を持たれていたせいもあって、すぐに「悪女」だと言われるようになっていった。
~~
お読みくださりありがとうございます
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初めてアンジェラを見かけたのはお茶会だった。
まるで雪の妖精のような見た目に、僕は惚けたようにアンジェラの顔を見ていた。
アンジェラを見ていると、もう一人の存在にすぐに気がついた。
「あの方が、スレード様ね。愛人の子供なのに跡取りになるらしいですよ」
誰かの話し声が聞こえてきた。
愛人の子供に居場所を取られるなんて可哀想だな。
この国では女は爵位を継ぐことができない。そのため遠縁の婿養子をもらい婿が爵位を継ぐ事が多い。
愛人の子供に爵位を継がせるのは、あまり褒められた事でない。
それくらいだった。
その数ヶ月後に、アンジェラとの婚約が決まった。
「初めまして」
アンジェラは、僕のことを覚えていなかった。
まともに挨拶なんてしていなかったから仕方ないのかもしれないが、少しショックだった。
僕は浮かれていた。
綺麗な人と婚約できることが嬉しかったのだ。
でも、その喜びはすぐに消えた。
アンジェラは、いつも無表情で人形のようだった。
僕が何かをしても、感謝の言葉は出ても笑顔は見せない。
怒ることも、泣くことも、笑うこともなかった。
いつも、人形のようにうっすらと微笑みを浮かべているだけだった。
そんな彼女でも唯一表情が柔らかくなる時があった。
それは、スレードがそばにいる時だけだった。
彼女は、婚約者の僕ではなくて穢らわしい愛人の子供のスレードにだけ心を開いていた。
僕にとってとても屈辱的だった。
婚約者なのに、なぜ彼女は僕に笑顔すら見せてくれないのか。不満だけが募っていった。
アリスとの出会いは、王立学園の入園を数ヶ月後に控えていたある日のお茶会でだった。
アリスは、アイネス公爵の令嬢で元平民だ。
正妻と嫡男が馬車の事故で亡くなり。愛人が正妻となった。
彼女が引き取られた時、社交界ではかなりの話題になったので僕も顔を知っていた。
天真爛漫でとても可愛らしい性格をしているらしい。
「貴方が、アンジェラ様の婚約者なんですか?」
初めて声をかけられた時、なんて馴れ馴れしい女なんだと僕は思った。
正直不快ですらあったのだ。
「そうだが」
不愉快さを隠さずに、僕は返事だけはした。
「ねえ、お互いに協力しませんか?」
アリスの提案に、僕は内心でほくそ笑んで頷いた。
僕たちは、アンジェラとスレードを引き離すために手を組んだのだ。
アリスは、どうしようもない女で承認欲求の塊だった。
自分が誰よりも一番に扱われたくて、アンジェラのことを嫌っていた。
自分を持ち上げるためには、誰かを貶める。
それが一番の近道だとアリスは心得ていた。
だから、アリスはいつも被害者の仮面をつけてアンジェラに接していた。
周囲は、最初こそアンジェラがそんなことをするはずがない。と疑っていたが、次第にアリスのことを信じるようになっていった。
アリスは、苦労を経験しても天真爛漫で心美しい「聖女」であると、演技をしていた影響もある。
アンジェラは、いつも無表情で冷たい印象を持たれていたせいもあって、すぐに「悪女」だと言われるようになっていった。
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