恋の始め方がわからない

毛蟹葵葉

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とまどい

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とまどい


 ぬるりとした熱い軟体生物なような姫川の舌が、私の歯列を撫でるように舐めた。
 くすぐったい。
 
「っん」

 私は息をすることも忘れて、姫川の口付けに夢中になっていた。

「こういう時は、息を止めないで鼻でするんですよ」

「う。うん」

 息を止めていた事を指摘されて、私は恥ずかしくなりながら頷いた。

「可愛いよ」

 経験のない無知さを庇うような取ってつけたような褒め言葉。
 わかっていても嫌な気分にはならない。
 また、唇を塞がれて、今度はちゃんと鼻で呼吸をする。

「んっ」

 姫川の舌が私の舌に絡み。夢中になっていると、いつのまにか身体を覆っていた布団が取り払われていた。
 姫川の目が私を見下ろしていて、押し倒されていることに気がつく。

 あれ?いつのまにか押し倒されてる。
 
 姫川は全裸の驚いたように目を見開くと、すぐに笑みを浮かべた。
 姫川の熱い唇が私の耳朶を甘噛みすると、息を吐くように囁いた。

「服は着なかったの?」

「んっ」

 生暖かい息が耳にかかり、くすぐったさに身を捩る。
 大きな手が頬に触れて、ゆっくりと下へと下がっていく。

「脱がされた服を着て帰るのが気まずくて」

 姫川は、私の話を聞きながらも身体を触れる手は止めない。

「何それ」

 姫川がくすりと面白そうに笑った。
 大きな手だが、男性にしては華奢な指が私の胸の頂に触れる。

「んっ、ぅっ」

 今まで経験したくすぐったさとは、全くべつの物に思わずびくりと身体が震えた。
 姫川は、今度は私の胸を両手で鷲掴みにして、桃色の胸の頂に吸い付いた。
 甘さを伴う痛みに、驚きからか「あぁ」と、私の口から甲高い声が出てしまう。
 姫川は、私の驚いた反応に気を良くしたのか、交互に胸に吸い付き指先で捏ねくり始めた。
 くすぐったいような、痛いような、気持ちいいような、そんな不思議な気分だ。
 姫川は、今度はわざとらしく赤い舌を出して、胸の頂を飴玉を転がすように舐め回し始めた。
 
「ぁっ、あの、なんか変な感じ、へ、変なの」

 ジンジンと胸の先が痺れるような、もどかしさに思わず言葉が出てしまう。
 姫川は、くすりと笑って胸の頂から舌を離した。

「性感帯ですからね」

 それだけ言うと次は、赤子のように胸の頂に歯を立てずにかぶりついた。

 必死なところが可愛い。と、思えたのはその時だけで、濡れた熱い舌が私の乳首に絡み付いた時声が出てしまった。
 
「んっ」

 気持ちがいいのにもどかしい。熱はどんどん籠っていくのに発散できない辛さ。それなのに、もっと触ってほしい。
 頭がどうにかなりそうだ。

「気持ちいい?乳首どんどん硬くなってきたよ」

 姫川がわざわざ私の胸から唇を離して、濡れて赤く立ち上がった胸の頂を見せてくれた。

「やぁっ」

 初めてなのに、こんなにも感じてしまっている姿をまざまざと見せつけられて、恥ずかしくて目を閉じる。

「気持ち良くて恥ずかしいの?」

 姫川は、私の考えていることなどお見通しのようにそれを口にした。

「可愛い……」

 頬に口付けを落とされ、うっすらと目を開けると、姫川がうっとりと私を見ていた。
 まるで、恋人を見るような甘く熱っぽい視線に勘違いしそうだ。
 また、顔が近付いてきて唇を塞がれる。私は彼に教えられた通りに目を閉じた。

 さっきと同じように、濡れた軟体生物のような舌が私の口の中に入り込み舌に絡みつく。

「っ……ん」

 私も真似して姫川の舌に自分の舌を絡めると、口付けが次第に激しいものへと変わっていく。
 唇の端から溢れ出る唾液。
 酸欠気味の頭では何をされているのか全く理解できない。
 姫川の指が息つく場所に触れた時、私は身体を強張らせた。
 
「んっ」
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