9 / 15
9
しおりを挟む
席に着くと、一番最初に聞かれるであろう言葉を高梨は言った。協力するにしても理由くらい誰でも知りたいだろう。
私もそうだ。
「付き合いは長いんだけど、幼なじみなんだ。ズルズルと付き合いがあって……」
言いたくない事を口にしないと、それ以上の事が言えない。
あとは、なんと言えばいいだろうか。言葉を紡ごうにも、正己との関係が歪な物だと改めて気付かされてしまう。
「ふーん。言ったらあれだけど、由寿さんが長く付き合うタイプの人には見えないんだよね」
今回の件で何かを察した高梨は、困ったように今まで思いつきもしなかった事を言い出す。
「どういう事?」
「いや、だって自分の事しか考えてないでしょ?」
「それは、私も同じ」
「そう?相手の都合や気持ち無視して、誰か紹介してやるとか、この日に会おう。とか、社会人としてありえないよ。友達として甘えていい領域は越えてる」
言われてみればその通りだ。もしも、友達が私と同じような相談をしてきたら『別れろ』と間違いなく言うだろう。
それくらいの事を彼は私にしているんだ。
考えもしなかった。
けれど、私は正己に確かに助けられたんだ。
「いいところもあるんだけど」
「いつから好きなの?」
グサリと高梨は痛いところを突いてくる。
「そ、そんなんじゃない」
「教えてくれないと、助けてあげない」
そう言って、子供っぽくそっぽを向く。言わない事には、協力してくれない気がした。
けれど、その為には、自分のコンプレックスを彼に言わないといかない。
傷ついた記憶を、未だに解決しない事を誰かに言わないといけないのは辛い。
だけど、高梨ならそれを馬鹿にしたりはしないだろう。
「中学の時、私、ほら太ってるでしょ?だから虐められて庇ってもらったから」
「……」
しばらくの沈黙。それがとても痛い。馬鹿にされても仕方ないと思われているんじゃないだろうか。
高梨はなぜか、目を見開いて硬直している。
「太ってる?由寿さんが?」
暫しの間の後、高梨はようやく自分を取り戻したように呟いた。
「いや、だってシャツがジャストサイズを着ようとするとパツパツだし」
胸の辺りがとてもきついのだ、中学で馬鹿にされた時も、シャツのボタンが弾けてしまったせいだ。
「……体型の事を、あまり言いたくないんだけど、太っているなんて事はないよ。そもそも、その通りだったとしてそれを馬鹿にするのはおかしい」
「ありがとう」
高梨なりのフォローのつもりだろうか、私は嬉しくなっていた。
「由寿さんの場合は、なんていうか、出ている所がちゃんと出ているだけで、ウエストはすごく細い……。これ以上言ったらセクハラになるな」
私もそうだ。
「付き合いは長いんだけど、幼なじみなんだ。ズルズルと付き合いがあって……」
言いたくない事を口にしないと、それ以上の事が言えない。
あとは、なんと言えばいいだろうか。言葉を紡ごうにも、正己との関係が歪な物だと改めて気付かされてしまう。
「ふーん。言ったらあれだけど、由寿さんが長く付き合うタイプの人には見えないんだよね」
今回の件で何かを察した高梨は、困ったように今まで思いつきもしなかった事を言い出す。
「どういう事?」
「いや、だって自分の事しか考えてないでしょ?」
「それは、私も同じ」
「そう?相手の都合や気持ち無視して、誰か紹介してやるとか、この日に会おう。とか、社会人としてありえないよ。友達として甘えていい領域は越えてる」
言われてみればその通りだ。もしも、友達が私と同じような相談をしてきたら『別れろ』と間違いなく言うだろう。
それくらいの事を彼は私にしているんだ。
考えもしなかった。
けれど、私は正己に確かに助けられたんだ。
「いいところもあるんだけど」
「いつから好きなの?」
グサリと高梨は痛いところを突いてくる。
「そ、そんなんじゃない」
「教えてくれないと、助けてあげない」
そう言って、子供っぽくそっぽを向く。言わない事には、協力してくれない気がした。
けれど、その為には、自分のコンプレックスを彼に言わないといかない。
傷ついた記憶を、未だに解決しない事を誰かに言わないといけないのは辛い。
だけど、高梨ならそれを馬鹿にしたりはしないだろう。
「中学の時、私、ほら太ってるでしょ?だから虐められて庇ってもらったから」
「……」
しばらくの沈黙。それがとても痛い。馬鹿にされても仕方ないと思われているんじゃないだろうか。
高梨はなぜか、目を見開いて硬直している。
「太ってる?由寿さんが?」
暫しの間の後、高梨はようやく自分を取り戻したように呟いた。
「いや、だってシャツがジャストサイズを着ようとするとパツパツだし」
胸の辺りがとてもきついのだ、中学で馬鹿にされた時も、シャツのボタンが弾けてしまったせいだ。
「……体型の事を、あまり言いたくないんだけど、太っているなんて事はないよ。そもそも、その通りだったとしてそれを馬鹿にするのはおかしい」
「ありがとう」
高梨なりのフォローのつもりだろうか、私は嬉しくなっていた。
「由寿さんの場合は、なんていうか、出ている所がちゃんと出ているだけで、ウエストはすごく細い……。これ以上言ったらセクハラになるな」
45
あなたにおすすめの小説
あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~【after story】
けいこ
恋愛
あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
のafter storyです。
よろしくお願い致しますm(_ _)m
上手に騙してくださらなかった伯爵様へ
しきど
恋愛
アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。
文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。
彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。
貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。
メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。
満月の秘め事
富樫 聖夜
恋愛
子爵家令嬢エリアーナは半年前から満月の夜になると身体が熱くなるという謎の症状に悩まされていた。
そんな折、従兄弟のジオルドと満月の夜に舞踏会に出かけなければならないことになってしまい――?
アンソロジー本「秘密1」の別冊用に書いた短編です。BOOTH内でも同内容のものを置いております。
これは王命です〜最期の願いなのです……抱いてください〜
涙乃(るの)
恋愛
これは王命です……抱いてください
「アベル様……これは王命です。触れるのも嫌かもしれませんが、最後の願いなのです……私を、抱いてください」
呪いの力を宿した瞳を持って生まれたサラは、王家管轄の施設で閉じ込められるように暮らしていた。
その瞳を見たものは、命を落とす。サラの乳母も母も、命を落としていた。
希望のもてない人生を送っていたサラに、唯一普通に接してくれる騎士アベル。
アベルに恋したサラは、死ぬ前の最期の願いとして、アベルと一夜を共にしたいと陛下に願いでる。
自分勝手な願いに罪悪感を抱くサラ。
そんなサラのことを複雑な心境で見つめるアベル。
アベルはサラの願いを聞き届けるが、サラには死刑宣告が……
切ない→ハッピーエンドです
※大人版はムーンライトノベルズ様にも投稿しています
後日談追加しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる