拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟

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他人のことを考えて眠れなくなることは、今までなかった。よくよく考えると、私は今まで多くの人々を殺してきたのだ。もう少し慎重に判断しないといけない……裁く者もまた神に裁かれる運命を背負うのだ。

「明日はいよいよ閣下の命日になるわけだな……」

「閣下を葬ってしまえば……心配はいりませんな……」

「ああ、そうだな」

閣下の命日……恐らく、私が明日サインすることになる囚人のことだった。閣下とは一体誰のことだろうか???

「それにしても、あのお嬢さんはなかなかの変わり者だな。囚人の話を聞いた方がいいだなんて……全く、中央の貴族様は呑気なものだな……」

「そうなんですか???それはまた、随分と大胆ですな……」

「ロンメル様から聞いてはいたが……あれではとても男に愛されまい」

「なるほど、随分と偏屈な御令嬢なのですね……」

「まあ、そう言うことになるんだろうな……」

閣下……気になって仕方がなかった。私が明日その命を奪うことになる人……本当に囚人なのか???そんな疑問がグリニッジ男爵たちの話を聞いていて、大きくなった。

「明日……カレン様はサインして下さるでしょうか???」

「おいおい、何をそんなに心配しているんだ???囚人の死刑執行書にサインをするのは、あの方に与えられた唯一の仕事なのだぞ……」

「ですが……まさか、私どもの計画がカレン様にばれてるだなんてことは……ないですよね???」

「バカなことを言うな。そんなこと……ないと思うが???」

私どもの計画……益々疑問が膨らむ一方だった。ひょっとして……グリニッジ男爵はよからぬことを企んでいるのか……そんなことを考えながら、彼らの様子をもう少しこっそりと伺うことにした。
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