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「どうしてあの時、姿を消したのか……それが知りたいんだね???」
ミクリッツ様はこう言った。私はこくりと頷いた。
「そうだな……。なあ、ルミナ。どこから話せばわかりやすいかな???」
「この際ですから、全てお話になった方がいいんじゃないですか???途中から話しても、かえって意味が分からなくなるでしょう」
「そうかそうか。まあ、そうだな。それじゃ……あの頃から話を戻そうか……」
あの頃……二人が互いに恋を抱いた日……その直後の話だった。
「私の叔父様に当たる人……とでも言えば、これ以上説明する必要は無いだろう。カレン、私が誰のことを言っているのかわかるよね???」
もちろんわかった。ミクリッツ様にとっての叔父……それはつまり、皇帝陛下のことを表していた。
「私の父は皇帝陛下の弟であり、そして非常に仲が良い兄弟だった。だがしかし、運命と言うものは非常に残酷なものだ。父と現皇帝陛下のどちらが次の皇帝になるのか、彼らが望んだわけではなかったが、当然争いが生じることとなった……」
普通ならば、兄の方がそのまま皇帝になるものだ。だから、本来ならばそこに争いなんて生じるはずがなかったのだ。
「ところが、これは私の口から申し上げるのは非常に辛いことではあるのだが、皇帝陛下は人が良すぎて頭が悪かった。それに対して、私の父はなかなかずるがしこいと評判ではあったが、それでも頭の切れる人だった」
確かにそんな噂を聞いたことがあった。でも確か、ミクリッツ様のお父様は校庭に選ばれる事はなくて、謀反の疑いをかけられてしまったのではなかっただろうか。
「争いと言うものは、当事者にはわからない。どこか別の世界で、誰かがと言うよりかは、それが世界の流れなのかもしれない。少なくとも、私たちが操作することができなかったわけだ」
「それで、お父様は……」
「君が想像している通り、謀反の疑いをかけられて自殺してしまった……」
確かに、ずるがしこいと言われたことはあったかもしれない。でも、兄弟同士の争いに発展するほどのことではなかったはずだ。
「皇帝陛下も私の父が自殺したことを知って、とても悲しくなったそうだ……」
「もしかして、ミクリッツ様が私から別れた理由って……」
「これ以上説明する必要はないだろう。そのとおり、すべて君が想像した通りのことが起きたわけだ。そして、どういうわけだか、私は明日死ぬことになりそうだ……」
「どうして、どうしてこんなことになってしまうのでしょうか???」
「そんな事は、結局誰もわからないのさ。わからないまま、物事が進んでしまうんだ……」
グリニッジ男爵が何を考えているのか……ミクリッツ様とどのように関わっているのか、私はそのことについてもっと知りたくなった。それと同時に、あの時の気持ちがかすかによみがえってきたのだ。今ここで、私がミクリッツ様を助けることに成功すれば、あの時みたいにミクリッツ様はもう一度私のことを抱きしめてくれるのだろうか。そして、私の耳元であの時と同じセリフを囁いてくれるのだろうか???そんなことをかすかに考えていた。
ミクリッツ様はこう言った。私はこくりと頷いた。
「そうだな……。なあ、ルミナ。どこから話せばわかりやすいかな???」
「この際ですから、全てお話になった方がいいんじゃないですか???途中から話しても、かえって意味が分からなくなるでしょう」
「そうかそうか。まあ、そうだな。それじゃ……あの頃から話を戻そうか……」
あの頃……二人が互いに恋を抱いた日……その直後の話だった。
「私の叔父様に当たる人……とでも言えば、これ以上説明する必要は無いだろう。カレン、私が誰のことを言っているのかわかるよね???」
もちろんわかった。ミクリッツ様にとっての叔父……それはつまり、皇帝陛下のことを表していた。
「私の父は皇帝陛下の弟であり、そして非常に仲が良い兄弟だった。だがしかし、運命と言うものは非常に残酷なものだ。父と現皇帝陛下のどちらが次の皇帝になるのか、彼らが望んだわけではなかったが、当然争いが生じることとなった……」
普通ならば、兄の方がそのまま皇帝になるものだ。だから、本来ならばそこに争いなんて生じるはずがなかったのだ。
「ところが、これは私の口から申し上げるのは非常に辛いことではあるのだが、皇帝陛下は人が良すぎて頭が悪かった。それに対して、私の父はなかなかずるがしこいと評判ではあったが、それでも頭の切れる人だった」
確かにそんな噂を聞いたことがあった。でも確か、ミクリッツ様のお父様は校庭に選ばれる事はなくて、謀反の疑いをかけられてしまったのではなかっただろうか。
「争いと言うものは、当事者にはわからない。どこか別の世界で、誰かがと言うよりかは、それが世界の流れなのかもしれない。少なくとも、私たちが操作することができなかったわけだ」
「それで、お父様は……」
「君が想像している通り、謀反の疑いをかけられて自殺してしまった……」
確かに、ずるがしこいと言われたことはあったかもしれない。でも、兄弟同士の争いに発展するほどのことではなかったはずだ。
「皇帝陛下も私の父が自殺したことを知って、とても悲しくなったそうだ……」
「もしかして、ミクリッツ様が私から別れた理由って……」
「これ以上説明する必要はないだろう。そのとおり、すべて君が想像した通りのことが起きたわけだ。そして、どういうわけだか、私は明日死ぬことになりそうだ……」
「どうして、どうしてこんなことになってしまうのでしょうか???」
「そんな事は、結局誰もわからないのさ。わからないまま、物事が進んでしまうんだ……」
グリニッジ男爵が何を考えているのか……ミクリッツ様とどのように関わっているのか、私はそのことについてもっと知りたくなった。それと同時に、あの時の気持ちがかすかによみがえってきたのだ。今ここで、私がミクリッツ様を助けることに成功すれば、あの時みたいにミクリッツ様はもう一度私のことを抱きしめてくれるのだろうか。そして、私の耳元であの時と同じセリフを囁いてくれるのだろうか???そんなことをかすかに考えていた。
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