拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟

文字の大きさ
13 / 27

13

しおりを挟む
「どうしてあの時、姿を消したのか……それが知りたいんだね???」

ミクリッツ様はこう言った。私はこくりと頷いた。

「そうだな……。なあ、ルミナ。どこから話せばわかりやすいかな???」

「この際ですから、全てお話になった方がいいんじゃないですか???途中から話しても、かえって意味が分からなくなるでしょう」

「そうかそうか。まあ、そうだな。それじゃ……あの頃から話を戻そうか……」

あの頃……二人が互いに恋を抱いた日……その直後の話だった。

「私の叔父様に当たる人……とでも言えば、これ以上説明する必要は無いだろう。カレン、私が誰のことを言っているのかわかるよね???」

もちろんわかった。ミクリッツ様にとっての叔父……それはつまり、皇帝陛下のことを表していた。

「私の父は皇帝陛下の弟であり、そして非常に仲が良い兄弟だった。だがしかし、運命と言うものは非常に残酷なものだ。父と現皇帝陛下のどちらが次の皇帝になるのか、彼らが望んだわけではなかったが、当然争いが生じることとなった……」

普通ならば、兄の方がそのまま皇帝になるものだ。だから、本来ならばそこに争いなんて生じるはずがなかったのだ。

「ところが、これは私の口から申し上げるのは非常に辛いことではあるのだが、皇帝陛下は人が良すぎて頭が悪かった。それに対して、私の父はなかなかずるがしこいと評判ではあったが、それでも頭の切れる人だった」

確かにそんな噂を聞いたことがあった。でも確か、ミクリッツ様のお父様は校庭に選ばれる事はなくて、謀反の疑いをかけられてしまったのではなかっただろうか。

「争いと言うものは、当事者にはわからない。どこか別の世界で、誰かがと言うよりかは、それが世界の流れなのかもしれない。少なくとも、私たちが操作することができなかったわけだ」

「それで、お父様は……」

「君が想像している通り、謀反の疑いをかけられて自殺してしまった……」

確かに、ずるがしこいと言われたことはあったかもしれない。でも、兄弟同士の争いに発展するほどのことではなかったはずだ。

「皇帝陛下も私の父が自殺したことを知って、とても悲しくなったそうだ……」

「もしかして、ミクリッツ様が私から別れた理由って……」

「これ以上説明する必要はないだろう。そのとおり、すべて君が想像した通りのことが起きたわけだ。そして、どういうわけだか、私は明日死ぬことになりそうだ……」

「どうして、どうしてこんなことになってしまうのでしょうか???」

「そんな事は、結局誰もわからないのさ。わからないまま、物事が進んでしまうんだ……」

グリニッジ男爵が何を考えているのか……ミクリッツ様とどのように関わっているのか、私はそのことについてもっと知りたくなった。それと同時に、あの時の気持ちがかすかによみがえってきたのだ。今ここで、私がミクリッツ様を助けることに成功すれば、あの時みたいにミクリッツ様はもう一度私のことを抱きしめてくれるのだろうか。そして、私の耳元であの時と同じセリフを囁いてくれるのだろうか???そんなことをかすかに考えていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

婚約破棄を言い渡された側なのに、俺たち...やり直せないか...だと?やり直せません。残念でした〜

神々廻
恋愛
私は才色兼備と謳われ、完璧な令嬢....そう言われていた。 しかし、初恋の婚約者からは婚約破棄を言い渡される そして、数年後に貴族の通う学園で"元"婚約者と再会したら..... 「俺たち....やり直せないか?」 お前から振った癖になに言ってんの?やり直せる訳無いだろ お気に入り、感想お願いします!

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

知らない男に婚約破棄を言い渡された私~マジで誰だよ!?~

京月
恋愛
 それは突然だった。ルーゼス学園の卒業式でいきなり目の前に現れた一人の学生。隣には派手な格好をした女性を侍らしている。「マリー・アーカルテ、君とは婚約破棄だ」→「マジで誰!?」

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

かわりに王妃になってくれる優しい妹を育てた戦略家の姉

菜っぱ
恋愛
貴族学校卒業の日に第一王子から婚約破棄を言い渡されたエンブレンは、何も言わずに会場を去った。 気品高い貴族の娘であるエンブレンが、なんの文句も言わずに去っていく姿はあまりにも清々しく、その姿に違和感を覚える第一王子だが、早く愛する人と婚姻を結ぼうと急いで王が婚姻時に使う契約の間へ向かう。 姉から婚約者の座を奪った妹のアンジュッテは、嫌な予感を覚えるが……。 全てが計画通り。賢い姉による、生贄仕立て上げ逃亡劇。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

処理中です...