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その1
「あ~~~~~~んんんっ……ヘンデル様!!!!!!!!」
妻の喘ぎ声がこだます。そういう私も妻の一人……かつては侯爵令嬢、そして今は第一王子ヘンデル様の妻となったマリア……。私はマリア。
この声は……昨日新たにやって来たケリーとかいう娘だったかしら???私よりも身分が低いくせに……どうして、私よりも寵愛されるのかしら……??????
彼女がちょうど100番目だ。この時代は一夫多妻は当たり前だ。だから、私が取り立てて文句を言うことなんかできないのだ。ちなみに、私は5番目。まあ、最初のころは、おおよそ序列で決まるのだ。私よりも前の妻というのは、親が私の親よりも高位であるということ。そう言われてみると、その4人の姿を、最近見たことがない。
きっと、顔を合わせても、声をかけてくれなくなったのかもしれない。まあ、古女房に愛想が尽きるっていうのは有名な話だ。そうなると、私もすっかり、古女房の域に入っている。たった1年前に婚約したっていうのに。
それにしても……私の耳の届く範囲でしなくてもいいと思うのに……ヘンデル様は昔からこんな性格だった。
他人を気遣う心を持っていない。だから、色々と厄介ごとに巻き込まれたこともある。子供ながらにわかっていた。別に幼馴染ってほど付き合いが深いわけではないが、5,6歳から学校を共にし、授業が終わった後は、近くの草むらで一緒に遊ぶってことはよくあった。その時も、私がよく、ヘンデル様の世話係みたいのを買って出て……別に頼まれたわけではないんだけど……。
「ありがとう。マリア!!!!!!」
そうそう、ヘンデル様が私にお礼をするとき……あの時よく笑っていたんだ。その笑顔を知っているのは、たぶん私だけだと思うんだ。そう、あれは全部私たちだけの秘密。
「あああ~~~~~~~ケリー!!!!!だめだ!!!!!!」
あの時のヘンデル様は一体どこに行ってしまったのかしら??????
そんなことをずっと考えている。もう、彼の頭の中から、私という存在は消えてしまったのかしら……そんなことをずっと考えている。いや、考えるほどむなしくなるのは事実だ。でもね、悲しむ必要なんてないのかもしれないけど……やっぱり悲しくなっちゃうんだ。どうしようもないね……本当に。
別に、新しい妻を恨んでいるんじゃないんだ。彼女だって……あと数日もすれば……101人目の妻がやってきたら、だんだんと存在が薄まってしまって……その挙句は存在すら忘れ去られてしまう……。
私と同じ運命……あるいは、それ以上に過酷な運命がどうせ待っているのだから。かえって同情するくらいに。
妻の喘ぎ声がこだます。そういう私も妻の一人……かつては侯爵令嬢、そして今は第一王子ヘンデル様の妻となったマリア……。私はマリア。
この声は……昨日新たにやって来たケリーとかいう娘だったかしら???私よりも身分が低いくせに……どうして、私よりも寵愛されるのかしら……??????
彼女がちょうど100番目だ。この時代は一夫多妻は当たり前だ。だから、私が取り立てて文句を言うことなんかできないのだ。ちなみに、私は5番目。まあ、最初のころは、おおよそ序列で決まるのだ。私よりも前の妻というのは、親が私の親よりも高位であるということ。そう言われてみると、その4人の姿を、最近見たことがない。
きっと、顔を合わせても、声をかけてくれなくなったのかもしれない。まあ、古女房に愛想が尽きるっていうのは有名な話だ。そうなると、私もすっかり、古女房の域に入っている。たった1年前に婚約したっていうのに。
それにしても……私の耳の届く範囲でしなくてもいいと思うのに……ヘンデル様は昔からこんな性格だった。
他人を気遣う心を持っていない。だから、色々と厄介ごとに巻き込まれたこともある。子供ながらにわかっていた。別に幼馴染ってほど付き合いが深いわけではないが、5,6歳から学校を共にし、授業が終わった後は、近くの草むらで一緒に遊ぶってことはよくあった。その時も、私がよく、ヘンデル様の世話係みたいのを買って出て……別に頼まれたわけではないんだけど……。
「ありがとう。マリア!!!!!!」
そうそう、ヘンデル様が私にお礼をするとき……あの時よく笑っていたんだ。その笑顔を知っているのは、たぶん私だけだと思うんだ。そう、あれは全部私たちだけの秘密。
「あああ~~~~~~~ケリー!!!!!だめだ!!!!!!」
あの時のヘンデル様は一体どこに行ってしまったのかしら??????
そんなことをずっと考えている。もう、彼の頭の中から、私という存在は消えてしまったのかしら……そんなことをずっと考えている。いや、考えるほどむなしくなるのは事実だ。でもね、悲しむ必要なんてないのかもしれないけど……やっぱり悲しくなっちゃうんだ。どうしようもないね……本当に。
別に、新しい妻を恨んでいるんじゃないんだ。彼女だって……あと数日もすれば……101人目の妻がやってきたら、だんだんと存在が薄まってしまって……その挙句は存在すら忘れ去られてしまう……。
私と同じ運命……あるいは、それ以上に過酷な運命がどうせ待っているのだから。かえって同情するくらいに。
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