もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟

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その2

私はある意味ナルシストだ。人間をやっている以上、必ずどこかで傷つくことがある。当たり前の話なんだ。

私は学院でよくいじめられた。確かに地位はそこそこ高いのだが、女ってのは、そんなの関係ない。証拠さえなければ、糾弾することなんてできない。それをいいことに……みんな、いい子ぶってはいるけれど、意地汚い連中ばかりなんだ。貴族世界っていうのは。

まあ、私がヘンデル様の正式な婚約者だとみんな知っていたから。それが妬みだったのでしょう。

だから、昼休みとか、放課後はよくいじめられた。例えば、10人くらいの同級生にいきなり担がれて、裏庭の噴水に投げ込まれて、全身水浴び……なんてことはよくあった。

「あんたはブスなくせして、生まれながらにヘンデル様の婚約者ってのがむかつくのよ!!!!!」

こんな感じで罵声を浴びせられる。

「ブスだよ、ブス!!!!!!イモムシみたいな顔しやがって!!!!!」

「キモイんだよ!!!!!!いっそのこと、死んじまえばいいさ!!!!!」

とまあ、こんな感じで毎日毎日いじめられていた。女たちの姿が見えなくなって、私は静かに泣いていた。その涙も次第に枯れはてた。私はもう抵抗する気力もなかった。殴り返す元気は残っていたが、ここで反撃してしまったら、それをネタに、新たにゆすられることになってしまうと思ったから……私はもう、何もしない人間こそが一番賢いんだと考えるようになった。

そんな私の姿を見ていたのか……それは分からない。でも、私が衣服を整えて、帰宅しようとすると、そこには必ずヘンデル様の姿があったのだ。

学院の中では一番の仲良し……彼はそれを演じていただけなのかもしれない。でも、私にとっては大きな支えだった。

「水浴びは楽しかったかい??????」

ヘンデル様は、私がいつも一人で水浴びしているものだと思っていたようだ。まあ、完全には拭き取れないから、跡はどうしても残ってしまうから。

「ええ、大丈夫です……」

私は真相を隠した。これでいいのだ。真実を……彼に伝える必要はないんだ。

「気持ちよかった????ああ、もう夏だからな」

「ええ、そうですね……」

「ほら、貸してやるよ……」

その残った滴をぬぐうために、ヘンデル様はいつもハンカチを貸してくれた。

そのハンカチを貸してくれる時のぬくもり……直接触れることはないのだが、それでも、手のひら越しに伝わってくる彼の温かさが、私にとってはありがたかったのだ……。

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