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「……さまっ……キャロル様っ!!!」
キャロルはメイドの一声で目を覚ました。
「いやだ、寝ちゃったかしら……」
「もう、どうしちゃったんですか???王子様の婚約者に決まってから、随分と変わってしまったよう……」
「ああ、そうかもね。だって、今でも不思議でしょう???どう考えてもマリンの方がお似合いだし、お父様もローレンス様の婚約者にマリンをお選びになると思っていたから……」
「それは……どうしてですか???」
「だって……どう考えてもマリンの方がお似合いでしょう???あれだけ美しい女の子は、きっとこの世界にはいないわよ」
「ああ、そう言うことですか。それはね、実を言うと皇帝陛下の狙いみたいですよ???」
「皇帝陛下の狙い???」
「ええ、そうみたいです。いやね、最近の殿方はみな、美しい女に現を抜かして、普段の仕事が疎かになってしまう、ということがよくあるでしょう。万が一、マリン様とローレンス様が婚約することになったら……」
「なるほど、そう言うことか……。私ならば、現を抜かすことはないと……」
「ええ、つまりはそう言うことみたいですよ」
「あなた、よく知っているわね」
「いいえ、これは有名なことですよ。みんな知っていること……」
「へえ、そうなんだ……」
名誉なんだか不名誉なんだか分からない……いずれにしても、次期皇帝の婚約者になると言うのは重責であり、決まった日から気が気でなかったということ。
「というわけで、これから気を引き締めないといけませんね!!!」
キャロルに仕えるメイドは複数いるが、世間話をするほど親しいのは、このエミリーくらいだった。
「というわけで……これで失礼致しますわ!!!」
「ちょっと……もう帰ってしまうの???」
「ええ、野暮用がございますので……これで失礼致しますわ!!!」
そう言って、エミリーは屋敷を後にした。彼女の行く先は決まっていた。
***********************
「ああああんッ……おきゃくさまあっ!!!こわれちゃいますうううっ!!!」
「もっともっと壊れなさい!!!」
「おきゃくさまっのがあっ……せかいでいちばんですううっ!!!」
「そうかそうか……お前は本当にイイ女だなっ……私の専属メイドにならないか???給料も弾むぞ???」
「えええっ……でも、そんなことしたら、奥方様に殺されてしまいますわあっ。恐妻家として有名じゃないですかあっ……」
「お前……そんなことも知っているのか???ああ、面白い女だなああっ!!!」
「これが殿方の小賢しい世間を歩む方法ですからね……」
***********************
「マリン様……ご機嫌いかがですか???」
「あなた……こんなところにも顔を出しているのね???」
「これがメイドの処世術ってやつですよ…………」
「あなた、怖いわね……」
「ええ、それほどでも……」
マリンとエミリーの対峙……思わぬ顔合わせとなったのだ。
キャロルはメイドの一声で目を覚ました。
「いやだ、寝ちゃったかしら……」
「もう、どうしちゃったんですか???王子様の婚約者に決まってから、随分と変わってしまったよう……」
「ああ、そうかもね。だって、今でも不思議でしょう???どう考えてもマリンの方がお似合いだし、お父様もローレンス様の婚約者にマリンをお選びになると思っていたから……」
「それは……どうしてですか???」
「だって……どう考えてもマリンの方がお似合いでしょう???あれだけ美しい女の子は、きっとこの世界にはいないわよ」
「ああ、そう言うことですか。それはね、実を言うと皇帝陛下の狙いみたいですよ???」
「皇帝陛下の狙い???」
「ええ、そうみたいです。いやね、最近の殿方はみな、美しい女に現を抜かして、普段の仕事が疎かになってしまう、ということがよくあるでしょう。万が一、マリン様とローレンス様が婚約することになったら……」
「なるほど、そう言うことか……。私ならば、現を抜かすことはないと……」
「ええ、つまりはそう言うことみたいですよ」
「あなた、よく知っているわね」
「いいえ、これは有名なことですよ。みんな知っていること……」
「へえ、そうなんだ……」
名誉なんだか不名誉なんだか分からない……いずれにしても、次期皇帝の婚約者になると言うのは重責であり、決まった日から気が気でなかったということ。
「というわけで、これから気を引き締めないといけませんね!!!」
キャロルに仕えるメイドは複数いるが、世間話をするほど親しいのは、このエミリーくらいだった。
「というわけで……これで失礼致しますわ!!!」
「ちょっと……もう帰ってしまうの???」
「ええ、野暮用がございますので……これで失礼致しますわ!!!」
そう言って、エミリーは屋敷を後にした。彼女の行く先は決まっていた。
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「ああああんッ……おきゃくさまあっ!!!こわれちゃいますうううっ!!!」
「もっともっと壊れなさい!!!」
「おきゃくさまっのがあっ……せかいでいちばんですううっ!!!」
「そうかそうか……お前は本当にイイ女だなっ……私の専属メイドにならないか???給料も弾むぞ???」
「えええっ……でも、そんなことしたら、奥方様に殺されてしまいますわあっ。恐妻家として有名じゃないですかあっ……」
「お前……そんなことも知っているのか???ああ、面白い女だなああっ!!!」
「これが殿方の小賢しい世間を歩む方法ですからね……」
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「マリン様……ご機嫌いかがですか???」
「あなた……こんなところにも顔を出しているのね???」
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「あなた、怖いわね……」
「ええ、それほどでも……」
マリンとエミリーの対峙……思わぬ顔合わせとなったのだ。
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