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その3
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「私にはこの世界を修正できる能力があるのです……」
こんなことを真面目に主張するのは、いささかバカらしい……だがしかし、それが現実に起こってしまったら?
「私がこれほどまでに不遇な人生を過ごしてきたことを考えれば……お姉様に何をしたって許されるのでしょう???私は強いのです。そして、愚かな人間どもを味方につける能力を持っているのですから……」
「恐怖による支配ですか???まあ、試しにやってみましょうか????」
「ねえ、誰か私を助けてくれませんか????」
そう言って、マルクは試しに道のど真ん中に横たわってみる。
しばらくすると、旅人が足を止める。
「何かお困りですか???お嬢さん???」
そう言って、マルクに声をかける。
「ええ、私を助けてくださいませんか???お礼は致しますから……」
そう言って、マルクは旅人に願い事を伝える。旅人は一瞬目を丸くする。
「それは……そもそも私は旅人でして、この地には疎いものですから……」
「あら、そうはおっしゃっても……恐らくは隣国の貴族様なのではありませんか???」
マルクには感覚でわかる。この旅人がそれなりの地位にある人物なのだと。
「なるほど……見破られておるのですか……ですが、本当にお力になれるかは……」
「でも、あなたの背後を護衛されている方々は様々な情報をお持ちのようですわね???まさか……当国を秘密裏に内偵されていたりとか????」
マルクの嗅覚は人一倍鋭いともいえる。外見だけで、その人となりをおおよそ判断することができるのだ。
「まさか……そんなことは……」
「あら、怪しいですわね???」
「いいえ、決してそんなことは……」
「本当ですか????それでは、私がこれからあなたを然るべき場所にお連れしても宜しいのですか????」
そんなことを言われてしまったら、旅人はもうすっかり困惑してしまったのだった。
「それで……私にどうしろと???」
「ええ、すぐさま調査を済ませて頂いて……ちょっとした内乱を起こして下さればいいのですよ。ああ、私を裏切ると、後であなたの命が飛ぶことになりかねませんよ???それに引き換え……私の提案を受け入れてくださったら……そうですわね、甘いひと時が待っておりますわよ???」
そう言って、マルクは白いワンピースを少しばかり開けて見せた。
「なるほど……そうですか、そうですか。分かりましたよ……」
旅人はすぐさま、馬車に乗り込み、その背後に控える人々を引き連れて、スーザン達のいる城に向かったのだった。
「これで、私の計画は全て上手くいくのです……。お姉様たちがどんな顔をするのか……私には楽しみですわ……」
「親愛なるお姉様が私に裏切られた時……お姉様は一体、どんな顔をなさるのでしょうか???」
「どうして???こんなことに???そんな疑問を抱くのでしょうか???ああ、どうだってかまいませんわ!!!これで……私の人生が新しく動き出すのですから!!!!!」
マルクはそう言って、新しい空の行方を薄っすらと眺めていたのだった……。
こんなことを真面目に主張するのは、いささかバカらしい……だがしかし、それが現実に起こってしまったら?
「私がこれほどまでに不遇な人生を過ごしてきたことを考えれば……お姉様に何をしたって許されるのでしょう???私は強いのです。そして、愚かな人間どもを味方につける能力を持っているのですから……」
「恐怖による支配ですか???まあ、試しにやってみましょうか????」
「ねえ、誰か私を助けてくれませんか????」
そう言って、マルクは試しに道のど真ん中に横たわってみる。
しばらくすると、旅人が足を止める。
「何かお困りですか???お嬢さん???」
そう言って、マルクに声をかける。
「ええ、私を助けてくださいませんか???お礼は致しますから……」
そう言って、マルクは旅人に願い事を伝える。旅人は一瞬目を丸くする。
「それは……そもそも私は旅人でして、この地には疎いものですから……」
「あら、そうはおっしゃっても……恐らくは隣国の貴族様なのではありませんか???」
マルクには感覚でわかる。この旅人がそれなりの地位にある人物なのだと。
「なるほど……見破られておるのですか……ですが、本当にお力になれるかは……」
「でも、あなたの背後を護衛されている方々は様々な情報をお持ちのようですわね???まさか……当国を秘密裏に内偵されていたりとか????」
マルクの嗅覚は人一倍鋭いともいえる。外見だけで、その人となりをおおよそ判断することができるのだ。
「まさか……そんなことは……」
「あら、怪しいですわね???」
「いいえ、決してそんなことは……」
「本当ですか????それでは、私がこれからあなたを然るべき場所にお連れしても宜しいのですか????」
そんなことを言われてしまったら、旅人はもうすっかり困惑してしまったのだった。
「それで……私にどうしろと???」
「ええ、すぐさま調査を済ませて頂いて……ちょっとした内乱を起こして下さればいいのですよ。ああ、私を裏切ると、後であなたの命が飛ぶことになりかねませんよ???それに引き換え……私の提案を受け入れてくださったら……そうですわね、甘いひと時が待っておりますわよ???」
そう言って、マルクは白いワンピースを少しばかり開けて見せた。
「なるほど……そうですか、そうですか。分かりましたよ……」
旅人はすぐさま、馬車に乗り込み、その背後に控える人々を引き連れて、スーザン達のいる城に向かったのだった。
「これで、私の計画は全て上手くいくのです……。お姉様たちがどんな顔をするのか……私には楽しみですわ……」
「親愛なるお姉様が私に裏切られた時……お姉様は一体、どんな顔をなさるのでしょうか???」
「どうして???こんなことに???そんな疑問を抱くのでしょうか???ああ、どうだってかまいませんわ!!!これで……私の人生が新しく動き出すのですから!!!!!」
マルクはそう言って、新しい空の行方を薄っすらと眺めていたのだった……。
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