婚約破棄の連鎖を断ち切れ!!~ある侯爵令嬢の挑戦~

岡暁舟

文字の大きさ
6 / 10

その6

しおりを挟む
それからしばらくして、スミス様の屋敷から迎えの馬車がやってまいりました。つまり、私が初めて、スミス様の屋敷に上がることになるわけでございました。

「まあ、しっかりやりなさいよ……」

お父様はそう言って、私を半ば強引に追い出す形になってしまいました。ひょっとして……私はもはや、お父様からも見捨てられてしまったのか、そう思いました。特に根拠はありませんでしたが、そうなんとなく考えてしまうわけでございました。

「そうすると……この先私は行き場を失ってしまうのだろうか……」

なんて、変なことを考えるようにもなりました。もちろん、最初からそんなことを考えるつもりはなかったのですが……仕方ないことでした。

「やあ、エリーナ様。お待ち申し上げておりましたぞ!!!」

この前よりも、スミス様はだいぶ元気でした。どうして???これほど元気な理由が私にあるとはとても思えませんでした。そして、スミス様の背後からあの時と同じように、でも今度はまるで花嫁のように綺麗に着飾った妹のヘレン様が現れました。

「お待ちしておりました。エリーナ様。ああ、この前よりはだいぶましな恰好でいらっしゃっていただけたのですね???」

ヘレン様は完全に私のことを敵か何かだと思っているようでした。別に、私にしてみれば、それはどうってことはなかったのですが……まあ、仕方のないことだと思いました。どうやら、私はこの屋敷でも嫌われる運命ってやつを背負わないといけない気がするわけでございました。どうしてか……どうしてなのか???

そんな問いを立てたところで、何も解決することはありませんでした。ですから、私は仕方なく、スミス様に招かれる形で、屋敷のなかに足を踏み入れたわけでございました。

ああ、それでもなんとなく場違いだと感じてしまうのは、どうしてだったのか……私にはいまいちわかりませんでした。ですが……まあ、このままやっていくしかないと腹を決めて……まずはスミス様のご両親に会うことになりました。

「ようこそいらっしゃいました。エリーナ殿。待ちわびておりましたぞ!!!」

スミス様のお父様にあたるバートン侯爵はそう言って、私のことを快く受け入れてくれました。まあ、本気でどう思っていたのかはわかりませんが……。

「お招きいただきまして、本当にありがとうございます。この度は……このような形でスミス様と婚約できますこと、大変光栄に思います……」

私はこのようにかしこまって挨拶をしました。すると、お父様の隣に座っていらっしゃる、つまり、スミス様のお母様にあたる方なのですが、その方が私に向かって丁寧なあいさつをしてくれました。

「どうか、私どもの倅をよろしくお願いいたします……」

と、こんな具合に丁重でした。普通は、両親から嫌われるものだと思っておりましたが、その辺は案外平気でした。やはり、一番問題なのは……妹のヘレン様の処遇でした。

「まあ、これからよろしくお願いしますよ!!!」

そう言って、スミス様は手を差し出してくださいました。思い返せば、それが最後の握手になるとは……この時は思ってもいませんでした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

悪役とは誰が決めるのか。

SHIN
恋愛
ある小さな国の物語。 ちょっとした偶然で出会った平民の少女と公爵子息の恋物語。 二人には悪役令嬢と呼ばれる壁が立ちふさがります。 って、ちょっと待ってよ。 悪役令嬢だなんて呼ばないでよ。確かに公爵子息とは婚約関係だけど、全く興味は無いのよね。むしろ熨斗付けてあげるわよ。 それより私は、昔思い出した前世の記憶を使って色々商売がしたいの。 そもそも悪役って何なのか説明してくださらない? ※婚約破棄物です。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

悪役令嬢は断罪の舞台で笑う

由香
恋愛
婚約破棄の夜、「悪女」と断罪された侯爵令嬢セレーナ。 しかし涙を流す代わりに、彼女は微笑んだ――「舞台は整いましたわ」と。 聖女と呼ばれる平民の少女ミリア。 だがその奇跡は偽りに満ち、王国全体が虚構に踊らされていた。 追放されたセレーナは、裏社会を動かす商会と密偵網を解放。 冷徹な頭脳で王国を裏から掌握し、真実の舞台へと誘う。 そして戴冠式の夜、黒衣の令嬢が玉座の前に現れる――。 暴かれる真実。崩壊する虚構。 “悪女”の微笑が、すべての終幕を告げる。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

処理中です...