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噂 ①
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翌日もその次の日も、あの晩あったことなんてなかったように、ルーカス様は僕のことを「お前」と呼び、まともに顔も見ないようにしていた。
多分ルーカス様の中で、あの夜のことは夢だとされていると思う。
僕はそれでいい。
現実では会えないミカだけれど、夢の中でミカに思いを伝えられたと思えば、少しは気持ちが楽になるかと思うから。
ルーカス様が僕の部屋に訪れることはなく、部屋の外に出てもいいとも言われない。
侍女も食事を持ってくる時と、湯浴みの湯を用意する時以外、僕の部屋には寄りつかない。基本的な生活はできるので、それだけで感謝している。
けれど、時々僕に聞こえるように廊下で色々な話をしていく。
その話の大半が、僕に対しての冷たい視線と噂話。
「レオナルド様って、流行病の高熱で自分のことを『ミカエル様』だと思っていたみたいだけど、本当なのかしら?」
「え~そんなの違うわよ」
「どう違うの?」
「きっと活発で美しいミカエル様に嫉妬して、流行病をいい口実になりかわろうとしていたんじゃない?」
「え~、そうなの!?」
「そうに決まってる。それしか考えられない」
「それにミカエル様に成り代われば、あのサイモン様と結婚できるのよ。こんないいことないじゃない」
「本当にそうね。レオナルド様ってか弱そうな顔して、本当は怖い人なのね」
「本当よ、私達も騙されないようにしないとね」
毎日、こんな話が繰り広げられている。
ミカエルになりたいと思ったことも、流行病でミカエルとして生きていくのを選んだのも、サイモンと結婚したいと思ったことも真実。
どれも本当のことだから、何も言い返せない。
心の中でミカとサイモンに謝ることしかできなかった。
「レオナルド様、今日も残されるのですか?」
侍女が呆れ顔で、僕がほとんど手をつけていない昼食を下げる。
「食欲がなくて」
食材を作ってくれた人にも、僕のために食事を作ってくれた人にも、運んでくれた人にも申し訳ない。
「お腹が空いても食べられない人が、大勢いるんですよ。それを考えたことがありますか?」
「それは……」
世の中にはお腹いっぱい食べられない人は、大勢いる。
そんな中、僕はなんて酷いことをしているんだ。
「それに私達も暇じゃないんです。仕事が山積みなんです。そんな中、食べもしないレオナルド様の食事を運び、残飯をとりにくるんです。すごく手間なんです」
「ごめんな、さい……」
「はぁ~。謝れば何とかなると思われるお貴族様は、ホントに困るんです」
そう言われて、申し訳なさで潰されそうになる。
「じゃあ、何と何だったら食べられるんですか?」
黙りこくる僕に侍女は問いかける。
「どう言う意味?」
「いつも残されるんだったら、食べられる食事だけお持ちすれば残飯も減ります」
ああ、そういうことか……。
「パンとスープさえあれば……」
「パンとスープですね。では夕食からメニューを変更してもらえるように、シェフに伝えておきます」
そういい、侍女は部屋を出た。
多分ルーカス様の中で、あの夜のことは夢だとされていると思う。
僕はそれでいい。
現実では会えないミカだけれど、夢の中でミカに思いを伝えられたと思えば、少しは気持ちが楽になるかと思うから。
ルーカス様が僕の部屋に訪れることはなく、部屋の外に出てもいいとも言われない。
侍女も食事を持ってくる時と、湯浴みの湯を用意する時以外、僕の部屋には寄りつかない。基本的な生活はできるので、それだけで感謝している。
けれど、時々僕に聞こえるように廊下で色々な話をしていく。
その話の大半が、僕に対しての冷たい視線と噂話。
「レオナルド様って、流行病の高熱で自分のことを『ミカエル様』だと思っていたみたいだけど、本当なのかしら?」
「え~そんなの違うわよ」
「どう違うの?」
「きっと活発で美しいミカエル様に嫉妬して、流行病をいい口実になりかわろうとしていたんじゃない?」
「え~、そうなの!?」
「そうに決まってる。それしか考えられない」
「それにミカエル様に成り代われば、あのサイモン様と結婚できるのよ。こんないいことないじゃない」
「本当にそうね。レオナルド様ってか弱そうな顔して、本当は怖い人なのね」
「本当よ、私達も騙されないようにしないとね」
毎日、こんな話が繰り広げられている。
ミカエルになりたいと思ったことも、流行病でミカエルとして生きていくのを選んだのも、サイモンと結婚したいと思ったことも真実。
どれも本当のことだから、何も言い返せない。
心の中でミカとサイモンに謝ることしかできなかった。
「レオナルド様、今日も残されるのですか?」
侍女が呆れ顔で、僕がほとんど手をつけていない昼食を下げる。
「食欲がなくて」
食材を作ってくれた人にも、僕のために食事を作ってくれた人にも、運んでくれた人にも申し訳ない。
「お腹が空いても食べられない人が、大勢いるんですよ。それを考えたことがありますか?」
「それは……」
世の中にはお腹いっぱい食べられない人は、大勢いる。
そんな中、僕はなんて酷いことをしているんだ。
「それに私達も暇じゃないんです。仕事が山積みなんです。そんな中、食べもしないレオナルド様の食事を運び、残飯をとりにくるんです。すごく手間なんです」
「ごめんな、さい……」
「はぁ~。謝れば何とかなると思われるお貴族様は、ホントに困るんです」
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「じゃあ、何と何だったら食べられるんですか?」
黙りこくる僕に侍女は問いかける。
「どう言う意味?」
「いつも残されるんだったら、食べられる食事だけお持ちすれば残飯も減ります」
ああ、そういうことか……。
「パンとスープさえあれば……」
「パンとスープですね。では夕食からメニューを変更してもらえるように、シェフに伝えておきます」
そういい、侍女は部屋を出た。
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