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6.回避する

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 薬を射たれて眠らされ閉じ込められたこの部屋に、見知らぬ女性がやって来る。
 すなわちそれは今晩も酷い目にあう。と彼は身構えているみたい。
 目を覚ましたコルフェは警戒しながら私を見ている。

 小さな体でベッドに横になったまま私を見上げている。
 寝起きのとろんとした表情が変わり、段々自分が置かれている状況を理解したようで、瞳の震えが顕著になってきた。

 愛らしい姿の彼を見ていると、確かにこのまま性的な繋がりを持ってしまいたくなる。
 ドキドキする。
 それがトラウマメイカーさんに与えられた役回りだから本能的にそう思ってしまうのかもしれない。
 それでも、懸命にこらえて私は考えた。

 ここで衝動的になって服を脱ぎ、彼に覆い被さってしまったら何もかも終わりだ。
 せっかく前世の記憶を取り戻して推しのトラウマを回避できる瞬間に立ち会っているというのに。

 負けてたまるか。
 私が推しを辛い過去から救ってやらねば。
 例えそれが未来を改変してしまうとしても、私にしかできないことをやる。
 ここでやらなかったら後悔することになるだろうから。

 
「コルフェ。私と……ここから逃げよう」

 自然と答えは口から出ていた。
 他の女たちと同じように私にも無理矢理エッチなことを強要されるとばかり思っていたのだろう。
 私の言葉にコルフェは驚いて目を丸くする。

「えっ」

 でもどこか安堵したといった意味合いを含め、きょとんとした表情で私を見上げ、

「……逃げるって? お姉さんと? どこに……」

 と心配そうに聞き返してきた彼の手を優しく握る。
 何を言われているかわからないといった表情だけれど、彼自身本当はわかっているはず。

「貴方を助けてあげる。私と来て」

「で、でも、僕には神父様が……」

「わかってる。貴方があの神父に逆らえないのも、何をされてるかも全部知ってる」

 今までで初めて言われたのだろう。
 まさか搾取するためにやって来た女性が逆に自分を解放しに来たなんて、にわかには信じられないといった不安だらけの顔で私を見ている。

 貴方の未来を見てきた私に任せなさい。なんて言っても信じてもらえないんだろうな。
 なんて考えながら彼の体を引っ張り起こすと、不意に掛布が落ちてしまう。

「あ……っ」

 おっとっと。見えてない。ギリギリ見えてない。
 恥ずかしそうに前を隠すコルフェに私も反射的に目を伏せた。
 追加十八禁版のシナリオでは作中上から数えて二番目の絶倫巨根へ成長を遂げるくせに、少年期はこんな反応をするのか。








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