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21.かかせない人物
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そうか。そうだったのか。
(なるほどねぇ……)
≪シュテルフスタインⅡ≫は続編で、世界観や舞台が同じだから数年前のお話にあたる無印のキャラも何人かいるんだった。
当然のように目の前に現れた新キャラ。
否、旧キャラ。
そこのところも忠実な世界というわけで。
(でも、ジルが何でこんなところに?)
ジルは≪シュテルフスタインⅡ≫にもサブキャラとして続投出演しており、教会騎士になったコルフェの剣の指南役で上官にあたる人物になっている。
コルフェを攻略する上では結構絡みが発生するし、前作から出番が続投されているキャラの中では立場上、登場頻度も優遇されている。
≪シュテルフスタイン≫シリーズは乙女系恋愛ゲームを普段あまりしない……というお姉さま方にも意外に人気がある。
その理由の一つが、このジルというキャラのお陰だと私は思っていた。
見た目での人気も勿論そこそこある。初代無印の人気投票では二位を博した男だ。流石といえよう。
ジルは性格も明るく気さくで、他の攻略キャラたちとの絡みがとにかく多い。
そのお陰で、主人公に自分を重ねて没入し恋愛ゲームを楽しむ人だけではなく、キャラ同士の掛け合いを見て関係性を楽しむ人たちにも受け入れられている。
包み隠さず言うならば、ジルはボーイズラブを嗜(たしな)む腐女子の方々にも好まれていて、主人公以外とのカップリングも多種多様。よりどりみどり。
何を隠そう私自身もコルフェを攻略するルート内で何度も見せられることになる、ジルとコルフェの師弟関係のイベントが大変ドツボ。ハマるしかなかった。
≪シュテルフスタイン≫ファンが自由に想い描いた二人の世界の妄想を、漫画にしたり小説にしたりして発表してくれる人もいた。
それは、趣味や嗜好が違う他人(なかま)からの供給。
コルフェの全てが知りたい私にとってはそれらも立派な研究資料。
別視点で見るコルフェの存在にも興味があって、某所で開催された夏の大会場で薄いご本を何冊か購入させて頂いたほどです。
そんな思い入れもあるわけなのだけれど、今は無印に近い頃の姿で私の視線の先にジルがいる。
青年コルフェの隣で相棒のように剣を振るって戦う先輩騎士とは違う。まだ出会う前の若々しい姿で。
(よく考えたら私のせいで教会との繋がりがなくなっちゃったコルフェって、このままだと騎士にもならないし、ジルにも出会わなくなっちゃうんじゃ……)
そうだとしたら二人を出会わせて繋がりを発生させる機会は今しかない。
今も選択肢は出てこないけれど、これはゲームの神様が与えてくれた絶好のチャンスなのかもしれない。
「メイカさん? どうかしたんですか?」
「行こう。コルフェ」
「い、行くって?!」
「あの騎士様に話があるの!」
ジルのことを思い出している私は一体どんな顔をしていたんだろう。
不思議そうに見上げているコルフェの手を握り、私は勢いのままに馬車を降りた。
(なるほどねぇ……)
≪シュテルフスタインⅡ≫は続編で、世界観や舞台が同じだから数年前のお話にあたる無印のキャラも何人かいるんだった。
当然のように目の前に現れた新キャラ。
否、旧キャラ。
そこのところも忠実な世界というわけで。
(でも、ジルが何でこんなところに?)
ジルは≪シュテルフスタインⅡ≫にもサブキャラとして続投出演しており、教会騎士になったコルフェの剣の指南役で上官にあたる人物になっている。
コルフェを攻略する上では結構絡みが発生するし、前作から出番が続投されているキャラの中では立場上、登場頻度も優遇されている。
≪シュテルフスタイン≫シリーズは乙女系恋愛ゲームを普段あまりしない……というお姉さま方にも意外に人気がある。
その理由の一つが、このジルというキャラのお陰だと私は思っていた。
見た目での人気も勿論そこそこある。初代無印の人気投票では二位を博した男だ。流石といえよう。
ジルは性格も明るく気さくで、他の攻略キャラたちとの絡みがとにかく多い。
そのお陰で、主人公に自分を重ねて没入し恋愛ゲームを楽しむ人だけではなく、キャラ同士の掛け合いを見て関係性を楽しむ人たちにも受け入れられている。
包み隠さず言うならば、ジルはボーイズラブを嗜(たしな)む腐女子の方々にも好まれていて、主人公以外とのカップリングも多種多様。よりどりみどり。
何を隠そう私自身もコルフェを攻略するルート内で何度も見せられることになる、ジルとコルフェの師弟関係のイベントが大変ドツボ。ハマるしかなかった。
≪シュテルフスタイン≫ファンが自由に想い描いた二人の世界の妄想を、漫画にしたり小説にしたりして発表してくれる人もいた。
それは、趣味や嗜好が違う他人(なかま)からの供給。
コルフェの全てが知りたい私にとってはそれらも立派な研究資料。
別視点で見るコルフェの存在にも興味があって、某所で開催された夏の大会場で薄いご本を何冊か購入させて頂いたほどです。
そんな思い入れもあるわけなのだけれど、今は無印に近い頃の姿で私の視線の先にジルがいる。
青年コルフェの隣で相棒のように剣を振るって戦う先輩騎士とは違う。まだ出会う前の若々しい姿で。
(よく考えたら私のせいで教会との繋がりがなくなっちゃったコルフェって、このままだと騎士にもならないし、ジルにも出会わなくなっちゃうんじゃ……)
そうだとしたら二人を出会わせて繋がりを発生させる機会は今しかない。
今も選択肢は出てこないけれど、これはゲームの神様が与えてくれた絶好のチャンスなのかもしれない。
「メイカさん? どうかしたんですか?」
「行こう。コルフェ」
「い、行くって?!」
「あの騎士様に話があるの!」
ジルのことを思い出している私は一体どんな顔をしていたんだろう。
不思議そうに見上げているコルフェの手を握り、私は勢いのままに馬車を降りた。
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