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第四話 地獄は突然やってくる (7)
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そして夢は終わり、わたしの心は現実に帰ってきた。
ほとんど時間は経っていないように見えた。
ゆえに状況は変わっていない。回避できない大量の花びらに囲まれている。
だけどもう問題無い。たったいま、状況が変わったから。
その変化を「背中」に感じた直後、わたしの視界に変化が起きた。
突如、視界の端から細長い光が走り、わたしの目の前で×字を描くように交差する。
二本の線は交差点から歪み、回転し、そして砕けた。
小さな三日月となって飛び散り、その破片は花びらを吹き飛ばした。
同じことが目の前だけじゃなく、全方位で起きているのが感じられた。
自分の体が三日月の嵐に包まれているのがわかる。
でも怖くない。わたしには当たらないように制御されている。それを知っている。それがわかる。
そしてすべての花びらを吹き飛ばすと、わたしの周りで走っていた光の線はわたしの目の前で動きを止めた。
線に見えていたそれは細い剣だった。
宙に何本もの光の剣が浮かんでいる。
それを認識した直後、光の剣は再び動き出し、わたしの背後に回り込んだ。
剣はわたしの真後ろで合体し、一つの光の球となった。振り返らずともそれが感じ取れた。
そして光の球は薄く伸び広がり、人の形を成した。
光る霧のようなその人形は口を開き、わたしの頭の中に声を響かせた。
“改めて自己紹介をしておくべきだろう。私の名前は『ビハインドユー・ストレンジャー』。君の魂から生まれた、君を守る者だ”
それは知っている声だった。
声はさらに続いた。
“しかし奇妙な名前だ。自分のことをストレンジャーなどと呼ぶのは違和感しか無い。だから適当に別の名前をつけるなりしてくれると助かる”
じゃあ、なんと呼ぶべきか。
それは一つしか思いつかなかった。
だからわたしはそれを叫んだ。
「力を貸して! わたしの隊長さん!」
迫る次の花びらの吹雪を前にわたしがそう叫ぶと、隊長さんは再び複数の剣に分裂し、前へ飛び出した。
次々と十字を描き、光の嵐を生み出して花びらを吹き飛ばす。
わたしも剣を振った。わたしの隊長さんはわたしの動きに合わせて十字を描いてくれた。
合わせてくれることはわかっていた。心が繋がっているからだ。
だから、わたしはアレもやってみたいと思った。
そう思った直後、隊長さんの声が響いた。
“大きいのが一斉に来るぞ!”
それはわたしの目にも見えていた。
ブルーンヒルデさんの周りにある花々が、そのすべてが動き始めたのだ。
まるで花の洪水。
その華やかな洪水を前に、わたしは叫んだ。
「全部吹き飛ばそう! あの技で!」
あの技とはどの技のことか、叫ぶまでも無くそれは心で伝わっていた。
だからわたしの隊長さんは即答してくれた。
“了解だ! では、共に響かせよう!”
隊長さんは答えながら動いていた。
二本の剣がわたしの前に大きな十字を描く。
わたしはその十字の中心に剣を突き刺しながら、隊長さんと一緒に技の名を響かせた。
“「穿ちえぐる、テンペスタス・ルシス!!」”
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