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第五話 わたし、島を出ます! (1)
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◆◆◆
わたし、島を出ます!
◆◆◆
試験が終わっても特訓の日々は続いた。
そして冬が終わりを迎え、季節が春に移った頃、ついにその日は訪れた。
「今日ですよね! 今日なんですよね!」
朝ごはんを食べながら、わたしは興奮のままにそれを声に出した。
「食べながらしゃべっちゃダメよ、アイリス」
ブルーンヒルデさんに軽く怒られたが、これくらいでは今日のわたしは動じない。今日のわたしは無敵なのです!
わたしは口の中の食べ物を飲みこんでから、再び声を上げた。
「今日、船が来るんですよね!」
これに、ヴィーさんがパンをかじりながら答えた。
「ああ、そうだ。ルイステクノロジーからの迎えの船が来る。……すまないが、そこのジャムを取ってくれ」
ブルーンヒルデさんはしぶしぶジャムを渡しながら文句を言った。
「だから、食べながらしゃべらないでって言ってるでしょ」
これに、ヴィーさんは「ああ、悪い」と答えながらまたパンをかじった。まったく悪いと思ってませんよね?
その態度に、ブルーンヒルデさんはあきらめの表情を浮かべたあと、わたしに向かって口を開いた。
「船は昼頃に到着の予定よ。だから今日は訓練は無し。お風呂に入って、おめかしして、ちゃんと準備して待っていましょうね?」
確認の返事を求められていると受け取れるその疑問形のアクセントに、わたしは「了解です!」と力強く答え、朝ごはんを口にかきこんだ。
◆◆◆
「うわぁ……これはすごい船ですね……」
沖に姿を現したその船に、わたしは感嘆の声を漏らした。
それは戦艦だった。
そしてわたしの感嘆の声に対し、隣にいるヴィーさんは突然語りだした。
「『プリンス・オーク』、海軍が誇る最新のリヴェンジ級戦艦だ。全長190mで、連装砲4基、単装速射砲14基、単装高角砲2基を搭載。すべてが精霊器による演算処理を受けて稼働する。最大の特徴はエンジンで、最新の魔力変換器を搭載。タービンは光魔法の力も利用して駆動し、最大速力は30ノットに達する」
説明ありがとうございます! でも何言ってるかほとんどわかりませんでした!
そんな難しい説明を聞きながら眺めていると、戦艦から一隻の小型艇が出てくるのが見えた。
小型艇はわたし達の目の前で止まり、三人の男の人が乗っていた。
二人は軍人だった。でももう一人は明らかに違った。
軍服では無く、スーツを着ている。ビジネスマンにしか見えない。
三人は船から降り、わたし達のほうへと歩み寄ってきた。
そしてスーツの男の人が放った第一声によって、わたしの第一印象が正解であることが明らかになった。
「はじめましてアイリス。私はルイス。ルイステクノロジーの社長を務めている者であり、君を保護する者だ」
この人がルイステクノロジーの社長さん!? 思ってたよりずっと若い。30代くらいに見える。
その見た目に驚きつつも、わたしは差し出されたルイスさんの右手を掴み、握手に応じた。
そして握手を終えたあと、ルイスさんはわたしの目を見ながら口を開いた。
「これから君を船に案内する。無骨な船で申し訳無いが、くつろげるように手を入れたつもりだ。食事も特別なものを用意しておいた。もちろん、おやつもある。チョコケーキは好きかい?」
これに、わたしが「はい! 大好きです!」と元気よく答えると、ルイスさんは笑顔で口を開いた。
「それはよかった。じゃあ行こうか」
この時、わたしの後ろにブルーンヒルデさんとヴィーさんもついてきていた。
ここでお別れだと思っていたのだけど、わたしは気にしなかった。
船にまで一緒に乗ってくれるなんて親切だなあと、わたしは深く考えずにそう思っていた。
わたし、島を出ます!
◆◆◆
試験が終わっても特訓の日々は続いた。
そして冬が終わりを迎え、季節が春に移った頃、ついにその日は訪れた。
「今日ですよね! 今日なんですよね!」
朝ごはんを食べながら、わたしは興奮のままにそれを声に出した。
「食べながらしゃべっちゃダメよ、アイリス」
ブルーンヒルデさんに軽く怒られたが、これくらいでは今日のわたしは動じない。今日のわたしは無敵なのです!
わたしは口の中の食べ物を飲みこんでから、再び声を上げた。
「今日、船が来るんですよね!」
これに、ヴィーさんがパンをかじりながら答えた。
「ああ、そうだ。ルイステクノロジーからの迎えの船が来る。……すまないが、そこのジャムを取ってくれ」
ブルーンヒルデさんはしぶしぶジャムを渡しながら文句を言った。
「だから、食べながらしゃべらないでって言ってるでしょ」
これに、ヴィーさんは「ああ、悪い」と答えながらまたパンをかじった。まったく悪いと思ってませんよね?
その態度に、ブルーンヒルデさんはあきらめの表情を浮かべたあと、わたしに向かって口を開いた。
「船は昼頃に到着の予定よ。だから今日は訓練は無し。お風呂に入って、おめかしして、ちゃんと準備して待っていましょうね?」
確認の返事を求められていると受け取れるその疑問形のアクセントに、わたしは「了解です!」と力強く答え、朝ごはんを口にかきこんだ。
◆◆◆
「うわぁ……これはすごい船ですね……」
沖に姿を現したその船に、わたしは感嘆の声を漏らした。
それは戦艦だった。
そしてわたしの感嘆の声に対し、隣にいるヴィーさんは突然語りだした。
「『プリンス・オーク』、海軍が誇る最新のリヴェンジ級戦艦だ。全長190mで、連装砲4基、単装速射砲14基、単装高角砲2基を搭載。すべてが精霊器による演算処理を受けて稼働する。最大の特徴はエンジンで、最新の魔力変換器を搭載。タービンは光魔法の力も利用して駆動し、最大速力は30ノットに達する」
説明ありがとうございます! でも何言ってるかほとんどわかりませんでした!
そんな難しい説明を聞きながら眺めていると、戦艦から一隻の小型艇が出てくるのが見えた。
小型艇はわたし達の目の前で止まり、三人の男の人が乗っていた。
二人は軍人だった。でももう一人は明らかに違った。
軍服では無く、スーツを着ている。ビジネスマンにしか見えない。
三人は船から降り、わたし達のほうへと歩み寄ってきた。
そしてスーツの男の人が放った第一声によって、わたしの第一印象が正解であることが明らかになった。
「はじめましてアイリス。私はルイス。ルイステクノロジーの社長を務めている者であり、君を保護する者だ」
この人がルイステクノロジーの社長さん!? 思ってたよりずっと若い。30代くらいに見える。
その見た目に驚きつつも、わたしは差し出されたルイスさんの右手を掴み、握手に応じた。
そして握手を終えたあと、ルイスさんはわたしの目を見ながら口を開いた。
「これから君を船に案内する。無骨な船で申し訳無いが、くつろげるように手を入れたつもりだ。食事も特別なものを用意しておいた。もちろん、おやつもある。チョコケーキは好きかい?」
これに、わたしが「はい! 大好きです!」と元気よく答えると、ルイスさんは笑顔で口を開いた。
「それはよかった。じゃあ行こうか」
この時、わたしの後ろにブルーンヒルデさんとヴィーさんもついてきていた。
ここでお別れだと思っていたのだけど、わたしは気にしなかった。
船にまで一緒に乗ってくれるなんて親切だなあと、わたしは深く考えずにそう思っていた。
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