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第二話 夏だから気前よく大胆に(5)
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彼と一緒にお祭りを回るのは楽しかった。本当にそう思った。
男子と一対一なのにイヤじゃなかった。
だから彼が「花火を見に行こう」と言った時も素直に応じることが出来た。
そして彼はわたしをとんでもないところに連れて行った。
それは進入禁止エリアぎりぎりの場所だった。
花火職人らしき人達が作業しているのが見えるくらいの距離。
危なくないの? 火の粉が落ちてこない? 声には出さなかったけど、わたしはちょっと怖かった。
だけど、その怖さは最初の花火が打ち上げられると同時にどこかに吹き飛んだ。
わたしは一目で心を奪われた。
とても大きかった。
花火は視界一杯に広がった。
すぐ目の前にあるように見える。手を伸ばせば掴めそうなくらいに。
遠くで見るのとは全然違う。
どん、という音と共に体が揺らされる。夜空に勢いよく花咲くその衝撃が体に伝わってくる。
そして花火は次々と撃ち上げられ、夜空はあっという間に花火で満開になった。
わたしは圧倒された。
芸術による感動というものを久しぶりに感じていた。
だからだと思う。
彼に手をつながれても、わたしはぜんぜん気にならなかった。
感動を共有している、そんな気がした。
だからわたしはその手を握り返すことができた。
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