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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十五話 愛を讃えよ(21)
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サイラスのその覚悟が響いた直後に三人は同時に動いた。
アゼルフスとサイラスが踏み込み、デュランが輝く大剣を水平に一閃。
大剣が描いた三日月がそのまま飛び道具となる。
放たれた三日月はアゼルフスの腹に食い込んだが、
(何!?)
三日月はアゼルフスの腹を割ること無くすり抜けた、そう見えた。
だがそうでは無い事が感知能力によって一瞬遅れて理解できた。
アゼルフスは数瞬だけ、上半身と下半身を分離させたのだ。
よく見れば、分離箇所が糸のような触手で縫われ始めたばかりなのがわかる。
こいつは短時間であれば体の部位を分離させて攻撃するなんてことも可能なのでは?
そんな疑問がよぎったが、それを深く考える時間は無かった。
アゼルフスが燃え渦巻く槍を構え、デュランが左手の大盾を前に出そうとする。
が、大盾よりも先にサイラスが前に割り込んだ。
割り込むと同時に宝石剣を振り降ろす。
加速した魔力の粒子が地面に叩きつけられ、先と同じ落雷に似た現象が起きる。
その結果に、
(くそ! 出力が大きすぎるせいで暴れる!)
サイラスは奥歯を軋ませた。
本当は地面に当てるつもりでは無かったからだ。
構えているだけでも、苦しんでいるかのようにのたうち回る。
そしてこの一撃に対し、宝石剣を警戒しているアゼルフスは距離を取りながら様子を見ていた。
やつはあの剣を使いこなせていない、アゼルフスは既にそれを見抜いていたが、それでも慎重にならざるを得なかった。
“あの出力の光魔法、あのムカデと組み合わされると厄介だな”
あれほどの出力であっても、直接触れるだけでは破壊されることは無いことはわかっている。
だが、ムカデとの同時攻撃となると厄介。
出力の高い光魔法でこちらを押し込みながら拘束し、その間にムカデが攻撃する、などの連携が簡単に予想できる。
そして制御できていないということは、言い換えれば不規則な読めない攻撃であるということ。
予測の難しい動きをするムカデに対し、斬り合いの中で有利を作って一撃を狙うという戦い方を続けるのは不安があると認めざるを得ない。
そんなことを高速演算で思考しながら、アゼルフスはサイラスを見つめた。
サイラスはまだ攻撃の手を止めてはいないようであった。
サイラスが奥歯を軋ませた理由はもう一つあった。
先の一撃は光の濁流を繰り出すための初手のつもりであった。
しかしムカデの口から垂れ流されて描かれた銀色の軌跡は、一筋の三日月形では無く、むちゃくちゃにうねりくねっていた。
そこに小さな雷雲があり、その中で暴れうごめいている雷のような動き。
その白い雷に向かってサイラスは、
(いってくれるか?!)
叫び、再び宝石剣を一閃した。
一閃、ではあったが、描かれた軌跡はやはりそうでは無かった。
雷が放たれ、目の前の雷雲とぶつかり合う。
どうなる?! サイラスがそんな思いを響かせたのと同時に、雷雲は一瞬で濁流に転じた。
しかしそれはサイラスが期待していたものとは違っていた。
拡散しすぎている。広く扇状に散らばってしまっている。
見た目も刃の濁流にはほど遠い。大きく枝分かれして広がる雷といった様相。シャロンの宝石銃による射撃とよく似ている。
これに対し、アゼルフスは防御態勢を取った。
燃えるマントをカーテンのように前に広げる。
直後に白い雷は直撃したが、そのカーテンの表面を滑るだけに終わった。
アゼルフスとサイラスが踏み込み、デュランが輝く大剣を水平に一閃。
大剣が描いた三日月がそのまま飛び道具となる。
放たれた三日月はアゼルフスの腹に食い込んだが、
(何!?)
三日月はアゼルフスの腹を割ること無くすり抜けた、そう見えた。
だがそうでは無い事が感知能力によって一瞬遅れて理解できた。
アゼルフスは数瞬だけ、上半身と下半身を分離させたのだ。
よく見れば、分離箇所が糸のような触手で縫われ始めたばかりなのがわかる。
こいつは短時間であれば体の部位を分離させて攻撃するなんてことも可能なのでは?
そんな疑問がよぎったが、それを深く考える時間は無かった。
アゼルフスが燃え渦巻く槍を構え、デュランが左手の大盾を前に出そうとする。
が、大盾よりも先にサイラスが前に割り込んだ。
割り込むと同時に宝石剣を振り降ろす。
加速した魔力の粒子が地面に叩きつけられ、先と同じ落雷に似た現象が起きる。
その結果に、
(くそ! 出力が大きすぎるせいで暴れる!)
サイラスは奥歯を軋ませた。
本当は地面に当てるつもりでは無かったからだ。
構えているだけでも、苦しんでいるかのようにのたうち回る。
そしてこの一撃に対し、宝石剣を警戒しているアゼルフスは距離を取りながら様子を見ていた。
やつはあの剣を使いこなせていない、アゼルフスは既にそれを見抜いていたが、それでも慎重にならざるを得なかった。
“あの出力の光魔法、あのムカデと組み合わされると厄介だな”
あれほどの出力であっても、直接触れるだけでは破壊されることは無いことはわかっている。
だが、ムカデとの同時攻撃となると厄介。
出力の高い光魔法でこちらを押し込みながら拘束し、その間にムカデが攻撃する、などの連携が簡単に予想できる。
そして制御できていないということは、言い換えれば不規則な読めない攻撃であるということ。
予測の難しい動きをするムカデに対し、斬り合いの中で有利を作って一撃を狙うという戦い方を続けるのは不安があると認めざるを得ない。
そんなことを高速演算で思考しながら、アゼルフスはサイラスを見つめた。
サイラスはまだ攻撃の手を止めてはいないようであった。
サイラスが奥歯を軋ませた理由はもう一つあった。
先の一撃は光の濁流を繰り出すための初手のつもりであった。
しかしムカデの口から垂れ流されて描かれた銀色の軌跡は、一筋の三日月形では無く、むちゃくちゃにうねりくねっていた。
そこに小さな雷雲があり、その中で暴れうごめいている雷のような動き。
その白い雷に向かってサイラスは、
(いってくれるか?!)
叫び、再び宝石剣を一閃した。
一閃、ではあったが、描かれた軌跡はやはりそうでは無かった。
雷が放たれ、目の前の雷雲とぶつかり合う。
どうなる?! サイラスがそんな思いを響かせたのと同時に、雷雲は一瞬で濁流に転じた。
しかしそれはサイラスが期待していたものとは違っていた。
拡散しすぎている。広く扇状に散らばってしまっている。
見た目も刃の濁流にはほど遠い。大きく枝分かれして広がる雷といった様相。シャロンの宝石銃による射撃とよく似ている。
これに対し、アゼルフスは防御態勢を取った。
燃えるマントをカーテンのように前に広げる。
直後に白い雷は直撃したが、そのカーテンの表面を滑るだけに終わった。
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