らぶこめ! 太陽のヒナタと影のエイジ

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

文字の大きさ
65 / 70

第八話 全力の勉学は全力の恋心とともに(2)

しおりを挟む
 クリスマスチキンじゃなくてからあげなのはご愛嬌。でも個人的には鳥ならなんでもいいと思っているし、そもそも彼女の手料理だからなんの文句も無い。
 こたつの上に料理が並べられる。
 そして切り分けられたケーキを俺が小皿に乗せ始めると、彼女は尋ねてきた。

「今日はどれから見る?」

 それは勉学が忙しくなってきた最近ではもはや久しぶりと呼べるほどになっていた、映画鑑賞であった。
 今日のチョイスはすべて彼女によるものだ。
 ゆえにジャンルはタイトルを読まずとも予想出来た。だからどれでも良かったのだが、そういう回答を彼女は嫌がることを知っていたため、俺はちゃんと選ぶことにした。
 恋愛ものらしきタイトルが一つ、感動系と思わしきものが二つ、そして残りの一つは有名ファンタジー映画の続編だった。
 だから俺は無難なものを選んだ。
 それはもちろん有名作の続編だ。
 前作の内容をあまり覚えてないが問題無いだろう。きっと見てるうちに思い出す。
 彼女も特別に最初に見たいものがあったわけでは無かったらしく、自分の意見を言わぬままその続編の上映を開始した。
 そして彼女は俺のそばに歩み寄り、

「よいしょ」

 俺とこたつの間に割り込むように、彼女は俺のひざの上に座った。
 俺を座椅子にするかのように、胸に背中を預けてくる。
 いつからか、二人で映画を見るときはこの体勢がお約束になっていた。
 少々息苦しいが問題無い。もう慣れた。
 ゆえに恥ずかしさも無い。この距離感が自然体になっていた。
 両手は抱きしめるように彼女の腹部へ。これもいつも通りだ。
 だから彼女にも照れや恥ずかしさなどは見られない。
 そして映画は彼女の頭越しに始まった。
 ポップコーンがわりのように、彼女がからあげをつまむ。
 うまそうだなあ、そう思った俺は、

「一個たのむ」

 エサをねだるヒナ鳥のように口をあけて要求した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...