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1日目、私は思ったよりも残虐だった
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「私の名前は柊あゆみ。ピッチピチのJK!!って言っても、学校なんて行ったことないけど」
「ふーん」
自己紹介をしてみたものの、奏馬くんの反応はすこぶる悪い。
病院の外にあまり出たことがなく、学校にも行ったことのない私は、こういう時の会話能力を持ち合わせていない。
(う~、手強いっ!)
「私、余命1週間なんだ!!」
とりあえず、私の持っている情報を全部彼に言ってみることにした私は、1番衝撃的であろう情報を1番に提示してみる。
「はぁ!?」
「おっ、いい反応じゃんっ!」
「………騙したな?」
「本当だよ?私、1週間後には死ぬらしい。今は死ぬ前って言うので体調が中戻り?してるみたいなんだ~」
けらけら笑って見せると、彼はぐっと眉間に皺を寄せた。
「………それにしては顔色が悪いぞ」
「そうだね~。まあ、起き上がれるようになっただけ御の字だよ。ここ1ヶ月はここにも来られなかったから。昨日ぐらいからかな、普通にベッドの中で意識が戻って頭が回るようになったんだ~。看護師さん、泣いてたなー」
「………………」
「私さ、生まれてすぐからずっとここで入院してるんだ。だから、ずっと担当が変わってない看護師さんは時々お見舞いに来る家族より、ずっとずっと家族っぽいんだよね~」
「そうか」
たまにしかお見舞いに来てくれない家族よりも、多分看護師さんの方が泣いてくれる。悲しんでくれる。
「でも、ここで君を絆せば、君も泣いてくれるかもしれない」
「………俺は泣かないぞ」
「どうかな~。まあ、1週間で君の自殺願望を、この私が消してしんぜよう」
にかっと笑うと、彼は思いっきり顔を顰めた。
綺麗な顔の人は、顰めっ面すらも綺麗らしい。本当に羨ましいものだ。
「胡散臭」
「でしょうね。でも、私は本気だよ。だって、そうすれば私は君の心の中で生きられるでしょ?」
「………それ、クソ迷惑」
「ははっ、そりゃそうだ。でも、私は生きた証が欲しいんだよ。だからね、奏馬くん」
私は能天気に見えるようににっこりと笑って、彼の暖かな手を握る。血の通った、人間らしい手を。
「ーーー君には犠牲になってもらう。私、恋したの初めてなんだよね~。それに、こんな綺麗な顔の男の子に出会ったのも」
「………………」
「まあ、諦めてよ。私、君を思わぬ気に入ってしまったみたいだから」
私は、案外性格がすこぶる悪くて、とっても我が儘な人間だったようだ。
だって、こんなにも残虐なことができてしまうのだから。
彼と明日も会う約束を取り付けて、私は自分の病室に戻る。
いつもよりも戻るのが遅くなってしまったら、多分看護師さんは戻ってきてしまっているだろう。
でも、私には1週間しか残っていない。
控えめに言って彼を絆す時間がない。
看護師さんには悪いけれど、少しだけ目を瞑ってもらおう。
そして、私の初恋の応援してもらおう。
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