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告白
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「………ねえ、優花ちゃん。僕は、今世では悪い人なんだ」
「………??」
「どうしようもなく、悪い人なんだ。必要だったとはいえ、何人もの人を殺したし、僕の両手は、いや、この全身は憎悪の血に染まってしまっている。『優しい蒼』は、もう、いないんだ」
苦痛に満ちた悲哀の声に、ユティカは首を傾げる。
涙が少し、落ち着いた。
「あお、いくんは、やさしい、よ?」
今日もユティカを助けてくれた。
「それにね、………どん、な、あおいくんでも、………………わたしに、とって、は、“ヒーロー”なの」
ユティカはそっとアオライトに抱きついた。
ふわっと鼻腔をくすぐるミントの爽やかな香り、前世から変わっていない優しい香り、そして心をぐずぐずにとかす暖かさに、ユティカは頬を緩める。
「あいしているの、あおいくん。あなただけを、みらい、えいごう」
この恋は結ばれない。
だってユティカは小国のただの公爵令嬢で、アオライトは大国の第3皇子だから。
表向きは双方共に王家の血を引く由緒正しき人間であったとしても、政治的観点から見る身分差はとても大きい。
ユティカはしっかりと涙を拭き取って、花が綻ぶような優しい微笑みを浮かべる。
「………わたしは、これから修道院に入るからもう会えないけれど、あなたがひとりでも多くの人を救う日を楽しみにしているね」
ユティカの言葉に、アオライトが目を大きく見開き、ユティカを痛いぐらいに強く抱きしめた。
「………俺が君を離すわけがないだろう?」
「え………?」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
次話、1時間後に更新します!!
「………??」
「どうしようもなく、悪い人なんだ。必要だったとはいえ、何人もの人を殺したし、僕の両手は、いや、この全身は憎悪の血に染まってしまっている。『優しい蒼』は、もう、いないんだ」
苦痛に満ちた悲哀の声に、ユティカは首を傾げる。
涙が少し、落ち着いた。
「あお、いくんは、やさしい、よ?」
今日もユティカを助けてくれた。
「それにね、………どん、な、あおいくんでも、………………わたしに、とって、は、“ヒーロー”なの」
ユティカはそっとアオライトに抱きついた。
ふわっと鼻腔をくすぐるミントの爽やかな香り、前世から変わっていない優しい香り、そして心をぐずぐずにとかす暖かさに、ユティカは頬を緩める。
「あいしているの、あおいくん。あなただけを、みらい、えいごう」
この恋は結ばれない。
だってユティカは小国のただの公爵令嬢で、アオライトは大国の第3皇子だから。
表向きは双方共に王家の血を引く由緒正しき人間であったとしても、政治的観点から見る身分差はとても大きい。
ユティカはしっかりと涙を拭き取って、花が綻ぶような優しい微笑みを浮かべる。
「………わたしは、これから修道院に入るからもう会えないけれど、あなたがひとりでも多くの人を救う日を楽しみにしているね」
ユティカの言葉に、アオライトが目を大きく見開き、ユティカを痛いぐらいに強く抱きしめた。
「………俺が君を離すわけがないだろう?」
「え………?」
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