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番外編①

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 俺はミーシャが、………俺の“奥さん”になりたいと願っていることを知っている。

 ミーシャの小さい頃からの夢は、周囲よりもほんのちょびっとだけズレていた。

 周囲の女の子たちが“お姫さま”や“王妃さま”に憧れている中、ミーシャはいつも“奥さん”に憧れていた。“お母さん”に憧れていた。

(何を躊躇っていたんだ。………俺のすべきことは、もう決まっているだろう?)

 ミーシャに寂しそうな笑みをさせた自分が情けなくなる。

 どうして周囲に決められた道ばかりを選ぼうとしていたのか。
 どうして周囲の言いなりになって、周囲の言葉ばかりを気にしていたのか………。

(俺はやっぱり、どこまで行っても、自分勝手にしかなれない)

 小さく吐息をついて、ミーシャをぎゅうぅっと抱きしめた。

「れ、レオン!?」

 驚く彼女の髪に顔を埋めて、幸せに浸る。
 二回りぐらい小さなミーシャが俺の腕の中にすっぽり埋まっている感じが、たまらなく良い。

「………神さまは二物を与えず、か………………、」
「———レオン?」
「んーん、何でもない」

 くすっと笑った俺は、ミーシャの額にキスを落としてから彼女を抱き込むのをやめ、ぐーっと伸びをした。

「親父に挨拶でもしに行ってくるかな………、」
「ん、行ってらっしゃい。国王さま、ものすっごくレオンのこと心配してたよ?」
「そっか。じゃ、行ってくる」

 俺の覚悟を知らないミーシャは無邪気に微笑んだあと、1歩下がり、深々と頭を下げた。

「行ってらっしゃいませ、レオンさま」

 美しい銀髪がふわりと風に揺れて、舞い散る花々と共に彼女の笑顔を彩る。

「———あぁ、殴られ行ってくる」

 俺の笑顔は、多分今までで1番清々しかった———。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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