10 / 18
10 わたくしは物理的に不可能
しおりを挟む
「2つ目に、権力を笠に来た行動だが、あれは貴族社会で生きる上では最も必要とされる必要最低限度にも達していない暗黙の了解やマナーだ。たったあれしきのことで虐められたと判断するのは、『自分は無知なお馬鹿ちゃんです』とでも触れ回っているようなものだ」
「え?で、でも、ハルトさまはいつも肩を振るわせて怒ってぇ、」
「あぁ。あれ?貴様が愚かで滑稽すぎて、笑いを止めるのに必死になってしまったんだよ。このアホは何を言っているんだって」
「は………、」
「最後に、彼女には選民意識なんてもの存在していないよ。社交界では気位の高い伯爵家のご令嬢で突き通しているけれど、忙しくなった今現在も昔から続けている孤児院訪問を少なくとも1週間に1回は必ず行うくらいの慈善家だ」
レオンさまの言葉に、わたくしはスッと顔を横に逸らした。
(ごめんなさい。わたくしは崇高な慈善家じゃなくて、ただの子供好きよ)
本物の慈善家にあまりにも申し訳なくなりながら、わたくしは口元で扇子を広げていたことに安堵した。わたくしの口元、絶対伯爵令嬢にあるべきではない姿になっているわ。
「はあ!?んなわけないでしょっ!!つーかこれ何?バグ!?」
(………?)
アイーシャの猫が脱走したであろう図太い叫び声に、わたくしはぱちぱちと瞬きをした。
「………彼女が経営する孤児院は、全員に毎日のお風呂と手洗いうがいを行わせ、感染症などのよる死亡者がほとんどいない。それに加え、子供たちには幼い頃から世の中の厳しさを言い聞かせ、読み書き計算裁縫を叩き込んで就職先を探させる。よって王宮でメイドや官吏を務められるくらいに高い人財が生まれ、孤児院で育ち巣立った子供たちは孤児院のために多額の寄付を行い、孤児院からはまた素晴らしい人財が生まれる。素晴らしい好循環だ」
うっとりするようなレオンさまのバリトンボイスに、わたくしはきゅうっと顔を下に向けた。絶対に顔中というか、耳やデコルテまで赤く染まっている気がする。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「え?で、でも、ハルトさまはいつも肩を振るわせて怒ってぇ、」
「あぁ。あれ?貴様が愚かで滑稽すぎて、笑いを止めるのに必死になってしまったんだよ。このアホは何を言っているんだって」
「は………、」
「最後に、彼女には選民意識なんてもの存在していないよ。社交界では気位の高い伯爵家のご令嬢で突き通しているけれど、忙しくなった今現在も昔から続けている孤児院訪問を少なくとも1週間に1回は必ず行うくらいの慈善家だ」
レオンさまの言葉に、わたくしはスッと顔を横に逸らした。
(ごめんなさい。わたくしは崇高な慈善家じゃなくて、ただの子供好きよ)
本物の慈善家にあまりにも申し訳なくなりながら、わたくしは口元で扇子を広げていたことに安堵した。わたくしの口元、絶対伯爵令嬢にあるべきではない姿になっているわ。
「はあ!?んなわけないでしょっ!!つーかこれ何?バグ!?」
(………?)
アイーシャの猫が脱走したであろう図太い叫び声に、わたくしはぱちぱちと瞬きをした。
「………彼女が経営する孤児院は、全員に毎日のお風呂と手洗いうがいを行わせ、感染症などのよる死亡者がほとんどいない。それに加え、子供たちには幼い頃から世の中の厳しさを言い聞かせ、読み書き計算裁縫を叩き込んで就職先を探させる。よって王宮でメイドや官吏を務められるくらいに高い人財が生まれ、孤児院で育ち巣立った子供たちは孤児院のために多額の寄付を行い、孤児院からはまた素晴らしい人財が生まれる。素晴らしい好循環だ」
うっとりするようなレオンさまのバリトンボイスに、わたくしはきゅうっと顔を下に向けた。絶対に顔中というか、耳やデコルテまで赤く染まっている気がする。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
47
あなたにおすすめの小説
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!
転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた
よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。
国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。
自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。
はい、詰んだ。
将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。
よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。
国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
モブ令嬢アレハンドリナの謀略
青杜六九
恋愛
転生モブ令嬢アレハンドリナは、王子セレドニオの婚約者ビビアナと、彼女をひそかに思う侯爵令息ルカのじれじれな恋を観察するのが日課だった。いつまで経っても決定打にかける二人に業を煮やし、セレドニオが男色家だと噂を流すべく、幼馴染の美少年イルデフォンソをけしかけたのだが……。
令嬢らしからぬ主人公が、乙女ゲームの傍観者を気取っていたところ、なぜか巻き込まれていくお話です。主人公の独白が主です。「悪役令嬢ビビアナの恋」と同じキャラクターが出てきますが、読んでいなくても全く問題はありません。あらすじはアレですが、BL要素はありません。
アレハンドリナ編のヤンデレの病み具合は弱めです。
イルデフォンソ編は腹黒です。病んでます。
2018.3.26 一旦完結しました。
2019.8.15 その後の話を執筆中ですが、別タイトルとするため、こちらは完結処理しました。
婚約を破棄して気づけば私は悪役令嬢でした。
hikari
恋愛
妹に婚約者を奪われて狼狽していたら、自分はある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気づく。
妹のナタリーがヒロイン。両親は妹の味方。唯一の味方が弟のルイでした。
しかも、何をしてもダメ出しをする間抜けな平民のダメンズに言い寄られ、しつこくされています。私に分相応なのはこの平民のダメンズなの!?
悪役令嬢ものは初めてです。
今作はギャグがメイン
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる